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舁き山登場  大野英子


7月1日の早朝散歩の時に、長法被姿の男衆が、各流れの山小屋に向かっている姿をあちらこちらで見かけたことを書きました。その散歩の帰りには町内の電柱等に、舁き山が通る道を神域化するための「御弊」と呼ばれる紙垂を挟み込んだ笹竹や榊が立てられている真っ最中でした。


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すごい数で、大変な作業だと思いますが、これを見ると神聖な気持ちになります。


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スケジュール表も張り出されます。ここに書かれていない、9日以前でも、子供山の櫛田入り奉納や舁き山など、地元でしか味わえない行事も粛々と行われていきます。


そして、3年前はわが家の町内である〈すの一〉が大黒流れの当番町で、舁き山を守る山小屋が設えてありましたが、同じ流れのなかで、持ち回りで毎年変わるため、今年はどこに設えられるのかは、部外者には判りません。


別の日の散歩の途中に、路地の奥を感慨深げに眺めているご婦人がいました。


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その視線の先の遙か路地の奥にまだ完成していない大黒流れの山小屋を見かけました。やはり、ご婦人にも、3年ぶりという思いが溢れていたのでしょうね。


ラッキーなことに、その後恵比須橋に差しかかる手前で恵比寿流れの山小屋を発見。

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今年は恵比須流れが一番山になるので、棒締めなども他の流れよりいち早く行われて完成させたのです。隣の小屋には、寝ずの番の男衆が居ます。ご苦労さまです。


本当に山が動き出すのだなぁと、ワクワクしてきます。


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こちらは商業施設であるリバレインに置かれている、お馴染の飾り山。今年は一段と気合が入っているように見えます。標題は「西国無双忠節誉」。おぉ、これは太宰府四王寺山の岩屋城に立て籠もって島津軍との激戦の末、壮絶な最期を遂げた高橋紹運の息子で、九州平定に活躍し、のちに初代柳川藩主となった立花宗茂の物語ですね。


そういえば数年前、柳川は立花宗茂と妻誾千代姫を主人公とするNHK大河ドラマ招致活動に力をいれていたけど、どうなったのかなぁ。実現してほしいな。

ぜひぜひ、リバレインの飾り山へも足をお運びください。


(おとこ)()の下駄や草履の音ひびき博多に山笠(やま)の夏よみがへる


# by minaminouozafk | 2022-07-08 08:44 | Comments(5)

今日は七夕。

先月のこと。ばね指が治ったと思ったら、中指の付け根に固いしこりが出来たので、受診するとガングリオンと聞きなれない名前を告げられた。「ほっておいても大丈夫ですよ」という先生の言葉に安堵しそのままにしているけれど、そうはいってもなんとなく気になっていた。

ところが、「ガングリオンって怪獣の名前みたい。あまり強くなさそうな。」と友人に言われてから、てのひらを見るたびに小さな怪獣を想像するようになった。大きくならないでねと触れながら不思議と和んでいる。

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ここ最近、良いことと悪いことがかわるがわるやって来る。ちょうど夏越の祓の時を迎えたので、半年の穢れのお清めにと今八幡宮に参拝に出かけた。7月に入っていたものの、境内に茅の輪はそのまま飾られていたので、くぐってお参りさせていただいた。


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今八幡宮は山口の総鎮守として古い歴史を持つ神社で、社殿は室町時代に建てられた。現在は令和の御屋根葺き替え事業中で、2月の節分の時は、本殿の屋根の作業中だったが、今回は拝殿にシートが掛けられていた。作業の終わった本殿はこけら葺きの屋根が小雨の中にも黄金色に美しく見えた。葺き替え、修理が終わる来年には再び厳かな姿が見られることだろう。


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今八幡からの帰りに竪小路の和菓子屋さんに寄ると、夏らしい和菓子がいくつも並んでいた。今日は天の川と水枕(?)とびわの三つを選んだ。買う度に季節を手にしているような気持ちになる。


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和菓子屋さんを出ると向かいの昔ながらのお店の張り紙に目が止まった。楽しくてこちらも購入すると、帰りの車の中は麦みそ特有の香りが漂ってきた。今朝のお味噌汁に入れると懐かしい味だった。


今夜は天の川を見ることができるだろうか。予報では曇りがちとのことなので雲の晴れ間に少しだけでもと願っている。畑にでると花オクラが根付いていた。


悪きこと良きこと互みにある生のひと日の空に見る天の川




「水城」282号が届きました。昨日の有川知津子さんのブログにありましたように巻頭詠の批評を書かせていただきました。末広さんの10首はかつてお住まいだった地を訪ねての作品で、その最後の歌には「はちみついろのゆふばへ」という美しい比喩がありました。懐旧の甘やかで切ない思いと実景が結びついていて、この言葉に象徴される連作の世界が胸を打つ作品でした。改めて自分の文章を読み直し恐縮していましたところ拙文へ温かいお言葉をいただきありがたく思っています。今回、このような機会をいただいて、勉強できましたこと深く感謝しています。







