人気ブログランキング |

 外で食事をしたときに、テーブルに季節に沿った箸置きが置かれているとお店の人の心づかいを感じて嬉しくなるし、お料理もより美味しく感じる。

私も箸置きが好きで、少しではあるが集めている。これ一つで私のさほど上手でもない料理が、ちょっとだけランクアップしたように見えるから不思議である。


f0371014_09544330.jpg

 これからの季節は、竹籠に小石をつめたものや鮎が良い。竹籠の箸置きは結婚した時に台所道具の箱に入れてきたもので、ふるさと大分で買った。別府の竹細工の職人さんの手によるものかと思う。新年の席には独楽と羽根つきの羽根。これは毎年来る中国、韓国からの留学生は喜んでくれる。夏はガラス、秋のお客さまには瓦に七草の絵が描かれたものを楽しんで使っている。値段も手頃だし、旅先でその土地の特徴あるものを見つけるのも楽しい。箸置きをきっかけに食卓での話が広がることもある。


f0371014_09543098.jpg

 普段は家族それぞれの干支の動物が描かれたものを使っている。未、午、丑、寅の四つで、使い始めて二十年を越えた。その間に寅が進学で抜け、丑が結婚で抜けた。丑は時々登場するが、寅の登場はきわめて少ない。たまに訪ねてきていた私の実家の両親、妹にはねこさん家族のものを買った。四匹家族だったので一匹余っていたのだが、わが家の丑さんがお嫁さんを連れてきてその一匹にもやっと出番が来た。

 西欧にはナイフレスト、スプーンレストがあるが、日本人の細やかなおもてなしの心の一つとして、箸置きは大事にしたいものだと思う。


もてなしの仕上げに添へる野の花は春陽のぬくみを微かにまとふ 由利


# by minaminouozafk | 2017-03-25 10:46 | Comments(7)


先日、ベランダで洗濯物を干していると、ただならぬ鳴き声を上げて椋鳥三羽が川辺の桜木の上で喧嘩をしていた。

いや、喧嘩しているのは二羽、もう一羽は離れたり、近寄ったり、おろおろと見守り仲裁しようと必死な様子。

椋鳥の雄の求愛行動は知っているが、一羽の雌を奪い合う喧嘩なんかするのだろうか…

しかし、そうとしか見えない。

「ああ、わたしのためにこんな愚かな喧嘩はやめて…」とでも言っていそうである。

そう言えば秋から冬は集団行動をしていたムクドリも、最近は単独行動になっているなぁ。

余りにも激しくて、しばらく見入ってしまった。ホバリングしながら蹴り合い、つつきあい、羽根のパンチを繰り出す。お互いの白い和毛ははらはらと散り、共にアスファルトの舗道に組みあったまま叩きつけられるように落ちる。

地上戦。

時には車道に転がり出ることもあり車が来たら轢かれるのではと、心配になる。

幸い、休日。たまに自転車や人が通るくらいで、そのたび木の上にあわてて戻るが、取っ組み合いは終らない。

見守る一羽も、共に上がったり下がったり忙しい。

別のムクドリ二羽、こちらはカップルが成立しているのだろう、どこからかやってきて電線の上から観戦している。

何度かそんな状態が繰り返され、どちらかが死ぬまで続きそうな勢い…

10分以上続いただろうか。

とつぜん、一羽の鴉が、低空飛行で「きみたち、うるさいんだけどーー」とでも言うように喧嘩のそばを飛び抜けていった。

その瞬間、喧嘩していたうちの一羽と観戦の二羽は、どこかへ飛び去った。終わった~と思っていると、残された二羽は共に一番高いニセアカシアの裸木のてっぺんに移り、穏やかに並んで時を過ごし、やがて仲良く住宅街へと飛び去った。

ネットで調べると、ムクドリは気性が激しく、くだらない取っ組み合いの喧嘩をよくやっているらしい。

その後も、あの時の二羽かどうかは判らないが、つがいのムクドリを電線や木の上で見かける。

恋の季節、繁殖期のはじまりですね。

愛されただれかを選べばしあはせになつたのだらうか否、愛したい

f0371014_07140751.jpg

喧嘩場面の桜の木と歩道をバックにラベンダーが咲きました。

水仙の

f0371014_07152818.jpg

f0371014_07154617.jpg
花が終った実家の庭にも黄水仙、ヒヤシンスが咲いていました。何もしないのに毎年咲いてくれる花たちに感謝です。


# by minaminouozafk | 2017-03-24 07:17 | Comments(8)

身籠もることは古代の人にとって不可思議な、それに増して幸いの象徴だったのだろう。妊婦をモチーフとした土偶を見つめながら、土偶を作って祈りを捧げた縄文の人たちを思った。



