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非常に強い台風24号「チャーミー」が九州に最接近した9月30日、第15回筑紫歌壇賞贈賞式が開催された(@大宰府館まほろばホール)。台風の進路によっては開催が危ぶまれたが、若干南下したこと、速度が遅くなったことから贈賞式そのものは予定通り行う運びとなった。ただ、受賞者、選考委員はじめ来賓の方々には急遽前日から福岡入りをしていただき、例年天満宮の敷地内にある松島茶屋で行っていた懇親会は取りやめとなった。残念。



当日、福岡市内周辺の交通機関に乱れもなく、たけすゑ澄子事務局長率いる運営組織「しらぬひ会」メンバーはじめ、関係者は10時に集合。15回目ともなれば手慣れた感じで準備を進める。一体感が素晴らしい。


12時くらいから来場者がちらほら。さすがに台風の影響は否みがたく、遠来の方々、高齢の方々から欠席の連絡が入り、例年の混雑がないのがちょっとさびしい。それでも毎年お会いするお顔に出会えると喜びも一入。こんな悪天候の中、ご来場くださったみなさま、ありがとうございました。


13時30分、開式。

主催者である「国際科学技術文化振興会」理事長・隈智恵子氏、後援いただいている「本阿弥書店」の奥田洋子社長よりそれぞれ、次回16回から体制が変わり、選考に関する一切は本阿弥書店に一任、贈賞式に関わることは「しらぬひ会」中心に福岡で執り行うことになった旨を告知いただいた。60歳以上の第一歌集に与えられる賞という意義ある本賞を永続的なものにするための英断である。来年以降、ますます楽しみになった。

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国際科学技術文化振興会 隈智恵子理事長

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「本阿弥書店」奥田洋子社長


ここで伊藤一彦氏より、選考経過報告(伊藤さん、そして仕事で宮崎にいらしていた選考委員のおひとり小島ゆかりさんは前日福岡入り。この日の宮崎は暴風雨で交通機関停止だった)。受賞作品は野上卓(のがみたかし)氏の『レプリカの鯨』(現代短歌社)。




野上氏は「短歌人」所属。67歳。新聞の投稿作品を中心にまとめられた本歌集は、平明な表現でありながら知性、ユーモアにあふれ、したたかな詩精神もある。退職後の団塊世代が、現代短歌を支える新しい世代であることを実感させてくれる歌人の誕生であることをお話しいただいた。


そして、「短歌人」編集人の藤原龍一郎氏より、ご挨拶。その中で、演劇人としての野上氏をご紹介くださり、会場が沸いた。「短歌人」のみなさま、悪天候の中、遠路厭わずご臨席いただき、ありがとうございました。

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「短歌人」編集人 藤原龍一郎氏

楽しい祝辞をいただき会場が温まった中、いよいよ受賞者野上卓氏登場。

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野上卓氏

サラリーマンの日々、演劇のこと、短歌との出会い、表現者としての思い…などについて飄々と、しかし要所要所で笑いを取りつつ語られた。華のある人である。野上さん、ご受賞おめでとうございます。

*『レプリカの鯨』作品抄及び選考経過は『歌壇』8月号に掲載されています。ご参照下さい。


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ここで一般応募作品・課題歌「鯨」の太宰府市長賞、葛の葉賞表彰及び選者賞講評。市長賞の瓜生恭子さん、葛の葉賞の古野美智子さん、おめでとうございました。

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15分の休憩をはさんで第二部のシンポジウム。テーマは「新しい老い」。パネラーは、選考委員三氏(伊藤一彦・小島ゆかり・青木昭子)に加え、「しらぬひ会」から桜川冴子氏と藤野早苗。

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それぞれが事前に送った五首、計25首を中心に、現歌壇における「老い」の捉えられ方、「老い」の歌の行く末についてざっくばらんに、和気藹々と、しかしおさえるべきところはおさえて、パネルは進んだのだった(このテーマについては別稿でまたいつか)。青春の文学と呼ばれた短歌が気がつけば「老い」がメインテーマになりつつある現実。「老い」はマイノリティの問題ではなく、すでにマジョリティの問題であることを認識させられたテーマだった。みなさま、お疲れさまでした。


