大祓と夏越祭 大西晶子

731日に宗像大社で大祓と夏越祭の行事があり、夕方から出かけた。頂いた案内状にはひとがたが入っていて、家族全員が息を吹きかけて穢れを移し、前もって郵送した。


当日は夕方5時から祈願殿の入り口の門の前で大祓の儀式が始まった。祝詞とお祓いでひとがたに移した穢れを浄めて頂き、入り口で頂いた切り紙を頭の上から参会者全員がかけて息災を祈る。その後門の前の祭壇が片付けられ、門に作られた大きな茅の輪をくぐる夏越祭になった。



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 神官さんと巫女さん達が先ず門にしつらえられた大きな茅の輪をくぐる、その後を一般の参拝者が長い行列をつくって後に続く。最初は茅の輪をくぐった後、左回りで元の位置に戻り、2度目は右回り、3度目は左回り。


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                一度目の茅の輪をくぐり終り、二回目を待つ神職の方々


更にもう一度門をくぐり、今度は拝殿のまえに集まる。ふたたび祝詞、お祓い、舞いの奉納があり氏子代表の玉串奉奠に合わせ参拝者一同も礼拝し、無事に儀式は終了した。



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         舞装束の巫女さんが手にしているのは向日葵の生花


 夕方とはいえ最近のこの暑さなので、行事のあった一時間の間にずいぶん汗をかいてしまった。茅の輪をくぐる行列が続いている間中、古歌朗誦をされていた方はじめ衣冠束帯の神官さんたち、巫女さんたち、中でも舞の衣装の巫女さんは見た目には涼し気だったが、実際には厳しい暑さを辛抱されていたのだと思う。みなさま本当にご苦労様でした。


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             参拝者は茅の葉を頂いて帰る

これで、7月にひいた夏風邪の名残の咳が収まり、熱中症にもならずに夏の間を過ごせたらいいのだけど。
 このブログをお読み下さる皆様もどうぞお元気で夏をおすごしください。



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             ご神木は御高齢にもかかわらず夏も元気


    まかれたる切紙ひろひ玉砂利をきよめる人あり祭の果てて




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# by minaminouozafk | 2018-08-05 08:45 | Comments(5)

一念発起  栗山由利

 海外を旅行するとき、やはり訪問国の言葉が話せた方がよりディ―プな旅になるのは言わずもがなである。近年は夫の嗜好に付き合って、中国旅行が増えている。わが家は長男夫婦はもちろんだが、夫も何とか一人旅が出来るくらいは中国語が話せる。それに近頃は息子が、プレゼントされた中国の絵本を読み聞かせしているので、二歳の孫もけっこうきれいな発音が出来ると聞いた。私だけが蚊帳の外なのである。

 ただ、まわりがこれだけ話せると、私が話せなくても旅先でなんら不自由は無いので、中国語を勉強しようなどと考えたこともなかった。ところが、この考えを覆す事件が今回の上海ツアーでおきたのだ。


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<新天地にある第一回中国共産党大会が開かれた建物>


 それはツアーも終盤の三日目のことだった。上海に新天地という観光地がある。1920年から30年代にかけて建てられたモダンな雰囲気の旧フランス租界の街並みを再生した街で、お洒落なカフェやショップが並ぶ中洋折衷の不思議な一角である。ここで30分ほどのお解き放ちをされて、ツアーの面々は自由に散策をすることになった。写真を撮ったり、お店を覗いたりしていると、夫の足がGODIVAの店の前で止まった。甘いものには目がないので店内に入って何を頼もうかと壁のメニュー表を見ていると、同じツアーの親子連れの娘さんが入って来た。やはり悩んでいる様子だったが、メニュー表は中国語だ。夫も決めかねているようであった。と、その娘さんは先に並んでいた人が受け取ったソフトクリームを指差して身振り手振りで注文をすませた。すると長いことメニュー表を見ていた夫が「私も‥‥」と日本語で言ったのだ。娘さんは店の人に「セイム、セイム」と言ってくれて、とりあえず注文は完了した。次はお会計だ。一つが50元、レジを見ていると50と表示された後に、75と出ている。えっ、中国に消費税はないはずだし‥‥何だ何だと娘さんと話していても埒はあかない。そこで、もしかするとこれは二つの値段なのかなということに私たちは気づいた。あーーっ、なにか話さねばと追い詰められた私は、たまたま夫から聞いていた二つという意味の中国語を思い出したので、とっさに「リャンガー セブンティファイブ?」と叫んだ。すると店の人はうんうんと頷いた。なーんだ、一つ50元が二つで75元になったのかと、娘さんと顔を見合わせたのだが、その騒動の間、夫からは一言の中国語も聞かれなかったのである。わが家ではこれをGODIVA事件と呼んでおり、これに加えて、空港テイクアウト事件というのもあった。