f0371014_04433149.jpg

f0371014_04433953.jpg
黒曜石


ここは長野県の尖石縄文考古館。八ヶ岳山麓の縄文遺跡から発掘された2000点あまりの考古資料とともに国宝「縄文のビーナス」(棚畑遺跡出土~縄文中期)と国宝「仮面の女神」(中ッ原遺跡出土~縄文後期)と呼ばれる二体の土偶が展示されている。

f0371014_04443776.jpg
縄文のビーナス
f0371014_04432435.jpg
仮面の女神

写真撮影が許されている!(嬉しい)ので、前後左右からビーナスと女神を見つめ、写真に収めた。


f0371014_04431167.jpg
縄文のビーナスの後ろ姿。ハートの形の腰からお尻のラインが愛らしい。

f0371014_04430775.jpg

墓地から出土した女神は前衛美術を思わせる神秘的な雰囲気。

時代も違い、おそらく祈られ方も違った二つの土偶。作り手はとうに土に帰っていなくなってしまっているけれど、そのあこがれというか畏れというか陶酔というか自負というか…時を超えた作り手の思いが伝わってくる。




春の初めの、青空が広がる穏やかな日。

f0371014_04432718.jpg



f0371014_04444913.jpg


考古館を出て、復元されている縄文時代の竪穴式住居の中に入ってみた。背後には栗や楢の木のある広葉樹の林があった。想像は縄文の暮らしへふくらんでいく。煮炊きする女たちと歓声を上げて遊んでいる子どもたち。男たちもくつろいでいる。時代は違っても幸いを祈る、人の感性のみなもとは変わらないものだと思う。黄金色の枯れ野を見渡しここで暮らしていただろう縄文の家族やその集落を思った。

今日のような穏やかな青空の日があったことだろう。風となってここにいない人を思う。



けふ一日無事に終えたる安堵もて空仰ぎけむ縄文人も


# by minaminouozafk | 2017-03-23 05:00 | Comments(7)

早苗さんの「絵葉書美術館」(2月21日 )を追っかけて書いている。

今日のタイトルの「躊躇われる」には、大きく二つの場合がある。

1 愛着があって手放しがたい。

2 こわい。

ここでは、1は問題にしない。

さて、この2の「怖さ」の意味合いは、次の二つの観点から考えることができる。

① 図像そのもの(つまり、見た目)の怖さ。

② 相手に通信文面以外の何かを暗示してしまうのではないか、という怖さ。

一つ例をあげよう。

(怖いので怖がりの方は、スクロールする前にご一考ください)

                    作品

            《ホロフェルネスの首を持つユディト》
                ルカス・クラーナハ(父)
                  1530年頃

f0371014_01015850.jpg


微笑をたたえるユディト。冷気ただよう美しさである。
手には、剣と将軍ホロフェルネスの首。切り口がなんとも生々しい。

二人の間に起こったことは旧約聖書外典に出ている。
ホロフェルネスは軍を率いてユダヤの町ベトゥリアを包囲していた。
ユディトはこの町を救うために将軍を誘惑し首をとったのである。

これは、①を満たしている。出しにくい。しかし出せないこともない。
このくらいの怖さなら平気そうな友人知人の顔が思い浮かぶ。使ってよさそうだな。
そう思ったけれども、すぐに②に関わることが頭をよぎった。

――想像はどこまでも行ってしまう。つらつらつらつら勝手に行ってしまう。

そういうわけで(どういうわけで?)、

ユディト嬢はもう何か月もこの部屋で微笑み続けているのである。

f0371014_01021037.jpg


これは、クラーナハが署名代わりに絵の中に描きこんだ紋章。
コウモリの翼を持つ冠をかぶった蛇が金の指輪をくわえている。
長男ハンスが死亡すると、コウモリの翼が鳥の翼に変わった。

  見ることはあまりないけど一枚の絵葉書いつもかばんの中に



# by minaminouozafk | 2017-03-22 06:15 | Comments(8)

3月18日土曜日、ダブルヘッダー。
午前中、福岡市文化賞贈呈式。博多区のアジア美術館あじびホールで。
f0371014_01533734.jpg
f0371014_01535899.jpg

