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Society5.0   藤野早苗

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自らのノープラン、ノービジョンのためにとんでもない忙しさを招いてしまった今年。来年こそはいきあたりばったりではない一年にしたいものだと、来る年についてちょっと真面目に考えてみました。

 Society5.0。大掃除も一段落した昨日、SNSで目にした言葉です。現役で働いている方には知っていて当然……ということを知らない私。この言葉もそう。聞いたことはあるけれど、日々の忙しさに追われてそのままにしてしまったワードの一つです。ちょっとグーグル先生に教えていただきましょうかね、と検索をかけてみたところ……、

・Society5.0とは
 サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。
 狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続く、第5期科学基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として提唱されたもの。
 
 現在の情報社会(Society4.0)では、知識や情報が共有されないことで、分野横断的な連携が困難であったり、溢れる情報から必要なものを入手し分析するのが負担だったり、年齢・障がい・地域差などによる格差が生じたりと、情報そのものを十分に活用できていない状況がありました。つまり情報はそれを占有できる一部の人間にとっての特権的事物であったということでしょうか。

 けれど、内閣府によるとこのSociety5.0が実現された社会では、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、Society4.0で積み残された問題がAI(人工知能)によるイノベーションによって克服され、これまでの閉塞感を打破し、希望のもてる社会、世代を超えて互いに尊重しあえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となるのだそうです。

 夢のような話ですね。Society4.0においてすでに手遅れとしかいいようがないくらい落ちこぼれている私にとって、この5.0を都合よく解釈すると、「あなたが苦手なIT関連のことは全部あなた専用のAIさんがやってくれるから大丈夫よ。」ということになるのでしょうか?(あまりにも安易な理解ですみません。)

 便利なようで、実はけっこうおそろしい(かも知れない)Society5.0。知らないうちにとんでもないところに運ばれてしまったらどうしよう、と「ドナドナ」の牛のような気持ちになってしまった2019年大晦日。まあ、この危険に気がついただけでも考えた甲斐はあったと思う、基本能天気な私です。


  大歳の湯船にうかぶ柚子の実の幸せだなつて感じの黄色

 
 *「南の魚座」vol.3、出ました‼︎

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ひがしはまねさんの装画が美しい。



 SNSでお知らせいたしましたところ、何名かの方から「読みたい」との嬉しいお言葉を頂戴いたしました。ありがとうございます。残部、若干ございます。ご入用の方はコメント欄、もしくはメッセンジャーにてご連絡下さいませ。

 チーム「南の魚座」の一年を振り返って画像を何枚か貼っておきます。

 今年も本当に色々ありました。みなさまのおかげをもちまして、充実した良き一年を過ごさせていただきました。ありがとうございました。
 みなさまにとって、来る年がますます素晴らしい年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。

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「南の魚座」vol.2の批評会(という名の観光)
@山口湯田温泉。3月。


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5月、「短歌フェスタ福岡」。

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9月、「筑紫歌壇賞」贈賞式。



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10月、和布刈歌碑建立40周年記念歌会。

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9月、コスモス全国大会。

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11月、白秋祭。

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11月、福岡県短歌大会。

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県短歌大会宴会。笑。

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12月、高野さん、「現代短歌大賞」授賞式。


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「現代短歌大賞」授賞式にて。
高野さん包囲網。











 

by minaminouozafk | 2019-12-31 10:39 | Comments(7)


あと2日で今年も終わり。

亥年から子年にバトンタッチ。忌宮神社の大きな絵馬もねずみに取り替えられた。




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ねずみ、ねずみ・・・モルモット

モルモットは天竺鼠科天竺鼠属。

モルモットのモックン。


モックンは次男が幼稚園からもらってきた。当時幼稚園ではモルモットを飼っていて次男はよく遊んでいた。だから赤ちゃんが生まれたらあげるよって言われていたらしい。とりあえずゲージを買ってきてその中にいれたのだが、気がつくとアパートの床をちょろちょろ走っている。息子たちが外に出しているのだ。でもその姿はなんとも可愛くてしばらく野放しにしている。アビシニアンモルモットでふわふわとした長毛で三毛の色。しかし小柄ながら大食漢のモックンはあちこちに粗相するから目が離せない。テンジクネズミ科はカピパラなどもいる。