夫は、どうも考えて考えて口に出すタイプのようだ。でも考えている間に事態は進んでいってしまう。


 ここで私は決心をした。よっしゃ、中国語を始めよう。私が向こう見ずにしゃべっても横で夫はじっくりと聞いているだろうから安心である。



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<テキストと家族からもらった本>


 というわけで、一念発起して今月から中国語の教室に通い始めた。ここで宣言をしてしまったので頓挫するわけにはいかない(-_-;)



    テキストをひらけば街は近くなり上海、成都 朋友们好


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# by minaminouozafk | 2018-08-04 10:34 | Comments(6)

夏の食卓  大野英子

昨年夏も、環境にやさしい生活と称して、夏の手抜き料理を紹介した。

今年も、クーラーを使わない火照った身体を冷やす料理を続けている。
そこに、先週の土曜に紹介されたユリユリ苦労の戦利品、オクラのおすそ分けをいただき、ラインナップに加わった。(本当に感謝です)

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まずは、塩で板摺りして、なり口とへたを切り取る。ユリユリも書いていたとおり、この時点でネバネバ~。茹でる前なのにこの輝きは店頭モノにはまず無い、感動の新鮮さ。
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いただいた当日は茄子の焼きびたしを仕込んでいたので、茹でたての熱々のまま混ぜて、冷やすとすぐに味が染み込んだ。
トッピングは、実家の裏庭の茗荷。

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雨が少ないせいか小ぶりで固めだが、もう、二度目の収穫。
一人の一週間分にはちょうどいい。
まだまだ収穫出来そうな出来具合だった。

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恒例のわが家の夏の食卓。
作り置きの茹で鶏と叩いたオクラ。
塩もみゴーヤは食べ頃になった自家製梅味噌で。
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丸ごと豚肉で巻いて照り焼き。
小さなグラスは納豆、イカ、オクラのミルフィーユ風。掻き混ぜながら食べる飲んべえ料理。

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翌日は、残りの全ての材料とスライスしたゴーダチーズを千切り野菜に混ぜ込んだ大鉢サラダ。

蒸し鶏、焼き茄子ともレンチンの作り置き。
火を使ったのは肉巻きと、大豆モヤシだけ。
とことんズボラな涼しい料理。

       蝉声のやつとしづまる夕暮れの潮風のなかの夕餉は気まま




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# by minaminouozafk | 2018-08-03 07:53 | Comments(6)

街の本棚  鈴木千登世

休日出勤の振り替えとして休みを取った。

後ろめたさを少し覚えつつも、日常からはみ出す感覚にいつもの休日以上に伸びやかな気持ちになる。


午前中は庭の草取りをして午後からは読書!

月曜日の早苗さんのブログで紹介されていた『短歌』を読もうと近くの本屋へ出かけたが……ない。そこで、郊外の大きな書店へ。『俳句』はあったものの、『短歌』はやはり……ない。

いつもなら諦めるところだけれどもう一軒、中心商店街の書店を訪れた。老舗だけあって『短歌』も『俳句』も書架に並んでいて、ようやく手に入れることができた。

この書店、「文栄堂本店」は2年前からカフェが併設されていて、買った本をそこで読むことができる。今日はお休み、夕食にはまだまだ時間がある。アイスコーヒーを飲みながらゆっくり読むことにした。

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モダンな雰囲気。ひとりでも落ち着いて過ごせる。


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そろそろ帰ろうと顔を上げると奥の本棚が目に入った。


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近寄ってみると

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地元の大学生が考えた書店から地域を活性化する「Book Self」~紹介しようと思う人が、棚のテーマに沿った本を書店の中から探して本棚に並べる。本棚を見て気に入った人はその本をカフェで読むこともできるし、もちろん購入することもできる~というプロジェクトだった。