# by minaminouozafk | 2022-07-07 10:46 | Comments(5)

「水城」282号 有川知津子_f0371014_23081443.jpg


 「水城」282号が印刷所から届きました。「水城」は年3回、3月、7月、11月のそれぞれ10日付けの刊行ですが、会員、編集委員間の相互協力で、少し早めに仕上がります。本誌もすでに、手元に届いた方もあることと思います。支部歌会で手渡しの方、個別送付の方はいましばらくお待ちください

 会員みなが、少しずつ歌への思い、人への想い、そして時間を持ち寄って形になっいく「水城」です。



 この282号では、前号の巻頭詠評を鈴木千登世さん(山口支部)にご執筆いただきました。執筆者の鈴木千登世さんは、当ブログの木曜日担当の千登世さんと同じ千登世さんです。水城からの執筆のお願いをこころよく容れてくださりありがとうございます。



 鈴木さんは、281号の末広芳子さんの「わすれじの場所」(十首)について、「連作の構成」というタイトルで書いてくださいました。

 十首に揺曳する「戻らない日々への哀惜」を汲み取り、全体(構成)のバランスを考察しつつ、歌に籠めた思いがより生きるにはどうしたらよいかを、「焦点化」「平叙」「掛かりと受け」など、さまざまな観点から具体的に提示してくださいました。歌への道案内のような論考です。ありがとうございます。



 本号の刊行にお力添えをくださった皆様、縁あって本号を手にとってくださる皆様に、あらためて感謝申し上げます。



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唐突に〈フィンランディア〉はあふれたり隣の人の膝のうへより



# by minaminouozafk | 2022-07-06 06:00 | Comments(7)

還暦の日に  藤野早苗


 昨日、74日はアメリカの独立記念日で、フィリピンがアメリカから独立した日でもあるのだそうです。そして、不肖藤野の誕生日でもありました。笑笑。


 1962年生まれの寅年。ええ、ええ、還暦60歳です。おめでとう、自分。60年も生きてきたなんて全く実感がありませんが、でもこうして朝の机についてブログを書いていられる幸せにあらためて感謝しています。


 さて、そんな私の還暦バースデイにはあるミッションがありました。それは26年前、結婚と同時に職を辞し、年金保険制度上の立場としては、被保険者1号から3号(専業主婦)になる手続きのために区役所年金課を訪れた時のことです。窓口担当者は粛々と変更手続きをしてくださり、最後に一言、


 「満60歳になったら、この年金手帳を持ってまたこの窓口に来て下さいね。」


 もう26年前の、区役所担当部署の顔も名前も全く覚えていないようなその人との約束を、私はなぜかずっと律儀に覚えていて、ここ数年は誕生日がくるたびに、区役所年金課に行くまであと何年……、そんなことが頭をかすめていたのでした。


 で、昨日がいよいよ、その当日。普段より少し丁寧に家事を済ませ、お気に入りの着物、古い能登上布に博多半幅帯を締めてなんとなくビジネスモード。難しい話をされても頑張れるようにおまじないです。笑笑。


 

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 そんな感じで少々緊張モードで出かけていった年金課でしたが、結論から言うと、拍子抜け。www


 60歳になった時点で必要だったのは、年金保険料納付満期480カ月(40年)に満たない月数分の継続納付手続き。法律では満20歳になった時点で年金保険料納付義務が生じますが、学生の場合、その猶予期間が与えられます。私の場合は大学234年時がそれにあたり、保険料納付が約30カ月分不足しているのだとか。満額受給するための継続納付手続き書類申請してください、ということだったのです。


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 日頃からこういうことに関心をもっていらっしゃる方々には当然のことなのでしょうが、私には目からウロコ。夫が満65歳になった時(夫にはもう年金保険料納付義務はありません)、その時点で満60歳に達していない3号妻(つまり専業主婦)は、満60歳になるまで自分の保険料を支払わねばならないというシステムを知って驚いたのが3年半前。3号妻は夫の年金保険料に加味される形でしたので、実質保険料は支払っていなかったのだということを実感しました。この苦行も満60歳になるまでのこと……、そう思って頑張ったのに、ここからまた30カ月……。心折れそう。頑張れ、自分。でも、こうして窓口に来て、きちんと説明を受けて納得し、保険料滞納しなくて済んだのはラッキーだったのかも。26年前の約束を守れて良かった。肩の荷が一つ降りました。