1年ちょっとして年長さんのころに家を新築した。モックンも一緒にお引越し。新しいリビングでの粗相は気になる。そこで庭でのお遊びタイム。はじめて植えた小松菜によじ登るようにして食べる姿はたまらなくかわいい。



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しばらく自由に遊ばせておいても庭から出ていくことはなかった。抱っこも大好きで人懐っこいモックン。旅行に行くときはゲージごと友人にあずけたり、実家には車で一緒に移動した。


7年くらいたったころだろうか。だんだん外に出してやっても走り回らなくなってきた。モックンも爺ちゃんなんだろう・・・と思うようになった冬。夜はしっかりゲージに小さめの毛布を掛けてやっていた。朝はちゃんと手から人参を食べていたが夕方みると大好きなレタスがそのまま・・・気になって念入りに新聞紙をたっぷり千切ってゲージに入れ、しっかり毛布をかけた。


翌朝ふわふわモックンは動かなかった。2月の寒い朝だった。抱き上げると冷たい。思わずモックンがモックンが・・・とおろおろ。息子たちのほうがしっかりしていた。もう小学校高学年。長男は中学生。お墓を作ろう。モックンが大好きだったタオルに包もう。おろおろする母をまえに2人は玄関近くに穴を掘ってタオルにつつまれたモックンをそっと置いた。やさしく手で土をかけ、目印にと工作かなにかで作った埴輪のようなものをおいた。見ているだけの情けない母のこころはじゅわじゅわ、そしてほんのり温かくなった。


いつものように朝ごはんを食べ元気に学校に行った息子たち。ずいぶん大きくなったなあ・・・と思った朝でした。


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しばらくは息子たちと手を合わせていたモックンのお墓。もうすっかり風化してしまった。ひさしぶりに手を合わせてみる。苔むした石のしたに眠るモックン・・・たいせつな思い出。



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ことし最後の月曜日、亥年さいごの担当です。私のつたないブログ記事を読んでいただきありがとうございました。
あたらしい子年、令和の時代をむかえます。みなさまに幸多き一年となりますように。




モックンのために植えたる小松菜が庭の畑のはじめの一歩















by minaminouozafk | 2019-12-30 06:00 | Comments(7)

バックアップ 大西晶子



バックアップ 大西晶子_f0371014_17203916.jpg

 先週の月曜日に突然7年使ったパソコンが動かなくなった。
 起動はするがアプリが次々に「応答していません」と止まってしまうのだ。しかもシャットダウンができない。
購入した店が近いので持って行ったら、「HDDがもうだめになりかけている、HDDを替えても次には他の部分がiいづれ壊れるので、修理はお勧めしない。」と言われ、仕方なく買い直した。

幸いデータはどうにか取って保存できそうだというのでほっとした。



店先の修理相談コーナーは年賀状を作ろうとしたらプリンタが壊れた人や、なにかアプリが使えなくなったというお客さんで混んでいる。しかも新しいパソコンも品切れ状態なのだそうだ。ウィンドウズ7のサポートがあとどのくらいだったか日数が残っていないので、代わりの機種を探す人が買ってしまった後らしい。それでも何とか在庫がある、これまでに使っていた機種と同じシリーズの新しいものを手にいれることができた。

後日セッティングに来てくれた人にデータもあたらしいPCに移してもらうことにしたが、一時は「データが取り出せなかったらどうしよう?」と本当に焦った。結局二時間近くかかったが、有難いことにデータはすべて新しいPCに移すことができた。
 「大切なデータはバックアップを取る」もちろんこれは常識なのだけど、たとえば「水城」の「群鶏」の合評の前評者お二人の文章などは「自分もすぐに書き終わるし」と、他のPCに送ったり、USBに入れたりはしていなかった。これからはもう少し用心深くならないといけないとしみじみと思わされた数日だった。