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見知らぬ誰かのおすすめの本を手に取る楽しみと自分のおすすめの本を誰かが読んでくれるうれしさ。


テーマは「その主人公になりたい」「泣きたいときに」「胸キュン」「贈る」「My Best Book」「学生に読んでほしい」「100年後も残したい本」の8つ。何だか楽しい。



今日は時間切れで、本を手に取ることができなかったけれど、次に訪れるときは是非読みたい。

本と人をつなぐ大学生の柔軟な発想に新鮮な気持ちを味わった。


どんな本が並んでいたかは、また次回報告しますね。


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選びたる人の面輪を思ひつつ書棚の本の背文字をたどる







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# by minaminouozafk | 2018-08-02 06:53 | Comments(6)

列車三題  有川知津子

Ⅰ 芥川龍之介「蜜柑」


舞台は、大正時代の横須賀線の汽車の中。登場人物は、主人公の「私」と「小娘」。

「小娘」が、窓を開けるシーンがある。


向こう側から席を私の隣へ移して、しきりに窓を開けようとしている。

が、重いガラス戸はなかなか思うようにあがらないらしい。


この汽車は、今からトンネルに入るところなのである。大正期の汽車である。もくもく煤煙をまき散らす汽車である。窓をあけたままトンネルに入ったらどうなるか――。


にもかかわらずこの小娘は、わざわざしめてある窓の戸を下ろそうとする、

――その理由が私には飲みこめなかった。


「私」は、無論、それがうまくいかないように祈る。が、とうとう、窓はあけられてしまう。


すると間もなくすさまじい音をはためかせて、汽車がトンネルへなだれこむ

と同時に、小娘の開けようとしたガラス戸は、とうとうばたりと下へ落ちた


あがらない」とあるのに、「下ろそう」「下へ落ちた」とあるのがずっと気になっていたのを、ようやく調べる段になった。当時の横須賀線の車両の窓は、いったん上へ押し上げて下へ落とし込むような構造なのらしかった。すっきり。


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Ⅱ メーテル


週に一回通う小倉のモノレールの天上画である。こっそり撮った。

小倉は、松本零士さんゆかりの地。


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Ⅲ エヴァンゲリオン車両


何度かお世話になった新幹線の車両。「500TYPE EVA」というのだそう。

今は、もう走っていない。


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「とほく」といふ言葉にかかるグラデイションどのくらゐなら遠くへ行ける



今日から8月。


よろしく8月!



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# by minaminouozafk | 2018-08-01 06:46 | Comments(6)

「短歌」八月号を読んだ。

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まず、巻頭詠、高野さんの「こもれび」28首からご紹介。

〇無数なるいのち養ふこの星のオーラのごとし夕あかね空

〇やはらかな大和の歌のひらがなのやうな息してねむるみどりご

〇いかフライうまいねといふ呟きの低くひびきて一人の夕餉

〇まひる咲くアガパンサスの花々を風揺りて空はひかりの(さざなみ)

〇日のひかりこまかにゆるるしづけさをこもれびと呼ぶやまとことの葉

〇人ら行きその影ゆけり街なかの暗渠のうへの普通の歩道

〇備ヘアレバ 格言一つ思ひ出し二、三歩ゆくに人生茫々

言葉に角がなく、まろやかで一読後すとんと胸に落ちて来る感じ。韻律がなめらかなので覚えやすく、誦しやすい。豊饒。

他には、金子兜太氏への挽歌一連、そこから展開される政治への不信を詠んだ作品など、闘う高野氏の姿もいい。


続いて、松尾祥子さんの「穴」7首から。

〇極東の島に穴掘り永久に核廃棄物処理する話

〇地下深く核廃棄物埋めし島巨大地震に沈みゆくかも

恐ろしいたとえばなしが、恐ろしい現実としてすぐ横にあることを思い知らされる。怖い。


今号の特集は2本。

1. ふと立ち止まって—歌を鍛える推敲のポイント

・まず何を歌うか…中津昌子

・定型を守る…林和清

・語順を考える…安田純生

・観念より具体を…さいとうなおこ

・説明臭…藤原龍一郎

・自分の言葉で…佐藤弓生

・常識の範囲で…中根誠

・助詞を入れる・省く…小林幸子

・言葉の整理を…小塩拓哉

・辞書にあたる…村山美恵子

・表記にも神経を遣う…千々和久幸

・声に出して読む…寺尾登志子

作歌するの上で重要な推敲。一首がなんとなく立ち上がってからの方が実は大切だとわかってはいても、では具体的に何をすればいいのかわからない…という人のために最適な特集。執筆歌人の推敲の経緯がわかって面白い。


