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Kiss &Cry 藤野早苗

ミラノ・コルティナオリンピックが始まりました。

みなさま、寝不足ではありませんか?


時差の関係で、リアルで見ようとすると深夜の観戦。私は無理のない範囲で見ています。


でも、フィギュアの団体戦はやはりリアルタイムで見たかった。

結果はアメリカに一歩及ばず銀だったけど、そんなのどうでもいいことです。


大健闘。

何より、チームGIAPPONEのキス&クライでの表情が微笑ましくて。

日本人も変わったなあってとても嬉しくなったのです。


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私はオリンピックがあまり好きではありません。本来、競技は選手自身のモチベーションで取り組むものなのに、いつの間にか国威高揚のために利用されたり、国家間の政治力学に巻き込まれてしまっていたりして、結果どんどん表情が暗くなっていく選手たちを見るのが辛かった。


2006年、やはりイタリアのトリノでの荒川静香選手の美しいイナバウアー、あの演技以降20年、私は冬季オリンピックを見ていません。でも今年、イタリアへ出立する直前の坂本花織選手のカラッと明るいインタビューを見て、「あ、今回は見てみたいな」と感じたのでした。


画面を通して見る日本人選手たちはずいぶん様変わりしていました。話題になった入場のシーン、誰が発案者なのかはわからないけれど、自国の国旗と開催国イタリアの国旗を持つという行為は、各国から絶賛されたとのこと。それがそんなに驚くことなのかなと、むしろ不思議でしたが、こういう細やかさは日本の真骨頂。各国からの好意的な空気感の中、そのまま競技へ突入。いい流れでした。


フィギュアだけでなく、現時点ですでに日本はこれまでにないメダルラッシュ状態とのこと。なぜなんだろうと考えた時思い至ったのは、無駄な精神論からの解放。失敗を個人に帰する(あり得ない)責任論の放棄。一方で、演技、競技における科学的分析はどんどん進化し、競技者個々人に合わせたトレーニングメニューとメンタルケアがシステマティックに構築されている。


そんなシステムを背景に、世界という大舞台に立つ若者を、「日本のために頑張ってこい」と送り出すより、「思いっきり楽しんでおいで」と声をかける方が結果的に成果が上がるのは必然でしょう。


人は国家のためにあるのではなく、国家が人のためにある。


オリンピックと並行して行われた、たった期間16日の衆院選。議席の2/3を与党が占めてしまったこの選挙が、いつか国民をリンクではない場所に押し出すような事態が訪れないことを、今は祈るばかりです。



  矢のごとき視線が刺さる銀盤に立つそれのみにもう喝采(アプローズ)



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# by minaminouozafk | 2026-02-10 11:12 | Comments(0)

ミルガイ 百留ななみ

仕舞で「藤」のキリの稽古をしている。


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氷見のあたりの多祜の浦。大伴家持の赴任地でお供の縄麻呂が詠んだ歌が万葉集にある。

の浦の底さへ匂ふ藤波をかざしてゆかん見ぬ人のため

                 万葉集 巻19


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「藤」は観世流、宝生流、金剛流での曲。


多祜の浦に着いた旅僧が口ずさむ古歌。

宝生流では

「常盤なる松の名たてにあやなくもかかれる藤の咲きて散るやと 紀貫之」 

観世流では

「おのが波に同じ末葉のしをれけり藤咲く多祜のうらめしの身ぞ 慈圓」


それを耳にした女は宝生流では「散る」観世流では「しをれ」 が入っていることを咎める。「多祜の浦や汀の藤の咲きしよりうつろふ浪ぞ色に出でぬる」 のように詠まないのは情趣を知らない人だという。


曲の終わりは宝生流では「梢に青葉や残るらん。」観世流では「たなびく霞に入りにけり」かなりイメージが異なる。


観世流は江戸時代に手直しされたようだ。松を松平、藤を藤原と解釈して、松のうえに藤がくるのはよくないとか……むかしから忖度はあったようで面白い。



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いずれにせよ多祜の浦の美しい藤の曲。藤のキリ。とりあえず曲を謡い解釈しつつ頑張って覚える。


なかほどで「深海松の ふーかみーるーの 」と謡う。ふかみる?みる?海松?とめぐり、ふと水城の表紙の文様を思い出した。探してみると第273号の表紙。海松丸。平安時代からの有識文様とある。海松は海藻。万葉集や伊勢物語などに詠まれているようだ。