よりによってこの時期にPCが壊れたりして、年末の予定が数日遅れてしまった。それでも昨日、新年を迎える準備をするための買い物に行ってくることができた。
 今年は二人だけで過ごすお正月、そんなに大げさ準備もいらないけど、簡単なおせち料理としめ縄、鏡餅などの買い物だ。お正月のしたくの前哨戦というところ。
 こんなことをしている間に気持ちもだんだん新年に近づいていく。
 トラブルつづきのこの月だったが、あとは平穏に終わりますように。

   

           あたらしき白き布巾をおろしおく雑煮の椀と屠蘇器のために


バックアップ 大西晶子_f0371014_17290033.jpg



今日がことし最後の私のブログの当番の日です。一年間、当ブログをお読みいただきありがとうございました。

新年もよろしくお願いいたします。

どうぞ良いお年をお迎えください。




by minaminouozafk | 2019-12-29 09:40 | Comments(6)

 今月14日のブログに、わが家の猫ダオは分離不安症かもしれないと書いた。あえて病名は必要ではないが、たねがいなくなってその寂しがり屋が輪をかけてひどくなっていることは確かだった。相手をすると言っても、私の時間にも限界があるので、とりあえず膀胱炎の症状など病気のお世話はするものの、猫にべったりの生活はやはり無理があった。


 先日、1か月検診でダオの様子を先生に話したところ、その寂しがり屋ぶりには先生も少し驚いたようで、「お友達が必要なのかなあ」という話から、「福岡市のミルクボランティアさんが育てて新しい飼い主を捜している猫はどうですか」という話に一気に進んでしまった。福岡市では、動物愛護管理センターに収容された子犬・子猫が譲渡できるようになるまでの間、一時的に預かり育てるミルクボランティア事業を平成28年の9月から行っており、大きくなると動物病院を通じて飼い主さんを探す、ホームページで紹介して里親を募集しているとのこと。

 そう言われて、子猫と対面した時にはすでに気持ちは八割がた決まっていたのだと思う。夫は以前から二匹目の猫がほしいと言っていたので、私のゴーサインで話は決まった。


小米(シャオミイ)よろしく  栗山由利_f0371014_09391721.jpg

 譲渡に当たっては、責任を持って最後まで育てることへの誓約書にサインをし、万が一の場合の引き取り手も決めておかなければならない。そして、センターの方が自宅訪問をして育てる環境の確認と、私たちの気持ちの確認をするという流れになっており、軽い気持ちではダメなのである。


 そして、26日にわが家にやってきたのが生後二か月の真っ黒い(一部お腹が白い)子猫だった。私の心配をよそに、先住猫のダオとの対面も一度もフーーッとかシャーッとか火を吹くこともなく、一時間もしないうちに追いかけっこを始めるほどスムーズだった。順応性が高いというか、あっという間にキャットタワーの上段の巣箱と呼んでいる寝床も占領し、ダオの方があっけにとられているようだった。夜、疲れたのか脚を投げ出して寝ているダオの足裏をみると、急に走り回ったせいか肉球の皮が剝けて赤く血がにじんでいた。きっとこれはまだ序の口で、これからも話題には事欠かないだろう。この二日、ダオが私の膝に乗ってくる回数は随分少なくなった。ちょっと寂しい気もするが、やはり猫は猫同士仲良くやっていってくれるだろう。


小米(シャオミイ)よろしく  栗山由利_f0371014_09392550.jpg

 そして、この猫ちゃんの名前はシャオミイになった。漢字で書くと小米。その由来についてはまた後ほど。


 最後になりましたが、身の回りのちょっとした出来事のみの私のブログに一年間お付き合いいただきありがとうございました。そのような話題からでも社会につながる目を開いていきたいと思います。


 皆さま、よいお年をお迎えください。



    しあはせを手にした子猫がしあはせを運んでくれたメリークリスマス


by minaminouozafk | 2019-12-28 10:47 | Comments(6)

