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五行歌  百留ななみ


短歌は五・七・五・七・七からなる定型の詩。近代詩歌の一ジャンル。

基本的には五句の三十一音の短歌。



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先週ショッピングモールをあるいていたら多目的スペースで「夏の五行歌写真パネル展」という催し物をしていた。五行歌?と思いのぞいてみた。


チラシにあるように 「字数にこだわらず、現代のことばを、そのままに、自分の呼吸で、五行に分ける詩」 のようだ。ルールは五行だけのようだ。はじめて聞く言葉だが、全国に支部もあり、愛好者は50万人と書いてある。このパネル展は関門五行歌会の主催らしい。


パネルをながめていると主催者らしき人に短歌や俳句よりも気軽ですと声をかけられた。帰って調べてみると、1938年生まれの草壁焔太が創始者。「日本歌人」に学生のころ所属していたようだ。のちに詩人として作品をつくるうちに、五行という詩型で心をあらわすようになる。


草壁氏の四十代の最初の五行歌集『心の果て』より

こんなに

寂しいのは

私が私だからだ

これは

壊せない

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そういえば短歌にも分かち書きがある。

石川啄木や釈超空などが思い浮かぶ。啄木は三行書きの作品が多い。


やはらかに柳あをめる

北上の岸辺目に見ゆ

泣けとごとくに   石川啄木

はたらけど

はたらけど猶わがくらし楽にならざり

ぢつと手を見る  石川啄木

釈超空は一字あけ、句点、読点がその作品に多用されている。


葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり  釈超空


 分かち書きや一字あけ、句点、読点によって生じる間。それによって意味が生まれ、ある意味で詩的になるのかもしれない。一字あけ読点は私も悩みながら使っている。


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帰るときに関門五行歌会の代表の方から良かったらどうぞと、『坊ちゃん』の文庫本をいただいた。こんなこともしています、と。大活字本だ。図書館などにも配っているらしい。発行は下関市内。出版社を退職されて下関に帰ってこられたようだ。たしかに16ポイントのゴシック体は読みやすい。下関でのなにげない小さな出会いがうれしかった。


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梨ひとつ皮ごとかじる透明の十代のわれあらはるるまで







# by minaminouozafk | 2022-09-05 07:30 | Comments(4)


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このところ朝夕が急に涼しくなってきた。それでもまだ日中は30℃を超える日がつづき、めずらしく福岡市内よりも暑い35度を超えた日があった。その日は外出したついでに海が見たくなり〈道の駅むなかた〉に近い〈北斗の水汲み公園〉に行ってみた。

ここは宗像市内を流れる釣川の河口の春には貝掘りの人でにぎわい、冬には渡り鳥が集まる砂州と隣接している。駐車場からはすぐに浜に出られ、海岸で釣や散歩をする人が来る場所だ。

車を停めてしばらく海を眺めているだけでも胸が晴れて来る。だけどこの日はちょっと変わったことがあった。立て看板が立ててあったのだ。


アカウミガメの産卵地  大西晶子_f0371014_21510896.jpg


文面は「ウミガメの足跡をみつけたら連絡を」とあり、そのあたりはアカウミガメの産卵地で、もしキャタピラの跡のような亀の足跡を見つけたら市に連絡をして欲しいというものだった。

以前からそのあたりのさつき松原と呼ばれる松林とその外側の砂浜にはアカウミガメが上陸して産卵することが知られている。それで砂浜を清浄に保つためにボランティアで定期的に浜辺の掃除に参加する方たちも多い。


しかし海亀がいつ産卵するなどという知識はないので、その立看板に書いてあった「お盆前後に亀が上陸して産卵する」ということは初めて知った。

浜辺を少し歩いてみてもキャタピラの通った後のような足跡は見つからないが、この立て札のお陰でアカウミガメが本当に宗像市の海岸に来て産卵するということに実感が湧き、幻のように思っていた海亀に親しいものを感じた。

わたしの持っている海亀のイメージは南方の海に居る非日常的な生き物だったが、アカウミガメは本州の太平洋側では九十九里浜のあたりでも産卵をするそうだ。それに比べると福岡県はかなり南で亀が産卵するのには向いているのかもしれない。


日本全国にリュウグウ伝説があるようだけど、これまで海亀との関連など考えたことが無かった。しかしもし浦島太郎が九州以北の人物であれば、背にのせた亀はアカウミガメだっただろう。福岡県にリュウグウ伝説があると聞いたことは無いが、亀さんは今もときおり来てくれているようだ。



