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復刻版バス  栗山由利

 いつものように朝の通勤バスに乗っていた。降りる停留所まえの交差点で信号待ちの停車をしているとき、目の前を変なバスが横切って行った。それは最近のやたらとラッピングされた広告のようなバスを見慣れた目にはやはり変なバスだった。車体の上半分はベージュで下半分は少しあかるいモスグリーン、もちろん広告も何も無いシンプルな車体のバスであった。ただひとつ、目に入ったのが『復刻』という大きな二文字。


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 このバスは福岡の西鉄グループが設立110周年を記念して走らせている通称「青バス」と呼ばれているものを蘇らせたものであった。調べてみるとこの復刻版のバスは二種類があり、あとひとつは1980年代に運行していた「路面電車」を再現したデザインで、こちらは北九州地区を走っているので、見ることが難しい。そして大牟田線の電車にも記念車両が走っている。こちらは天神駅で見たことがある。大牟田までの全62駅を順にデザインして、ドアの横には観光スポットなどの写真が掲げられていた。


 福岡市内どこでも走っているのだろうと思っていたところ、実は福岡地区では二系統の路線でしか見ることができないとあった。ひとつは、那珂川営業所から野間四つ角、那の川を通って天神に行く路線で、あとひとつは能古渡船場から天神、博多への路線だそうだ。

1950年代に走っていたバスというから、福岡在住30年の私は実物を知らないが、夫は記憶にあると言っていた。ただ、初めて見ても何かしらほっとする感がある。邪魔にならないというか、あまり主張しないデザインが、色彩と雑多な音にもみくちゃにされている街なかでは慎ましやかな居住まいだ。このバスが走っていた頃に思いは馳せる。できればゆっくりと走って欲しいものだが、それは叶わないだろう。


   セーターが電車とおなじ色でしたどうしてるかな〈電車さん〉今


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by minaminouozafk | 2018-08-18 08:43 | Comments(1)

号外でーす! 藤野早苗

8月17日金曜日、16時、アクロス喫茶スペースにて、第2回短歌フェスタ福岡の打ち合わせ会実施。

参加者は、短歌フェスタ発起人の桜川冴子さん(かりん)、第2回フェスタの運営担当の「コスモス」から、大西晶子、大野英子、栗山貴臣、栗山由利、中村仁彦、増田順子、藤野早苗が参加。

事務局長は、中村仁彦氏、事務局内IT管理部の部長を栗山貴臣氏に委嘱。来年2019年のフェスタ開催に向け、始動です。

何名かの方々には、近々、実行委員、選者、当日の司会をはじめ、色々なお仕事を依頼する連絡が届くと思いますが、その際はぜひ、ご協力をお願いいたします。

みなさま、来年2019年のこの日はぜひ、他のスケジュールを入れないでくださいね。

5月12日 日曜日
11:00〜17:00

第2回短歌フェスタでは、参加者みんなの立食ランチ会を企画しています。
詳細はまたお知らせいたします。
美味しいものをいただきながら、ざっくばらんに、短歌についてお話しいたしましょう。

みなさまのご参加、お待ち申し上げます。

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話し合い風景。
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中村事務局長のレジュメの一部。



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by minaminouozafk | 2018-08-18 00:01 | Comments(2)

龍の髭  大野英子

お盆は仕事だったので先駆けて先週末、少し丁寧に実家の雑草を抜いた。
木陰の龍の髭に小さく花が咲いている。
瑠璃色の珠実は毎年気にしていたが、花を見るのは初めて。

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そういえば、子供のころ住んでいた家の庭にもあった。艶のある葉と瑠璃色の実の色合いが好きで、実がなると宝物を見つけたように嬉しかった。
ジャノヒゲ、玉竜といろんな呼び名があるがわが家では龍の髭。

う~む、松葉牡丹と同じで、必ずわが家の庭にあるということはーー

宮先生の歌を探す。

    龍の髭の玉こもりたるよろこびを(はぐさ)分けつつ庭隈に見む
                          『小紺珠』
偶然かもしれないが、宮先生命だった父ならこの一首を心に置いて植えたのかも。

もう一首、この時期になると思い出す。

    またたびを食みては昼をウヰスキー飲みつつぞゐる八月十五日
                          『忘瓦亭の歌』

この歌にまつわる父と木原さん。
ずいぶん昔だが、ある大会だったろうか、木原さんが山で見つけたまたたびの枝を持ち込み、二人で宮先生の真似をして、肴にしてお酒を飲んだと言うのだ(二人とも弱いのに~)
美味しくなかったから、猫にあげなさい。と持ち帰ってきた。

さすが宮先生命の二人だが、心の中で、いやいや宮先生が食されたのは食用に加工された実だろう。とツッコミながら、ありがたくいただいた。
もちろん猫は狂喜乱舞(ほんとうに猫ちゃんのはしたないこと……