 先週、私には縁のないクリスマスと書いたのだが、友人から歌集出版のお祝いのプレゼントが届いた。イブに頂いたらやはりクリスマスプレゼントだよね~。と、ひとり盛り上がる。

クリスマスプレゼント  大野英子_f0371014_06550165.jpg

          博多織献上柄が美しいLEDライト付きルーペ。

 わが家にはルーペがひとつしかなく、パソコン机と居間のテーブルを行ったり来たりしていたので、大助かり。そして軽くて(本当に軽い!)持ち運びにも便利な袋入り。この年齢になると眼鏡をかけていても、買い物の時の商品の成分表や注意書きも「文字が小さすぎて読めな~い!」状態。

クリスマスプレゼント  大野英子_f0371014_06544294.jpg

シャキーンと伸ばすとライト点灯。かすみ目にも優しく、心強い相棒になってくれそう。

 博多織の伝統工芸士である友人は、聞いてもすぐに忘れてしまう私のために献上柄の由来を丁寧にメールで記してくれた。

  筑前藩主の黒田長政は幕府への献上品として博多織を選んだ。その模様は仏具の「独鈷」「華皿」との結合紋様と中間に縞を配し、それ以来「献上」と呼称されるようになった。

独鈷…自分の欲を捨てて、華皿…先祖を大切にし、縞…家族仲良く。

クリスマスプレゼント  大野英子_f0371014_06540365.jpeg

※2種類の縞はそれぞれ意味があり、太い縞=親、細い縞=子供を表現している。

中子持(親子縞)=両親が子供を守り育てる

両子持(孝行縞)=子供が文を慕う、年老いた親を子供が支える。

デザインの元が仏具であることから、帯として腰(身体の要)に巻いて、身を守る。

ふむふむ、勉強になりました。そういえば福岡県立美術館や福岡市博物館の建物の内外、お菓子やガイドブックにも使われ、観光ガイドをしてくれるタクシーもこの柄が目印。

この商品は、2017年12月22日のブログで紹介した工芸ガラスのお鏡餅と同じ博多リバレインの「HAKATAJAPAN」にあるそうです。

そしてもう一つ、イブの夜、もちろん予定も何もなく仕事から帰宅すると毎日新聞が送られてきていた。「詩歌季評」欄で私の歌集を取り上げてくれていたのだ。

クリスマスプレゼント  大野英子_f0371014_06480022.jpg

ほんの簡単な紹介だが、クリスマス・イブに届いたというのが何とも嬉しい偶然でした。

さて、二週続けて実家に帰り、障子の張り替え、窓拭きは済ませていたが、今日明日は最後の大仕事網戸洗いと正月のお飾りを済ませて、正月気分満々の庭の万両と共に気持ち良く正月を迎えたい。

クリスマスプレゼント  大野英子_f0371014_06474566.jpg

みなさまも良いお年を迎え下さい。

       鱗片の固きアロエはわたくしを待たせ待たせて終ふる元年


by minaminouozafk | 2019-12-27 06:56 | Comments(6)

昨日のブログでちづさんが、主要同人として「日光」を率いた白秋と夕暮の交流について紹介されていた。ちづさんの「白秋とともにあった時間が慕わしく思われたのだろう」という言葉に胸を衝かれながら読んでいると、ふと思い出したことがあった。でもそれはもやもやとした思いでもあった。実は、ご紹介していなかったけれど、長澤先生は白秋と夕暮の交流についても話されていて、そのお話は、夕暮の入院中に白秋と迢空が見舞いに来たというお話だったような……。

確かめてみると、それは昭和12年のことではなく、遡って、大正13年の「日光」創刊時のことで、夕暮は重度の糖尿病を患い、このままでは失明すると言われて入院中で、そこに白秋や迢空がお見舞いに来ることがあったということだった。時は違うけれど、二人とも同じ病気を患って失明のおそれがあるのをそれぞれ見舞っていたとは。