2. 創刊120年「心の花」の女性歌人たち

古谷智子氏が「思索的ロマンの系譜」として柳原白蓮・片山廣子・村岡花子を、佐伯裕子氏が「モダニスト斎藤史と「心の花」」を、谷岡亜紀氏が「「心の花」を支えて」というテーマで「心の花」の妻たちを、佐佐木定綱氏が「人と今」という切り口の「俵万智」論を執筆している。女性歌人にフォーカスした点が面白かった。

また、大口玲子、清水あかね、駒田晶子、佐藤モニカの四氏による座談会も結社内部の気息が伝わり興味深かった。


酒井順子氏による連載の平安の女ともだち」は和泉式部(2)。盤石の面白さ。

もうちょっと読んでおこう。



「推敲のポイント」なるを耽読す逆走台風荒るるまひるま



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こっそり書いてます。

 


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# by minaminouozafk | 2018-07-31 08:17 | 歌誌・歌集紹介 | Comments(6)


明治34年。赤間神宮そばの春帆楼で日清講和条約を交わして6年後、赤間関駅は現在、警察署や図書館のある細江町に開業した。山陽本線の終着駅。


目の前の海岸からは門司への渡船が1日に50往復もしたという。なんとういう賑わい。ちなみに明治19年の都市人口の統計では赤間関市(今の下関市)は全国26位の3万人ちょっと。福岡市は17位で4万ちょっと。14位は鹿児島市、15位は熊本市。



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炎天だが、ぽっかり空いた待ち時間。まだ朝だし大丈夫かも。

岸壁ちかくのマンションやビルの日陰を歩く。警察署前の海への広い道。街路樹はほとんど花を落としたデイゴ。朝の海峡ゆめタワーはまだぼんやりと眠たそう。こっちの通りはヤシの木でやはり南国ムード。


ドリームシップ裏の駐車場。たしか数年前まで旧国鉄が管理していた雑居ビルは明治35年開業の山陽ホテル。皇室も泊まられていた由緒正しきホテル。火事のあとの再建の設計はたしか辰野金吾。手入れが行き届いてなかったせいか老朽化での取り壊しは止む終えなかったようだ。


つい先日、対岸の門司港駅の修復が終わったニュースを見ただけになおさら残念・・・。とか思いつつ歩いていると大通りの市営細江駐車場のそばに石碑がある。なんだろうと近寄ると夏草にちょっと隠れている吉井勇の歌碑。




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大いなる船ほうほうと汽笛ならし馬関海峡暮れにけるかも

吉井勇


そう馬関海峡ともいっていた。今でも大きな船が1500隻も行き交う。

10メートル行くとまた同じような石碑が。今度は・・・と近づくとなんと若山牧水。




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桃柑子芭蕉の実売る磯町の露店(よみせ)の油煙青海にゆく

若山牧水



桃やみかん、バナナを売る夜店とはあやしげな活気にあふれている。油煙とは何かを焼いているのだろうか。宮崎の牧水は旅に出るたびに関門海峡の渡船を利用したのだろう。


なんだかまだまだありそうで、近くをうろうろしたら、今度は斎藤茂吉の歌碑。




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雨雲のみだれ移るを車房よりわが見つつ居り関門の海

斎藤茂吉



茂吉は暴風雨の関門海峡沿いを車ではしっているようだ。海峡は天気によって今でも大きく表情を変える。


もうひとつ種田山頭火の碑も発見。




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まだあるかもしれないが暑さでギブアップ。


思いがけず見つけた歌碑。海峡はそのまま、汽笛の音もそのままだが、人影はまばら。世は常にはあらず。

賑わいを妄想しつつ炎天下を歩くのも悪くない。


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バナナ売る桃売る声が海峡の波音消しき馬関の夜店









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# by minaminouozafk | 2018-07-30 07:17 | Comments(6)