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この冬はじめて食べたミルガイ。子どものころはミルクの味?と不思議に思っていた。ミルガイはミルクイとも謂う。ミルつまり海藻を食べる貝からのミルガイ。


すっきり。今朝はまだ雪が残っていたが立春も過ぎてそろそろ三寒四温。牡蠣も浅蜊も食べないままに春が過ぎてゆきそうだ。



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ミルガイを海松喰(みるくひ)と知りその香まずたしかめ一貫しみじみたうぶ







# by minaminouozafk | 2026-02-09 10:36 | Comments(0)

先週のNHKの日曜美術館はアーカイブで「私とマグリット 寺山修司」だった。マグリットは高野公彦氏も好きな画家にあげていらっしゃる。謎めいて清潔感のあるその絵は私も好きだ。


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寺山修司


この番組は1977年に収録されたもので当時の寺山修司は412歳。司会者と対話しながら寺山修司がマグリットについて語るという形式だったが、知識が豊富でいかにも好きな画家を語るという感じが良かった。

最初に見たのは「光の帝国」で山高帽のおじさんの後ろ姿を父だと思ったという。育った家に父の遺品らしい山高帽があったからだろうと。寺山の父は戦争で亡くなっているが幼い頃の記憶に残る像とどこか似ていたのだろうか。自分の書いた演劇には最初に山高帽のおじさんが登場しそこから劇が始まるものがいくつもあるのだとも言った。

私は若いころには演劇には興味がなく、天井桟敷をその気になれば見に行ける場所に住んでいて機会もあったのに見に行かなかったことを今は本当に惜しかったと思う。


寺山修司とマグリット  大西晶子_f0371014_08444426.jpg
光の帝国


また寺山は好きだという絵「秘密の遊び」の空飛ぶ亀やポロをする人物などの手前にタッセルで留められた赤いカーテンが描かれているので劇中の場面のように感じられると発言した。演劇、映画で当時活躍中の人らしい見方だ。

同じシュールレアリストでもダリが絵で大きな声でおしゃべりするタイプならマグリットは低い声で静かに話すと言えるだろうと言う。 同じ形の帽子や衣類を身につけ、同じポメラニアンの愛犬に代々同じ名前をつけて飼っていたなどこだわりはあったが、マグリットは芸術家らしい奇妙な行動で人目を惹くような生活を嫌い、まともで健康的な生活をしているように見えた。しかしどこかに裂け目を作っていたはずだとも語った。


 話はシュールレアリズム芸術の多岐に渡ったが特に興味を引かれたのは絵の題名のことだ。マグリットの絵には描かれたものとはかけ離れたものが多い。女性と薔薇が「象牙の塔」、時計が「風」などがその例だが、寺山修司は「見えているものだけで題をつけたらつまらない。違う言葉で題をつけることで未知の詩的領域になる、描くことは名を付けることではないか」というようなことを言った。なるほど題の付け方で描かれたものに新しい魅力が付け加えられるのかと思わされた。これは一連の歌を詠む時にも考えておくべきだろう、タイトルももっと深く考えなければと覚えておく。

 このように興味深く面白いと思いながら話を聞いていたが、この感じが良く知的で魅力的な人物は素の寺山修司なのか、それとも彼が演じている「感じのいい人」なのかと考えてしまったのは、寺山について噂の断片のようなものを読んでいたからだろう。それと寺山自身がマグリットを「普通の健康的な暮らしをしている人」を演じていたと思っていたように、その言葉から感じたからかもしれない。

(写真は3枚ともNHKの放映画面からのものです)


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ルネ・マグリット



カンバスに出会ふはずなき物と物をならべマグリットらのつくりし世界


# by minaminouozafk | 2026-02-08 12:18 | Comments(0)

 今回の徐州滞在は6日間と長かったので、ご当地の名物料理やおすすめ料理をじっくり堪能することができた。


 通常、食事だけの時は4人掛けのテーブルが5つ6つ並んだくらいの店で、簡単に麺料理や小吃とよばれる包子や小籠包などの店を利用する。


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 気軽に知人をもてなす場合や友人たちと卓を囲み、お酒も飲もうという時は席も仕切られ円卓もあるような店を使うようである。この時は息子の同僚が私たちのために徐州の郷土料理である魚料理を出すところへ連れて行ってくれた。たくさんの料理が並んだのだが、三枚におろした白身魚を薄切りにして片栗粉?を薄くまぶして野菜も入った香辛料も結構効いているスープと地鶏をピリ辛のタレで煮込み、鍋の縁に小麦粉で作った薄いパン(面餅)を貼り付けて一緒にいただく郷土料理の地鍋鶏がお勧めと選んでくれた。