夕暮は「日光」創刊のきっかけになった人物なのに創刊号に歌がないのはこの入院ためで、さらに白秋から「とても散文がいいからたくさん書け」と勧められて「日光」に散文を書くようになったとも。白秋の勧めで書き始めた散文が後に『白秋追憶』につながっていく……。文学上のことを含めて、夕暮の文中の「友の好意」に二人の親密さを改めて思った。そして才能を見抜く白秋の目の確かさも。

白秋の目   鈴木千登世_f0371014_06590648.jpg



白秋の目   鈴木千登世_f0371014_06591098.jpg

柊の花。写真は10日前のものだけれど、庭に今も咲いていて、淡いけれど凜とした香りを放っている。例年はもっと早く11月ごろに咲き始めてこの時期にはもう散って花の姿はないはずなのに。



        ひひらぎの花白く咲きはるかなる歌人思ふその師を思ふ
 

さて、年を重ねると時間の流れは速いというのは本当で、今日は今年最後の木曜日。最後の担当。
慌ただしい中にも、少しずつ育っていくものがありますように。
そして、やってくる新しい年が皆様にとって幸多い年となりますように。


 お読みくださってありがとうございました。




by minaminouozafk | 2019-12-26 07:12 | Comments(7)


夕暮と白秋  有川知津子_f0371014_06233550.jpg



 二人の佳人(歌人)の深い交情からほんのわずかな断片をしたためて、令和初年の最後の水曜日を終えようと思う。



 この文章のきっかけとなったのは、千登世さんの、山口県総合芸術文化祭の講演「前田夕暮のあたらしさ」(講師・長澤ちづ先生)を伝えた堅実な報告記(11月28日、12月5日)である。夕暮の歌境の変遷をたどる講演録を読みながら、ともに主要同人として「日光」を率いた白秋との交流が思われた。


 

 前田夕暮には、白秋歿後に刊行された『白秋追憶』という文集がある。その表題からも分かるように、一書は白秋に捧げられている。夕暮はここに白秋から『雀百首』(限定100部。通番あり)を手渡されたときの感慨を記した。


 白秋君は昭和十二年の末に豪華版「雀百首」を草木屋出版部から刊行してゐる。

 これは歌集「雲母集」「雀の卵」「小田原歌抄」「白南風」雑誌「多磨」等から、雀の歌百八首並に長歌二章を自選したものである。

 その「雀百首」は、既に作者が糖尿病にかゝり、その療養のため、駿河臺の杏雲堂病院に入院した同年十二月二十日頃に刊行された。(発行日は十二月二十五日になってゐる)私が見舞に行くと、君はその時眼底出血後で視力は衰へてゐたが、意外に元気で、「雀百首」が昨日出来たというて一本を私の前に置いた。これはよい本を貰つたと思つて手にとつてみると、「限定壹百部之内、第五十五冊」としてある。私はその号数を密かに喜び、友の好意を更めて謝した。五十五といふのは私の年齢であるからである。白秋君はその時、五十三歳であつた。



 白秋は終戦をまたずに昭和17年に逝った。夕暮は戦後、資産を失い、文学者の戦争責任が追及される状況下を病を養いつつ生きた。そうした中で白秋とともにあった時間が慕わしく思われたのだろう、折々に書いたものが「いつしか堆積して略一冊の量となつた」(夕暮「巻末記」)。



 ほんとうは、夕暮のことばを引用するだけでじゅうぶんだ。



 昭和12年のその日に、夕暮が白秋から受け取った唯一無二の『雀百首』は、今、どなたの所蔵にかかるのであろうか。二人はともに多磨霊園に葬られている。




    照り返す冬の日差しは若くしてまなざしのごとし ひとをつつめる



夕暮と白秋  有川知津子_f0371014_06235212.jpg


ありがとう!




by minaminouozafk | 2019-12-25 06:30 | Comments(7)