そしていよいよたけすゑ事務局長による閉会挨拶。例年はここで解散となるのだが、今年は本体制最後の記念の第15回ということで、来場者全員登壇して記念写真を撮りましょうというご提案が。こういう時のノリの良さがさすが福岡。みなさんがんがん登壇なさる。ありがたい。が、「誰が撮影するの?」という肝心なあたりがノープラン。と、こういうところもさすが福岡。参加者の中でひときわ長身の「現代短歌社」社主・真野少氏が長い腕を伸ばして撮影してくださった。ありがとうございました(その後、会場関係者にあらためて撮影してもらい、真野さん写ってるバージョンもあることを明記しておきます)。でもこの全員参加写真、私の手元にはなく、お持ちの方、ご連絡下さい。


これをもって全日程終了。「松島茶屋」での懇親会が中止になってしまったので、有志で会を持つことに。西鉄グランドホテル「グランカフェ」に集合。ビュッフェスタイルで各々くつろぎながら、野上氏を囲む楽しい時間を過ごした。野上さん、キャラ最高。お嬢さんの麻衣子さんがまた最高。可愛らしくて、面白い(ここ大事)。来年のご来福、お待ちしております。


本大会に関わっていただきましたみなさま、本当にありがとうございました。来年第16回、新体制下で開催される、さらにさらにバージョンアップした筑紫歌壇賞贈賞式でお会いいたしましょう。


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西鉄グランドホテル「グランカフェ」にて
野上氏包囲網。



  天神のご加護なるらむ台風の進路南下す贈賞の日の


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# by minaminouozafk | 2018-10-02 09:57 | Comments(7)

あしあと 百留ななみ


台風一過のさわやかな朝。

今日から10月、神無月だ。

もうすぐ55歳。

人生50年なら、もう余生。私が残してきた小さな足跡ってなんだろう。


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ちょっと凌ぎやすくなったせいか、同級生たちから久しぶりのメールがとどく。


目下話題は後半戦のこれからの生き方、親の介護。再会すると、学生のころからの友人だから、プライベートであまり口外できないことのマシンガントークがしばらく続く。


55歳みんなざわざわと不安をかかえ焦っている。


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私自身も夫の90代の母、自分の80代の父母が近所にいる。

とりあえず年相応元気にしているがそれぞれ料理やお菓子、日用品など好みの品をもって週1.2回のぞく。夫は次男だが兄は東京。私自身は一人っ子。重いといえば重いが本当によろこんでくれるから大丈夫。


できることはやろう、できないことは無理。


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息子たちも家庭をもち独身のときよりもちょいちょいやってくる。お盆やお正月も4世代揃って沁み沁みとうれしい。ばたばたしたホステスで果たしてみんな楽しめたかしら・・・といつも気がかりと疲れであっという間に過ぎる。仕事をしていないから基本ぜんぶ自分の時間なのだが、なんだか上手にこのごろ時間が使えていない。空回りしている。


小心者だからなんとなく気がかり。旅行好きの夫との旅は直前予約でわりと遠出している。友人とのひとときも大切。

ぽかんと時間が空くと歩きはじめる。ふと来し方を思ったり、行く末を案じたりするが、なんとかなる。


アスファルトの道にはできない足跡が土にはしっかり残る。

足跡つまり過去は変えられないけど、いまをたいせつにすれば未来は変わる、と思いたい。



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犬の足跡、人の足跡、鳥の足跡が混じっていてたのしい。

みんなちがってみんないいのだ。


飛行機や新幹線と足跡を残さずにすばやく移動する人間。

まさに地にしっかり足がついていない感じ、だからしっかりした足あとは頼もしい。


今年の斑猫を発見。足跡を残さない身軽さがちょっとうらやましい。


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台風の暴風雨はすっかり足跡を洗い流しただろう。

十分に水を含んだ庭の畑では大根や蕪のみどりが大きくなっている。

あるがまま出来ることやりたいことをほつほつ愉しんでいこう。






蟻ん子の足あと見える斑猫と見えない人間おなじいのちだ









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# by minaminouozafk | 2018-10-01 07:19 | Comments(7)