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竜宮の入り口はここ真夏日を白砂ひかる玄海の浜


# by minaminouozafk | 2022-09-04 09:40 | Comments(3)

 先週の日曜日、わが家とおなじ町内で棟上げの餅まきがあった。今どき、餅まきまでするお宅は珍しいので、近くに住む孫にも声をかけたら時間に合わせてやってきた。

 新しい家が建ちあがるのは、よそのお宅であってもわくわくするものである。わが町は校区の中でも高齢化率がダントツに高い町内で、その割合は三割を超えている。


 私たちが越してきて21年になるが、当初もご近所のみなさんは70代、80代の方が多かった。お向かいのおじいさんは軽四輪に船を曳いて海釣りに行くのを楽しみにしていて、よく釣果のおすそ分けにもあずかった。裏のおじいさんは話好きで勝手口で立ち話をすることも多かったし、隣のおばあちゃん姉妹はいつも気さくに声をかけてくれた。娘さんのところへ引っ越した方、施設に入った方、残念なことに鬼籍に入った方もいる。越してきた当時はまだ40代で息子たちも中高生だった私たちが、若い人が来てくれてよかったと歓迎していただいたのがつい最近のような気がするが、あれから20年、今度は私たちが若い家族を歓迎する立場になってしまった。


 餅まきの時間が近づくと、近所の人や小さい子どもの手を引いた人がぞくぞくと集まってきて、二階に並んで挨拶をした施主さんは、まだ幼稚園児くらいの子どもさんもいる若い家族で、嬉しさと緊張の混じった様子がとても微笑ましかった。小さい子たちを前に呼んで始まった餅まきは、私自身、何十年ぶりだろう。孫は拾ったお餅やお菓子を入れる籠を持ってきており、最後に大きなお餅まで手に入れて初めての餅まきに大はしゃぎだった。


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 餅まきが始まる前に今年町内の組長をしている夫が、公民館だよりを配る途中で棟上げの様子を見ていた施主さんに声をかけたからだろう、縁起物の四隅餅を持ってきてくださった。ありがたいことこの上ない。


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 核家族化が言われるようになって久しく、町内には90歳を越えてもお一人で暮らしている方も少なくない。わが家にしてもしかり、息子たちが福岡に住む可能性はほぼ無いし、お互いに同居などは考えていない。いずれどちらかが一人暮らしになるのは間違いない。うちの町内では一人暮らしの高齢者や身体の自由がきかない方を対象に、独自に「見守り隊」という組織をつくっている。台風や地震などの自然災害が起きたときの避難や、通常の見守りのために対象者一人につき数人の介助者を決めている。まだこの機能を最大限に活用しなければならないほどの事はおこってないが、わが家も90代の方の担当になっており「草取りをしていた」とか「表で立ち話をしていた」とか、少し遠くから気にかけている。


 ただ、私たちも70歳が目の前で老いは近づいて来る。昨年、歩けなかった時期やこの前のコロナに罹ったときもご近所さんからの声かけは心強かった。共助がスムーズにできる環境を作ることの重要性をひしひしと感じている。


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   紅白の餅が舞ふ空とびきりにあかるく子らのこゑも舞ふ空


# by minaminouozafk | 2022-09-03 11:47 | Comments(5)

命拾い  大野英子


とは言っても、奥歯の話。


8月に入り、仕事の疲労がピークに達するころ、左下の奥の歯茎が痛み出したのです。

23日で腫れは引くかな、くらいに考えていたのですが食べることもままならないくらい痛みは激しくなるばかり。さすがに盆にかかってはマズイと思い、病院の予約が取れたのが8日。副院長に見ていただき、一番奥の歯周ポケットが深くなって、出血をしているので洗浄をして貰い、使いやすい歯間ブラシの正しい使い方を勉強させていただきました。


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その時購入したものが、これ。ブラシの部分が交換可能なSサイズとSSサイズ。市販のものは取っ手が短く使いにくく、今まではデンタルフロス派でしたが、奥まで入って使いやすい。


出血するのは、悪い血。じゃんじゃん使って出してくださいと念を押され、痛み止めと抗生物質を出していただきました。病院は11日から盆休みのため(羨ましいなぁ)念のため10日にもう一度洗浄に行くことになりました。

当日、仕事を終えてあたふたと駆けつけました。痛みはまだ、残っています。


定期検診でいつもお世話になっている歯科衛生士さんが歯周ポケットの奥の歯茎が腫れていることを指摘。すぐにCTを撮ってもらい、奥の歯の根っこがほとんどなくて歯茎に乗っかっている状態であることが判明。(根っこのない歯の、なんて可愛らしい姿なこと!)歯のぐらつきもあるようです。歯周ポケットの悪化と、咬み合せが悪いため(夜はマウスピースを使っているのですが……)奥歯に負担がかかりすぎていることが原因のようです。