 12月19日、上京いたしました。高野公彦氏、そう、われらが高野さんの「現代短歌大賞」ご受賞を祝う会の末席にこっそり加わるために、です。
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 今回の賞は、『明月記を読む』並びに全業績に対して贈られるもの。「全業績」と聞けば馳せ参じずにはいられません。年末、何かと多忙な「南の魚座」チーム、また「コスモス福岡支部」を(背負いきれないけれども)背負って、参加して参りました。

 18時の学士会館。もう会場満杯。昨年とはちがい、そこここにコスモスの友人の姿が。嬉しくて早速ご挨拶。ほかにも、結社は違えど親しくおつきあいさせていただいている方々にお会いしてお話させていただいているうちに、授賞式開始。

 大島史洋現代歌人協会会長のご挨拶。
高野公彦氏「現代短歌大賞」授賞式報告  藤野早苗_f0371014_10284928.jpg


 そして、いよいよ高野さんご登場。大島会長から贈賞です。
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 続いて、栗木京子さんからお祝いの言葉。
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授賞対象となった『明月記を読む』を詳細に読まれていることが伝わるご祝辞。中でも、「歌壇」1月号に掲載されている馬場あき子氏の作品、

 高野公彦の『明月記を読む』のある部分高野そつくりの定家がゐたり

 を引いて、「ある部分」について考察されていたのは大変興味深いものがありました(ここは後述する、高野さんの自己分析?に重なるところも多いので、そちらをご覧下さい)。栗木さんのにこやかな語り口から、お二人の温かな親交の様子が垣間見え、ほのぼのとした気持ちになりました。

 続く花束贈呈。
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高野公彦氏「現代短歌大賞」授賞式報告  藤野早苗_f0371014_10324951.jpg





 その中の一つを抱えた高野さんの受賞の言葉。ご長女なおいさんが送って下さった録画データを参考に、まとめてみました。
高野公彦氏「現代短歌大賞」授賞式報告  藤野早苗_f0371014_10332890.jpg


・この本の出版の経緯についてお話しします。17年くらい前に「短歌研究」の押田編集長から「なんでもいいから書いてみませんか?」と言われ、ちょうど堀田善衛さんの『明月記私抄』が出たところだったので、ああ『明月記』について書こうと思いました。とは言ってもこの作品について全く知らないところからでしたから、勉強しながらの執筆でした。5年くらい連載しました。その後、押田さんがご退職され、鳥山さんが編集長になられました。10年ほどが過ぎた頃、「高野さん、そろそろあの本出しましょうよ。今なら私もお手伝いできますよ。」とおっしゃっていただき、「ああ、ここでぐずぐずしていると永久に出版できなくなるな。」と思いいたりました。そこから準備をいたしまして、いよいよ出版となったのですが、その時にはすでに鳥山さんはご退職されて、國兼さんが編集長になっておられました。なので奥付には國兼さんのお名前が記載されています。この『明月記を読む』は三人の編集長のお力で出版の運びとなったわけです。

 『明月記を読む』は名歌、秀歌の鑑賞本ということで書きました。しかし、定家の『明月記』の記載内容は時代背景がはっきりしていて、当時の様子が克明にわかってとても面白い。その頃定家が何をして、何を考えていたかがよくわかるのです。今で言うところの「週刊文春」的な感じ。今の時代に定家がいたら「桜を見る会」なんかこっぴどく書いてるでしょうね。他にも、たとえば自分の息子為家が蹴鞠に夢中になって、歌のことを失念しているのを心配し、「このままでは歌の家がだめになってしまう」と心を痛めている様子なども書かれていて興味深いです。

 さきほど、栗木さんから私が定家に似ているというご指摘を頂戴しました。どこが似ているのか聞いてみたいけれども、聞くのが怖い気もします。でも、なんとなくわかる気はするんですよ。自分で思っているのは怒りっぽいところかな。気難しいところが似ているんじゃないかと思ってます。