太好吃了!徐州特色菜  栗山由利_f0371014_15330672.jpg


太好吃了!徐州特色菜  栗山由利_f0371014_15325745.jpg


 日本の居酒屋風の雰囲気の店もある。徐州といえば羊肉串というほどらしく長い金串に刺さった羊のいろんな部位が、7割がた火が通されあとは目の前の炭火で自分で焼くといった形で供された。内臓まできれいに処理されて串に刺されて出て来る。写真は載せないが、目玉、腎臓、陰嚢も注文した。ここで言う羊とは日本のものとは違い、山羊だと思えばいいと息子は言っていた。


太好吃了!徐州特色菜  栗山由利_f0371014_15324814.jpg


 徐州は約3000年前の彭祖時代から羊肉文化が根付いている地域だそうで羊を扱う店は多い。もう一軒の羊肉の店は串焼きではなく焼く、蒸す、スープなどいろんな調理法で羊の全てが味わえるという店だった。中国の羊料理をこれほど食べたのは初めてだったが、柔らかく癖もなく焼いてもジューシーさが際立つ美味しい肉であった。これも写真は載せないが、息子が最後に注文したのが頭だった。40センチくらいの楕円形の皿に食べやすいようにそれぞれの部位を分けてくれていたのだが、目玉も頭蓋骨も脳みそもそれとわかるビジュアルだったが、頬肉は噛みしめると口の中に濃い味がひろがった。隣の席の人も残ったものは持ち帰りにしており、もちろん息子も店の人に頼んで持ち帰りとした。


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 体調も万全だったので美味しいものを美味しくいただけた今回の訪問だった。


太好吃了!徐州特色菜  栗山由利_f0371014_15321263.jpg

      人がゐておいしい料理があるところ笑ひ声わきあたたかくなる


# by minaminouozafk | 2026-02-07 15:50 | Comments(0)


先日の両親の墓参りは快晴。春のような陽気でした。

正月のおみくじに従って身を慎んで控えめにしていましたので、痛んでいた股関節と膝も、散歩を休み、ストレッチに励んでいたおかげでしょうか、まだ痛みはあるものの、5000歩程度は杖のお世話にならなくても大丈夫になっています。


そこで、墓参を済ませた後、以前から気になっていた園内の高台にある天拝山拝観所に登ってみることにしました。

そこは、太宰府に左遷された菅原道真公が、無実を訴えるべく幾度も登頂した天拝山を望む事が出来る場所のようです。


『太宰府春日神社』と書かれた鳥居の先の山道は、緩やかな石段に整備され、十段置きに段数が書かれています。

太宰府メモリアルパーク天拝山拝観所 大野英子_f0371014_07411833.jpg

108と書かれたところで石段は終り、私の煩悩は払われたのでしょうか。小さなお社がありました。


太宰府メモリアルパーク天拝山拝観所 大野英子_f0371014_07410434.jpg

その場所からは、広大な墓地と遥か博多湾まで見渡すことが出来ました。お賽銭を上げて、森を開いた道を進むと、ひと際高い場所に拝観所はありました。


太宰府メモリアルパーク天拝山拝観所 大野英子_f0371014_07405009.jpg

四方が深い木々に囲まれて、天拝山らしきものは、木々の間にちらりとしか見えませんでしたが菅原道真公の歌碑が置かれます。

    天つ星道も宿りもありながら空に浮きてもおもほゆるかな

万葉集では数少ない星を詠むうたです。星は占星術など、政治と深い関連があったので、万葉びとは星を歌に詠むことを控えたとも言われます。

拾遺和歌集のこのうたは京の都から遠く大宰府へ左遷される道中で詠んだとされます。政治的陰謀によって陥れられた自身の危うさ、不安が詠まれています。


そういえば、インバウンドでごった返していた太宰府天満宮にもずいぶん参拝していません。梅が咲くころ行ってみようかな。

久々に、深い森の気に触れることが出来、これからも墓参のたびに訪れたい場所が増えました。


太宰府メモリアルパーク天拝山拝観所 大野英子_f0371014_07403226.jpg

山道に沿って石楠花が植樹されています。150本あるそうです。まだ固い蕾でしたが春の開花の時期が楽しみです。


イタチかなハクビシンかな山道に落とし物してゐるいのちある


# by minaminouozafk | 2026-02-06 07:43 | Comments(0)