糸瓜の束子  大西晶子


 先月からの家の壁の塗装工事でおおよそは取り払った糸瓜の一部が庭に残っていた。塗装工事が始まった後、数個のナーベラーを収穫しおいしく食べたので、それで糸瓜はおしまいだと思っていたのだが、更に一つを葉陰で発見。

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気が付いたときには長さ30センチ近くになりナーベラーとして食用にはできない。しかたがないので放置して、数日前に束子を作ろうと収穫した。また、収穫したあとの茎の先を瓶に差しこみ糸瓜の水が採れるかどうかも実験してみた。

とれた水は3日間で30ミリリットルと少ない。きれいな水状なので使いみちは只今考慮中。

糸瓜の実は1時間ほど茹でてみた。冷やしたあとで鍋から出すと、それだけでほろほろと皮がくずれ、種を中に容れたままの繊維だけになり、いわゆる糸瓜の束子になってしまった。種は繊維を押したり引っ張ったりで、落とすことができた。更に塩素系漂白剤に漬けて置いたら、きれいな生成り色の束子が完成。



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                    糸瓜の束子と糸瓜の水

 
 
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                       糸瓜の種

 繊維だけになった糸瓜をみながら考えた。

年齢を経てすでに法的には老人の私なのに、物事の本質を見るということが全然できていないと思うことがしばしばだ。歌会で批評をした後で、肝心なことを外していたと思ったことも多い。「もっと深く丁寧に物事を見る」、いつも慌てて、つじつま合わせで暮らしているような日々の自戒として、忘れないようにしなくては。

  

     皮、果肉すてたる今は繊維のみ白く乾ける糸瓜の束子





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# by minaminouozafk | 2018-09-30 07:00 | Comments(6)

秋空に鳶  栗山由利

 秋分の日の翌日は、秋晴れのさわやかな日だった。前日までの全国大会の疲れが、身体にも頭にも残っていたが、夫とそれぞれの実家の墓参りにでかけた。夫のほうのお寺は南区の小高い丘の住宅地にある。お寺の敷地は雑木が茂っておりお盆のころは蝉の声が降り続いていた。私の実家のほうはそれと真反対の博多旧市街にあり、キャナルシティ博多や櫛田神社にも近い。


 いつものように夫のほうの墓参りを済ませてからバスで実家のお寺に行くと一日がかりになるのだが、それでも近いのでありがたい。

 実家のお寺に行き、水の入ったバケツとお花を下げて墓地の奥のほうに歩いていると、『暑さ寒さも彼岸まで』という言葉が実感できる。というのも、盆のころの墓地は日差しで熱くなった墓石からの照り返しでその暑さが倍増していて、墓の間を歩いていると見る間に汗が噴き出すのである。


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 墓に花を手向けお供え物をし、線香に火をつけ手を合わせる。2歳の孫から86歳の母までの近況を報告して、家族みなをお守りくださいとお願いをする。立ち上っていく線香の煙を目で追ったとき、少し先のタワー駐車場の外壁の見上げるほどの工事用の足場に気がついた。休日にも関わらず7,8人の職人さんたちが作業をしていた。もちろんだが命綱はない。地上30メートルはあるだろうか、パイプと金属の板を次々と手渡しながらすすめる作業には、全くと言っていいほど無駄がない。部材を受けて移動し上の段にいる人に手渡すのだが、全体が完璧に同期していて必要な場所に必要な人が必ずいる。受け手がおらずに待っているといった場面がないのである。隣のビルの屋根から投げ上げる人はパイプを両の手に一本ずつ持ち、二本同時に投げ上げれば、上で待つ受け手の人が構えている手の中に、まるで磁石でもあるのかと思わせるほど正確に収まっていく。ひとつ間違えば大事故になる。すると、やおら組み上げた下の段のパイプと板を外し始めたのである。どうしたのだろうと不思議に思っていると「何本足らんとやー?!」という声が風に乗って聞こえてきた。何かの事情で部材の数に違いがあったのだろうか。目もくらむような高所で今組み上げたものを外して、作業の困難なより高所に持っていく。とっさの判断と素晴らしい連携プレーにしばらくの間、夫と見入っていた。