 で、さきほど『明月記』には週刊誌的なネタの文章も多々あるという話をしましたが、たとえば、男女の密通とか、火災とか、まあいろいろな事件について事こまかに定家は記録しているんです。どうやって取材したかというと、家来をそこに行かせて詳しく報告させているんですね。今だったらいい「週刊文春」の編集長になるんじゃないでしょうか。

 こういう内容とか、また別のところでは容赦なく人を批判していたりするんですが、とても小さな小さなエピソードも、定家は実は残しています。自分もとても可愛がっていた、妻の猫が野犬に噛み殺されて「ああ、かわいそうなことをした。仕事をしていたら着物の中に入ってくるような可愛い猫だったのに。」と嘆いたり、庭にいた腹が膨れた蛇を家来に捕まえさせて、その腹を裂いて飲み込まれていた蛙を助けてやって水に放ったら、やがて元気に泳ぎはじめた、とほっとしたり。弱い者に同情し、優しい眼差しを注ぐ人であったことがわかりますね。こういうところを読むと、自分も学ばないと、と考えさせられます。

 さきほど、栗木さんのお話にも紹介されていた馬場さんの「高野そつくりの定家」の並びにこんな作品があります。

 塚本の定家あり高野の定家ありてわが定家家を出でてかへらず

 というものです。多分馬場さんもご自分で定家を書いてみようと思われたのではないかと思います。でも結局定家は家を出て行ってしまった……つまり書いてはいらっしゃらないわけです。女性が定家について書いたものは少ない。しかし、女性が定家を書いたら面白いものが書けると思います。ぜひどなたかチャレンジしてみて下さい。

 ありがとうございました。


 まことにざっくりですが(なおいさん、ごめんなさい)、こんな感じの和やかな受賞のお言葉でした。

 そして小池光氏の乾杯の音頭で始まる祝賀会。
高野公彦氏「現代短歌大賞」授賞式報告  藤野早苗_f0371014_10340764.jpg

 続いて、坂井修一さん、そして大松達知さんのご登場により、素晴らしいご祝辞をいただいたのですが、このあたりから会場、大変盛り上がり、聞き取るのが難しい状況に。私たちの友人大西淳子じゅんたんが、高野さんから本会のレポを依頼されて、ボイスレコーダーと綿密なメモを取っている様子を確認し、そこはコスモス本誌の記事を待っていただくことにいたしました。

 坂井さん、大松さん、ごめんなさい。
 お二方それぞれの「高野公彦」がくきやかに立った素晴らしい祝辞でした。ありがとうございました。 

 このあとは怒涛の写真撮影。笑笑。もう、高野さんのまわりに近づくのも大変。なんとか頑張って集合写真を撮りましたよ。
高野公彦氏「現代短歌大賞」授賞式報告  藤野早苗_f0371014_10351752.jpg
 なおいさん母娘とご一緒した一枚も(はまねさんとの2ショットは二次会の楽しすぎる写真だったので自粛。笑)。
高野公彦氏「現代短歌大賞」授賞式報告  藤野早苗_f0371014_10281645.jpg

 他にも吉川宏志さんを包囲したり、
高野公彦氏「現代短歌大賞」授賞式報告  藤野早苗_f0371014_10460946.jpg
 来年福岡県短歌大会に講師としていらしていただく永田淳さんを捕獲(‼︎)したり、
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 りかちゃん登壇を写したり、

高野公彦氏「現代短歌大賞」授賞式報告  藤野早苗_f0371014_10480354.jpg

 大変得るところ大きい会となりました。
 みなさま、大変お世話になりました。
 ありがとうございました。

 そして今日は

 Merry Christmas!
  