夫の仕事関係者が受賞されたので出席。式典は滞りなく終わり、次の予定まで2時間余り。さて、どうしたものか…と考えて、ああ、そうだ、川端商店街散策に出かけてみようと思いたつ。あっ、ダメ元で、龍さんをお誘いしてみよう。(龍秀美さんは福岡市文学賞選考委員長。H氏賞ご受賞の詩人。通勤バスで詩作されていたことから、バス詩人と称された詩壇の重鎮)龍さん、穏やかな笑顔でご承諾。では、いざ、商店街へ。

まずは腹ごしらえ。鶏ソバの看板に魅かれ「東風 金菜亭(こち きんさいてい)」へ。この店名は、こっち来んさい…のもじりかしら。それはともかく、いい匂い。豚骨は苦手。ダシは鶏からあっさり取ったのが好み。ぴったり。注文したのは、黒わさびラーメン。
f0371014_01545056.jpg
スープにわさびが入っていて、ほどよく鼻腔を刺激する。細麺。チャーシューもあっさり。これまで食べたラーメンで一番好きかも。ご馳走さま。

さて、そのまま商店街を歩く龍さんと私。意外な賑わいに驚きを漏らすと、「あのね、ここの一番のお得意様は海外からの観光客なのよ。」と龍さん。彼らにとって、日本のデパートの品の価格帯は少々高め。センスも微妙に異なるらしい。それを全てクリアしているのが、こういう個人経営のお店。キャナルからの流れもあるらしい。龍さんは、以前は劉さん。台湾にご親戚が多く、実際によくお連れするとのこと。なるほど、勉強になりました。


と、あっ、可愛いお店発見。
f0371014_01551442.jpg
f0371014_01555533.jpg

久留米絣専門店だそう。店員さんが可愛い。「わ・らび」。着物で一番気になるのはお手入れ。洋服文化に慣れると着用後はすぐ洗濯しなければ、と思いがち。でも、絹だとそれは無理。実際は肌着に気をつければ大丈夫なんですけどね。でもやはり気になる人に最適なのが木綿の着物。久留米絣は最高ですね。高価な手織りはちょっと無理かも、だけど、機械織りなら、柄も豊富で比較的安価。可愛い。締めやすいポリの半巾帯とコーデして着たいなあ。次回、ゆっくり伺いますね。あ、龍さんの今日のお召し物は、手織りの久留米絣のジャケット。ヒェ〜。 
f0371014_01564464.jpg
f0371014_01565931.jpg


さらに商店街を歩いて櫛田神社へ。すごく昭和な路地を見つけてパチリ。ここを通り抜けると、「かろのうろん」だな。
f0371014_01572082.jpg


そうこうしているうちに、午後の予定の時間。福岡市文学賞贈呈式。短歌部門の選考委員なので、出席。
f0371014_01581667.jpg
今年の受賞者は、三輪良子さん。「心の花」所属、歌集『木綿の時間』でのご受賞となりました。(当ブログでも2016年9月ついたち書評を書かせていただきました。御参照下さい。)三輪さんは私の敬愛する歌人。というか、人間性が素晴らしい。包容力があり、そばにいると気持ちが解けてくるのがわかります。お人柄そのものの御歌集。ご受賞、おめでとうございます。
f0371014_01574788.jpg

詩部門の選考委員の樋口伸子さんにもお会いできました。先日『本の瓶詰』という面白い御本を出版されたばかり。じっくり読ませていただいております。書評は近々書かせていただきます。
f0371014_01585383.jpg
(右から、樋口さん、龍さん、私)


忙しい1日でしたが、皆さまにお目もじできて、嬉しい1日となりました。
ありがとうございました。




「通りもん」「ぶらぶら 」銘菓の名にし負ふ博多はそぞろ歩きがふさふ



# by minaminouozafk | 2017-03-21 01:52 | Comments(7)


硬直する前のまだ柔らかい魚を魚屋さんはビタと言う。今日の鯛はビタやけえ刺し身にええよ。と勧められる。本当に新鮮な魚は美しい。アマダイは薄いブルーのシャドーが入って艶々。ムツつまりノドグロもきれいで安い。連子鯛もピッカピカ。赤い魚を古くは赤女といったらしい。今日は赤女がいっぱい。甘鯛をあんかけにしよう。ねっとりとしたやさしい身は絶品。3枚に卸してもらって、あらは味噌汁に。