 火事と喧嘩は江戸の華と言われたころから、江戸の町を築き上げた職人として鳶職は大工、左官と並び「華の三職」ともてはやされたそうである。平成の鳶も江戸の鳶に勝るとも劣らない活躍をしているに違いない。


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<中国で見かける竹の足場。竹の特性を利用して理にかなっている>


    高空を悠々すべる鳶ににて平成の鳶は足場をわたる


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# by minaminouozafk | 2018-09-29 11:35 | Comments(6)

日程を簡潔にかつ楽しく報告してくれた火曜日の有川知津子ことちづりんから、詳細を託された。かいつまんで、写真を交えご報告を。

高野氏による開会の挨拶。
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簡単なご挨拶の後は、進行役の桑原さんのお仕事を奪うような懇切丁寧なる大会スケジュールの説明。桑原さんは困惑気味。

今年は新しい試みで「心の花」の藤島秀憲氏が講演のゲスト。
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演題は「白秋、信綱の似ているところと似てないところ」
先ずは二人の生い立ちの違いを一覧表にして、信綱を中心に、本名佐々木が佐佐木となったいきさつから家系の話まで白秋と比較しながら丁寧に楽しく解説してくださった。
そして本題。〈同じ素材でも〉という項では歌い方の違いを。

信綱 ほほゑめばはつかに見ゆる片ゑくぼトマトが赤き白がねの皿『新月』
白秋 ただ一つお庭に白しすべすべと嘗(な)めつくしける犬の飯皿『雀の卵』
信綱は四つの素材を詠んで一つの場面を作り、白秋は庭から始まり皿にズームイン。皿だけを詠むねちっこさ、とも。

信綱 千くまあがた川上郷(がう)は川原(かははら)も山高原も月みぐさの国『山と水と』
白秋 あの光るのは千曲川ですと指さした山高帽の野菜くさい手『海阪』
この二首も信綱は大きな景を国へとさらに大きく纏め、白秋はこの歌もズームインして景をはっきりさせ、生活臭を漂わせる人間臭い歌。

信綱 ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲『新月』
白秋 塔(あららぎ)や五重の端反(はぞり)うつくしき春昼(しゆんちう)にしてうかぶ白雲『白南風』
信綱の歌に関してここだけの話を呟かれ(私は口が堅いので内緒)信綱は外側をなぞるように歌い、白秋は内側を撫でるように歌う。と含蓄のあるお言葉。

「ズームイン」「生活臭」「内側を撫でる」改めて白秋の系譜であるわたしたちの心情であり信条を再確認させていただいた。
もっと、ねちっこく詠まねば~。

信綱 顔よきがまづもらはれて猫の子のひとつ残りぬゆく春の家『新月』
白秋 ひいやりと剃刀(かみそり)ひとつ落ちてあり鶏頭の花黄なる庭さき『桐の花』
さて、この二首、隣席のちづりんと、同じ素材って何?ひとつ?
とハテナな頭で聴き入った。
信綱は残された猫を詠み、白秋は剃刀を詠み、残されたものによりストーリーを感じさせ、両者、無常観を際立たせるという共通項を述べられ、深く納得したのであった。

他には〈童心〉では信綱は子供の仕種中心の詠みで、白秋は子供がいる場面を詠む。なるほど、不参加の方も聞いただけで白秋の作品がいくつか浮かんでくることだろう。
他にも〈富士山の歌〉〈音楽性〉〈その他〉終始穏やかに楽しく、わかり易い解説。
全てを記したいところだが、それは参加者の特権として先を急がねば~