高野公彦氏「現代短歌大賞」授賞式報告  藤野早苗_f0371014_10490902.jpg

学士会館のツリー。

 
  うつくしき言を入れたるふたひらの耳を吹きゆく聖夜の風は

by minaminouozafk | 2019-12-24 11:01 | Comments(8)

冬の蝶 百留ななみ


リフォーム中のわが家。

浴室、洗面所、ついでに壁紙も張り替えているから玄関は開けっ放し。

師走とは思えない暖かい天気なので気持ちいい。

あら食卓の窓の向こうになにか・・・

新聞紙のかけらが風でまいあがったのだろうか。窓ガラスにぺたっと貼りついている。

もしかして蝶・・・ちょっと近づくと羽ばたく。やっぱり蝶・・・でもなんだかボロボロ、そのうえ本当に薄い。向こうが透けて見えそう・・・鱗粉はまったく無いように見える。



冬の蝶 百留ななみ_f0371014_14221964.jpg


スマホを持ってちょっと遠くから撮影。もうちょっと近づく。大丈夫・・・

白に細かい黒い線がランダムに入っている。はじめて見る蝶だ。

繊細でとてもうつくしい。

あらあら羽が破れている。

あたたかいとはいえ師走の蝶。

近づいても逃げなかったのはガラス戸の内側にいたからだ。

羽をひろげたままの蝶。

羽の向こうの冬の青空がうつくしい。

開け放している玄関からの訪問だろう。



冬の蝶 百留ななみ_f0371014_14220102.jpg



剥がした壁紙で埃だらけのリビングだが、職人さんたちがお昼休み、冬のひかりのなかの夢虫。

手がかりはスマホで撮った写真。

さっそく検索。

タテハチョウの仲間のイシガケチョウ。

石垣蝶ともいうようだ。もともと南方系の蝶。

やはり温暖化でこのごろは本州でもみられるらしい。

幼虫の食草はクワ科。イヌビワやイチジクやオオイタビ。

長府の土塀を覆っているオオイタビ。


冬の蝶 百留ななみ_f0371014_14214163.jpg


なるほど、なるほど

オオイタビをもとめて長府まで来てくれたんだね。


冬の蝶 百留ななみ_f0371014_14214575.jpg


ちょっとオオイタビに感謝。

そおっとガラス窓を開けると一片の紙きれのように青空に消えていった。




冬の蝶 百留ななみ_f0371014_14215868.jpg





リフォームで開け放したるリビングに冬の夢虫イシガケチョウ来つ









by minaminouozafk | 2019-12-23 07:00 | Comments(6)

師走の紅葉  大西晶子

今年は暖冬だという。128日の福岡支部の支部歌会の折には昭和通りの銀杏並木もところどころに青い葉をのこし、まだ黄色の葉をたっぷり付けた姿で立っていた。宗像のわが家のご近所や、家の庭でも楓や満天星躑躅が晩秋になっても、それどころか師走に入っても紅葉しなかった。


ところが先週、少し寒い日が23日続いたらいつまでも青かった庭の楓が急に赤くなった。ご近所でも錦木や満天星躑躅がいっせいに赤く色を変えている。あれ?と驚くほどに急な変わり方だった。



師走の紅葉  大西晶子_f0371014_21294256.jpg


一日の最低気温が8℃以下になると紅葉が始まり、56℃になると更に進むのだそうだ。たしかにこのところ最低気温5℃あたりの日が続いているので紅葉するわけだ。


師走の紅葉  大西晶子_f0371014_21293796.jpg  



師走の紅葉  大西晶子_f0371014_21292933.jpg


そんなことを思っていたら今朝雨戸を開けたら楓の木に葉がほとんど無くなっていた。今年もあと十日ほど、紅葉がのこるような時期ではない。それでも満天星躑躅はまだ赤い葉をあたたかそうに付けているし、楢の若木もまだ赤と黄のまだらの葉が美しい。




 同じ敷地に暮らす私が今年中にしなくてはならない事をたくさん抱え、あたふたしているのと対象的に、紅葉した庭の木々は年内の残りの日々をゆっくり楽しむことにしているらしい、ちょっと羨ましい。


師走の紅葉  大西晶子_f0371014_21290913.jpg
夜の散歩中に見かけたお宅



ほのぼのと満天星あかき歳晩を宅配のくるま忙しくはしる




by minaminouozafk | 2019-12-22 06:14 | Comments(6)