f0371014_06532803.jpg


長府での暮らしももうすぐ30年。食べること大好きな我が家の味方は、中浜市場だ。魚屋が多いが八百屋、惣菜屋、乾物屋、肉屋などがある。



f0371014_06533800.jpg


イサキ1匹買ったら半身は刺身用に、半身は塩焼き用、あらは味噌汁用と捌いて、ペーパータオルで包んで氷をたっぷり詰めてくれる。

ノドグロも背開きにして塩をしてくれるので冷蔵庫でちょっと寝かせて生干しがおいしい。

大きな鰆はまず刺し身、塩焼き、翌日しゃぶしゃぶ、フライ、とってもおいしい。

まるまる太った鰯は丸のまま塩焼きに。刺し身もおいしい。

3月は子持ちイカ、子持ちカレイと子持ちも美味しい。

そういえばこの冬ナマコを買っていない。というか魚屋で見ていない。

金太郎やエソなどの小魚もきれいに背開きにして骨も除いてあるからそのままフライやピカタに。

今はアサリもおいしい。長崎の小長井産はぷっくりして今年すでに5回目。

生ワカメもたっぷり買ってさっとボイルして小分けして冷凍。酢の物やお味噌汁に便利。



f0371014_06535077.jpg


 それぞれの店に顧客はいるが、年ごとに市場の人通りは少なくなっている。長府の友人でも中浜市場で買う人はほとんどいない。こんなに近所で手頃に買えるのに。それぞれの店も後継者不足。魚の種類も量もだんだん少なくなっている。専業主婦は希少だし、週末にまとめ買いが多いのかしら。


f0371014_06540173.jpg



我が家のメニューはまず魚次第。魚屋さんを覗いて、おすすめがない時は肉メニューに。そのあと八百屋さんへ、最後にスーパーの日乗。


f0371014_06540754.jpg


甘鯛の野菜あんかけ、子持ちイカ、セリの胡麻和え、あらの味噌汁

ななみ


# by minaminouozafk | 2017-03-20 07:03 | Comments(7)

天井  大西晶子




ピロリ菌の有無をしらべる検査を受けに来た。

5分間横になってください」と言われる、手持無沙汰だ。天井を見る。

気がつくと、天井にU字型カーテンレールが付いている。下がっているのは
点滴注射などの袋を掛ける金具。
他にもたくさん金属の棒が下がっている、じっくり見るとなかなか面白い。
こっそり写真を撮る。仰向けに寝たままで写真を撮ったのは、初めてだ。
    

f0371014_15330647.jpg


天井を眺めている間に思い出した。
あれは12~3年まえ、母が病院で検査を受けに行くのに付き添った時のことだ。
待っている間、読むものを持っていなかったのであたりを眺めていた。そのとき視野の隅を動くものが横切った。
視線を上げると天井のあたりのレールのようなものの上を、ファイルらしきものが静かに移動していた。部屋の角ではぎこちなく向きを変えて更に動いて行く。
あれは何だ?


家に戻って病院勤めの家人に訊くと、カルテの入いったケースが天井近くのレール?を通り、目的の診療科まで送られているのだろうと言った。
家人の勤務する別の病院ではカルテを筒状のものに入れ、圧縮空気圧でパイプを通して送っていたらしい。
その後、ほとんどの病院で電子カルテを使うようになったので、今では圧縮空気圧もレール風方式も使われていないだろう。
そもそも紙のカルテがあるのかどうか。


子供のころ熱があると天井の木目がだんだん人の顔に見え、迫って来るようで恐ろしかった。
また、くも膜下出血後の意識朦朧としていた母が 「寄生虫が天井に居て、動くと蛍光灯が点いたり消えたりするの」 と言ったことは、全快した後で笑い話になった。
病院の天井を見ていると、いろいろなことが思い出される。


ところで、私が受けた検査はピロリ菌退治の薬が効いているかどうかを調べる検査だ。5分間横になった後で15分間すわり、そのあとで袋に呼気を吹きこむと検査は終了。
2週間後にまた、検査の結果を聞きに来るように言われる。
胃カメラ以来の検査を受けた病院は、家人がときどき仕事でお世話になる直方市の駅前の病院だ。



せっかく来たので直方市のことも書きたかったが、空腹(検査前の食事の禁止で)なので、いそいで宗像に戻って来た。
次回、検査結果を聞きに来るときは、すこし町を歩いて街の紹介もしたい。
  
f0371014_15332517.jpg

                             病院の玄関から見えるJR直方駅
   
                             下は駅前に立つ地元出身の大関魁皇の像
f0371014_15332940.jpg


 お腹をすかせて帰宅したら青天井の下、〈匂い菫〉 が迎えてくれた。  

f0371014_15335990.jpg

     
   白塗りの天井の裏にかくしおく秘密あらずや診察室に  晶子





# by minaminouozafk | 2017-03-19 07:24 | Comments(8)