藤島さんは、落語にも造詣が深く、私は以前『短歌研究』の連載「短歌と笑いときに寄り道」の頃からのファン。
現在も総合誌などに三つの連載(でしたっけ?)を抱える多忙な中、ご自身はこの講演を二夜漬けぐらいの勉強で申し訳ないと語られたが、あまり縁の無かった信綱のこと、白秋の再発見をさせていただいて大いに感謝である。
ちなみに現在は『歌壇』での連載「短歌の周囲ーこの本あの本」オススメで~す。

そして歌会
私はAグループ、高野公彦氏、清水正子氏、橘芳圀氏、水上芙季氏と共に選者を務めたが清水氏の欠席により、な、何と藤島秀憲氏が選に加わって下さった。
高野さんは怖いけど、嬉しい!
急な事にもかかわらず、講演と変わらぬ優しい語りで的確な評をいただいた。
歌会は会員2名の評の後、選者が交代で1名の評。

内容は次々回の支部報『水城』での各グループの報告を読んで頂きたく、私の作品について高野さんのお言葉を。
実は、どう評価されるかドキドキしながら出した作品。

〈日本脱出組行列すパスポートセンターのカウンター前に廊下に〉
会員の方からは、リズムが悪い、字余りとやはり不評。以下、高野さんのコメント。

現代短歌は複雑な句跨りの歌が多い。句跨りの切れ目を探りながら読むと五七五七七のリズムに乗っ取った歌だと判る。読みこなす力を持たないと現代短歌を読んでいると言えない。
歌は単純。日本を脱出したい人が大勢いると言う内容はそれだけだが、日本人の傾向に対してこれでいいのだろうかと言う気持ちがよく出ている歌。まっとうに批判している訳ではないが探りを入れている。「日本脱出」と言えば塚本邦雄の歌を連想する。あの歌を知っていれば句跨りも理解できる。歴史的名歌を記憶しておけばよい。

ああ、わかっていただけたと安堵。
他の作品に関しても「五七五七七で切って詠むことが大切。散文のようにだばだばと読んではいけない」と常に短歌のリズムを意識することの重要性を折々に語られたことが印象的だった。

高野さんからは、あやふやな評にはツッコミを入れられ、へろへろになり終了。

そして、各自題詠〈平〉を2時間の熟考の末、提出。
私はホテルの窓からの夕焼けで一首。
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懇親会。
お約束の福岡メンバー、元福岡の大西淳子さんと共に藤島さんを囲んで。
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余興はお馴染み、純黄賞シスターズ(と、勝手に命名)の昨年より更に切れが良くなったチアダンにはじまり、福士りかさん、なお&芙季の掛け合い漫才、と綺麗どころがずらり。なお&芙季は写真、動画撮影禁止令発令。
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この写真で入れ込み具合を想像してね。
そして、高野さんの「僕の細道うたの道」に写真で紹介された東京歌会新年会での歌と踊りをご披露。練習10分という、みなさんのはじっけっぷりが見事。
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また、書きすぎた。
2日目は、来週ーー。かも。他のメンバーも紹介よろしく~。

       壁面がわうごん色の市ヶ谷に〈夕焼け小焼け〉鳴る十七時


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# by minaminouozafk | 2018-09-28 07:12 | 歌会・大会覚書 | Comments(6)

通勤の途中、視界の端に何かが映った。

翌朝、改めて確かめると川のほとりの合歓の木に花が付いている。六月の開花の時と比べるとぐっと少ないけれど、ほつりほつりと緑の葉の間に咲いていた。写真を撮るために近づくと豆の形をした実も一緒に付いていて、不思議な感じ。



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別の日。道の駅に寄ったら、桜の花がやっぱりほつりほつりと咲いていた。

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「狂い咲き」という言葉で表したくなくて調べていくと「不時現象」という言葉に行き当たった。広辞苑には載っていない気象用語という。


【不時現象】
「開花・落葉や鳥の渡り・虫の鳴き始めといった生物季節現象が平年と著しくかけ離れた季節に生じること。真冬にモンシロチョウが飛んだり、秋にサクラが咲いたりするなど。」『デジタル大辞泉』