 ここからおまけ。


 夫現在68歳は、年金受給開始年齢を70歳にしています。現行の制度下では繰延最長期間らしい。で、その受給開始年齢について少々気になることがあったのですよ、私。縁起でもないことを申しますがご容赦ください。夫は現在大変元気で、未だ現役で働いております。だからこその最長繰延受給なのですが、万が一、満70歳にならないうちに夫の身に何かあった場合、年金はどうなるのだろう……と常々思うことがあったのです。まあ、それまで年金受給をしなくても生活できていたことに感謝して、受給しなかったことを損した、という風にも思わないのですが、ただただ単純にどうなるのだろうと興味があったのでした。すると、そのお答えは、


 満65歳から逝去年齢まで、支払われるはずだった年金を、夫に代わって妻が受け取れる制度(訴求制度)があるとのこと。なるほど、そういうことだったのですね。窓口の方が、


 「国民のみなさまに損はさせないシステムになっていますからご安心ください。」


 とおっしゃったのはとても心強かったのですが、「じゃあついでにも一ついいですか?」と尋ねたこの質問、


 「では、夫が満70歳になって、一度だけ年金受給した場合は、その訴求制度はどうなるんでしょう?」


 について、


 「……あー、その場合はその制度はご利用いただけませんね。受給実績ありということになりますから……。」


 とおっしゃった時のきまり悪げなお顔に大変申し訳ないことをしてしまったなと反省しました。


 まあ、年金は自分のための積み立て保険ではないので、自分の納付金が誰かの命を支えているし、自分も誰かに支えてもらっている、その相互扶助だと腑に落ちれば、この日の出来事もなるほどな、と納得できるということですね。


 まだまだ修行が足りんな、私。



  魔女になる夢にまたやや近づきて台風予報聞いてゐる夜



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# by minaminouozafk | 2022-07-05 11:00 | Comments(5)


 早々と梅雨明け宣言があり、ここ数日ものすごい暑さだったが、今朝は台風の影響でとても蒸し暑い。しかしまだ7月4日。

 七夕もこれからだ。買い物のついでに訪れる忌宮神社。いつものように石段を上がると境内の中空になんだか白い網のようなものが見える。よく見ると願い事が書かれた短冊を飾った笹も数本左右にならんでいる。


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 そういえばもうすぐ七夕…しかし今まで忌宮神社で七夕の行事はなかったと思う。夏越の茅の輪くぐりは7月半ばだったはず。あとは8月7日からの数方庭祭。近づくと手水のあとの門の屋根から拝殿の屋根へ白い網が長く続いている。左右に笹飾りがある。よく見ると網には小さな電球がたくさん付いている。夜にはライトアップされるようだ。そういえば5月も鯉のぼりがたくさん境内を泳いでいた。コロナ禍で2年続けて数方庭祭の中止を余儀なくされている神社の苦肉の策かもしれない。いつものように拝殿の前に立つと七夕祭のお知らせがあった。中空の白い網は天の川なのだ。ちょっと前から短冊があるなぁと思っていたのだが、それがこんな形での七夕祭になるとは思わなかった。



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 短冊を読みながら、私もと思ったのだが、すぐには願い事を一つに決められず、また来週うかがおうと思う。幼い字で旅行に行きたいとか、戦争がなくなるとうにとか、切ない気持ちが風に揺れている。



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 境内の隅には掘られたばかりの大きな孟宗竹もある。昨年も一昨年も用意されたのに、最小規模の神事だけだった数方庭祭。今年こそは開催できますようにが、神社のそして長府の人たちの願いかもしれない。


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 ライトアップは7日まであるようだ。網の電球、天の川の向こうの夜の空。短冊の願い事を決めて行ってみよう。


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 数方庭祭の由来は仲哀天皇が新羅の塵輪を討ち取って、その首のまわりを踊り回ったのがその起こり。塵輪が眠っている鬼石のまわりを今も大きな孟宗竹を抱えて回る。いつも練習は7月半ばくらいからはじまり自宅からも遠くに太鼓の音が聞こえる。



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 そういえば息子たちが小さいころは長府商店街では7月から毎週土曜夜市があった。商店街にずらっと笹飾りがならんでいて、ヨーヨー釣りやゲーム、綿菓子、焼き鳥にビールなど商店街が一体となって開催して楽しかった。浴衣姿の子どもたちもいて夕涼みに何度ものぞいた。そのころも、以前はもっともっと賑わっていたと同世代のママ友たちは言っていた。小さいころは親子で、4年生になると友だちと自転車で行くのを愉しみにしていた土曜夜市。コロナ禍で中止となったが、年々小さくなっていた。コロナ禍の収束ののち復活することはあるのだろうか。



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 時代とともに祭も形を変えていくのは当然だ。天の川の流れも常にあらずだろうか。



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忌宮神社の宙に天の川 願ひをLED電球にたくす












# by minaminouozafk | 2022-07-04 07:17 | Comments(5)