治療方法はあるものの、一時的なものであり、医師の自己満足でしかない(こういうあけすけな物言いが好きなんです)。と言われては、とっとと抜くしかないですよね。


盆明けにすぐにと言われましたが、予約が取れる日と、私の休みが合う日を探すと26日しかありませんでした。再び、痛み止めと抗生物質を多めに出してもらいました。


その間せっせと、薬を飲んで、歯間ブラシでケアに励みました。いつの間にか痛みは消えていました。

それでも当日、根っこがないなら仕方がないという思いで、病院へ。


これまで小学生の時に一度虫歯の治療をしたのみで、その後は虫歯なし。過去には「一般人も歯が命」というスローガンを掲げた病院で正しい歯磨き方法を学ぶために通った経験もあります。今の病院にも何年も、3か月に一度の定期検診を続けて来て、こんな日が来るなんて……。


定時に案内され、治療台で「では、麻酔をかけます」と言われた時に、思い切って「もう、すっかり痛くないんですけど、抜かないと駄目ですか?」といってみました。


そこに副院長登場。ぐらつきもないことと、歯周ポケットも改善していることを確認し「これは抜くのはもったいない!」とお墨付きをいただき、全体のケアだけしていただき、無罪放免。

もちろん、次に同じ症状が出た時は抜きますよ、と笑顔で念を押されて。


それでも、普通は知らん顔して抜かれそうですが、良い先生です。

すべては美味しくごはんをいただくために、これからもケアに励みます。


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青空のはぐれ白雲が抜かれゆくはずだつた歯にみえた数日


# by minaminouozafk | 2022-09-02 06:55 | Comments(5)

畑に植えて以来、咲く日をずっと待っていた花オクラの花がようやく咲いた。レモンイエローの花びらも美しく、食べられるとあって期待も大きい……のだが、少々戸惑っている。


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というのも、植えて初めてわかったのだが、想像以上に大きいのだ。まず背の高さが152㎝の私の身長を超えてなお高い。プランターで芽吹いた小さな芽は、地におろすとぐんぐんその丈を伸ばし、同じ時に植えた夏野菜が収穫できるようになっても素知らぬ顔で伸び続けていた。枝分かれも盛んで、そのそれぞれに莟がついているので、一本で4、50(それ以上?) の花が咲きそうだ。


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花も大きい。以前に見ているはずなのに、実際に咲いている姿を見ると花だけのときとは迫力が違う。開ききった花はてのひらを広げたのと同じくらいのサイズで、直径20㎝ほどだろうか。次々咲く生命力に圧倒されながら見上げている。花びらは5枚で中心の紫色の模様がアクセントになっている。オクラの花の4、5倍の大きさだろうか。


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こちらがオクラの花。傍に緑の実が伸びている。同じアオイ科だけれど、実も花も食べられるオクラと違って花オクラは実が固くて食用に適さず花だけを食べる。


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まだ、開ききっていない朝方に収穫して、ネットのレシピを参考に料理してみた。花は生でも火を通しても良い。


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花びらを刻んで、胡瓜と生姜と魚で和えた酢の物。花に苦みはなくしゃきしゃきした歯ざわりとオクラに似たとろりとした味わいがあった。ほのかにオクラの風味も感じる。


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天ぷらが美味しいとあったので、花びらを3枚重ねて揚げてみた。プロの方が揚げる紫蘇の葉のようにパリっと揚がると良いのだけれど、なかなかうまく行かなかった。熱でしんなりとなって酢の物よりもなおとろりとした味わいと風味。


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最も評判が良かったのが一口サイズのすし飯の上に紫蘇の葉、酢で締めた鯵と小葱を載せた花びら寿司。すし飯には茗荷を刻んで混ぜてみた。味はしゃきしゃき、とろりで、紫蘇や茗荷との相性も抜群。真ん中の柴漬けを載せたものもさっぱりして美味しかった。花びらの色がきれいなので、サーモンやイクラなどの色鮮やかな具材を載せると良さそう。今回はすし飯が少し大きすぎたので、もっと小さく握ってカラフルな具材を載せるとちょっとしたご馳走感が出そうだ。


以前に英子さんがしゃぶしゃぶにすると美味しいかもと書かれていた。花びらをお皿に盛ると見栄えも良く、量もたくさん食べられそうだ。次はしゃぶしゃぶを試してみたい。 

  

 ☆  ☆  ☆


実は、最初は一畝だけに植える予定だったのだが、プランターに余っていた苗があるのを見つけた家人が、空いている畑二畝に植えてしまった。……まさか、こんなに大きくなるとは。畑の一角は密林状態となっている。しかも、花一輪が大きく一本に咲く量も多いので、家族二人で食べるというより、出荷するレベルの量。一日花なので、お裾分けも限られてしまう。

お浸し、野菜サラダ、しゃぶしゃぶと新たなレシピを探しながらせっせと食べることにしよう。


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こんなに小さかったのに


 朝方から台風由来の風が吹き始めた。背が高いだけにゆらゆらと大きく揺れている。

 かなり勢力の強い台風という予報が出ています。皆さまどうぞお気をつけください。


一粒の種の秘めもつエネルギーわつと発せり 花オクラ咲く


# by minaminouozafk | 2022-09-01 09:37 | Comments(6)