桜の場合、夏から秋にかけて、毛虫に食べられたり台風や日照りなどで緑の葉が極端に少なくなった場合に、秋に花を咲かせることがあるという。


季節を外れて咲いた花ははかなげで、満開の桜とはまた違うしみじみと胸を打つものがある。
枝先の花を愛おしく見ながら、猛暑、酷暑の続いたこの夏の異常な暑さを思い返した。




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秋に咲くさくら桜子時知らぬさくら桜子 咲くときが時



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# by minaminouozafk | 2018-09-27 06:00 | Comments(7)

9月22日(土)・23日(日)、アルカディア市ヶ谷において、コスモスの全国大会が開催された。時間割は次のとおり。


   22日(土)

 開会挨拶 12:30 高野公彦氏

 講  演 12:50 藤島秀憲氏(「心の花」)

      「白秋、信綱 似てるところと似てないところ」

 歌 会 Ⅰ  14:00~16:30

 題詠作成 16:30~18:30

 懇 親 会  18:30~20:30

   23日(日)

 歌 会 Ⅱ   8:50~11:40


このあと、「表彰&総評」「さよならパーティー」があった。


ここにあえてスケジュールを示したのには、わけがある。実は、今大会はいつもと違ったところがあった。二日目のところに見える「歌会Ⅱ」という題詠歌会の存在である。


初日の歌会Ⅰは、事前に提出していた歌を批評する。すでに、選歌・集計済み。

一方、歌会Ⅱはというと、――。題は歌会Ⅰ終了後に発表(封筒から粛々と題が取り出され発表されるさまは、将棋の封じ手のそれに似ていた)。締め切りは、2時間後の18:30。提出場所は、懇親会会場前の箱の中。つまり、題詠の一首が、懇親会への(つまり夕食への)通行手形なのである。したがって、空腹の脳細胞は、とにかくなんとか一首を仕立て上げようと必死の集中にみずからを駆り立てることになる。おもうつぼなのである。


それで、こうして成った一首をどうやって次の日の歌会にのっけるかというと、その日の夜のうちに、担当者が夜なべ入力をする。それが翌朝には、詠草集となっている(なっている、といっても、もちろん、こびとさんが出てこないかぎり働きびとのおかげである)。二日目の朝、各部屋に配達された詠草集は、整然とみなの手にわたり、その場で選歌・集計が行われ、ただちに歌会に入るという流れ。


ほんとうに、大会に限ったことではないが、さまざまな立場の人々の細やかな働きによってこの世界のいとなみは支えられている。(かくいう私も集計作業の補助という恩恵にあずかった。作業をともにしたお二人との間に湧いたちょっとした連帯感が楽しかった。はじめて親しくお話しさせていただいた)


そうそう、この記念すべき大会の題は「平」であった。


歌会は、グループ歌会でA~Eの5編成。

私はBグループで記録係を仰せつかっていた。このグループの司会は、大先輩の小田部雅子さん。今回はじめて傍で仕事をさせてもらった。大会前に、「小田部さん? 勉強になるわよ。よかったね~」と言った人があったけれど、まったくそのとおりで、その理由がよく分かった。歌会は、巧みに評者の言をとりまとめる小田部さんの司会によって滞りなく進んだ。進行だけのことではない。準備にも気持ちがこもっていた。


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         《小田部さんが準備してきていた時間配分表と名札》


記録係(タイムキーパーでもある)の私は、時計を眺めているだけの仕事だったのに、その時計でさえ小田部さんご持参の置き時計なのであった。


さて、今大会の最高得点歌は、このブログ日曜日執筆者の晶子さん。


たんすの鐶鳴らしてあそぶみどりごのことば未満のやはらかきこゑ  大西晶子              


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 歌会は「コスモス」の風合いというものを考えるよい機会になる。人々の批評を思い返すにつけ、こうやってコスモスの歌風は継承されてきた(ゆく)のだなあ、とそんなことを今もふんわり思っている。


 今回、私のカメラが撮った一枚きりの人物写真。ここに愛蔵しておきたい。


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  あめつぶにつつまれやすきわが嗄声救はんと傘を差しだすひとり



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# by minaminouozafk | 2018-09-26 07:00 | 歌会・大会覚書 | Comments(7)