お盆が近づくといろんなことを思い出させてくれる庭。
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草取りを終えて、軒下の風蘭に水やりをしていると、網戸に立派なクマゼミが止まっていた。部屋に入って鳴き出すのを楽しみに待った。

       翅おとをばさりとたてて朝空のはるかを目指す鳴かぬクマゼミ


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by minaminouozafk | 2018-08-17 06:43 | Comments(4)

花オクラ  鈴木千登世


過去形にするにはまだ早いけれど、今年の夏は暑かった。
7月28日に38.8度という観測史上最高の気温を記録したことにとどまらず、35度を超える猛暑日が続いた。

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畑のきゅうりが渦巻きになっていた。不思議な形に驚いていたら、水不足だとこんな形になると夫が教えてくれた。トマトもいつもの年よりも皮が固かった。

けれど、立秋を過ぎたあたりからいつもの年のようにつくつく法師が鳴き始め、夜には秋の虫の声が聞こえるようになった。最高気温はまだまだ高いけれど不思議なもので暑さもほんの少し和らいだように感じる。


先日、帰省した娘と一緒に実家のお墓参りに行った夫が箱に詰められたきれいな花を持って帰ってきた。


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どこかで見たような。でもどうして花だけ詰め合わせてあるのかしら。と不思議に思っていたら、これは「花オクラ」という花を食べるために改良された品種で、実家で栽培されたものをもらったのだという。花びらをきざんでサラダにしたり、茹でておひたしにしたりとさまざまな料理に使えて美味しいとのこと。



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花をきざむことにちょっと申し訳ない気はしたけれど、そうめん瓜の酢の物の上に散らしてみると、彩りがとてもきれい。食べると粘りがあって美味しい。天ぷらなどいろいろな料理にも使えそう。少し時間をおくとしぼんで(巻戻って)しまうので早めに料理するのがよさそう。


彩りの美しさと美味しさを兼ね備えているのでこれからお店で見られるかも知れない。夏日の照りつける中に黄色い大輪の花々を咲かせている花オクラの畑を想像してちょっと元気が出た。


天の日を浴びて開ける花オクラひかりの色の花びらを食む




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by minaminouozafk | 2018-08-16 07:25 | Comments(6)

チトさんの百日紅

島の家の庭に、一本の百日紅がある。



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チトさんの木である。

チトさんは、祖母茅意子の母で私の曾祖母である。

チトさんのことは、以前、ここでも書いたことがあるかもしれない。



チトさんが亡くなってしばらくすると、庭に知らない木が増えていた。

祖母が、チトさんのうちの庭にあった百日紅を、ここに移したという。

移し植えられたのは、おそらくもっと涼しい季節だったにちがいないのに、

私がその木に気づいたのは、夏になり、花が目につくようになった頃のことであった。



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当時は、その花弁のひらひらの巧みさに感じ入るばかりで、

百日紅を運ばせた祖母の気持ちを思うことなど全くなかったように覚えている。

祖母の人生を思うには、まだあまりにも幼くて知りたいことが多すぎたのだ。

かれこれもう35年ほど前のことになる。



また台風が来ている。

百日紅の残りの花も、散ってしまうだろう。



今日は、お盆の三日目。

夕刻までの時間をしずかに過ごそう。



  どのやうな掟があるといふのでせう夢に来てひとはほほゑむばかり



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by minaminouozafk | 2018-08-15 08:14 | Comments(6)

言霊使い   藤野早苗

8月7日火曜日、竈門神社「七夕良縁祈願祭」に行った(私の良縁を願ったわけではありません)。玉依姫を御祭神とする竈門神社、魂と魂を引き合わせるとの神徳から古くより縁結びの神として信仰されてきた。新暦ではひと月遅れの七夕になるが、良縁を願う善男善女が集まり、境内は賑わっていた。

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この日19時30分から開催される七夕コンサート。夫が少々関係しているので運転手として同行。

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出演者は、サラ・オレイン(Sarah Alainn)。母は日本人声楽家で、父はオーストラリア人。端麗な容姿と抜群の歌唱力。5カ国語を使いこなし、シドニー大学から東京大学へ留学経験もある才媛だという。そんなサラを一目見ようと、境内はもう飽和状態。日が落ちて、昼間の熱気が少し落ち着いた頃、舞台となる参集殿にサラ・オレインが登場した。

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バイオリンを携え、七夕に因んだ「星に願いを」を演奏。ここでいきなりミキシング事故があったのだが、サラは全く動じず、見事に弾き、歌った。その後、映画「君の名は。」から「なんでもないや」、大河ドラマ「西郷どん」のエンディングテーマ曲、中島みゆきの「糸」を何カ国語かを交えて歌い上げた。


音楽には暗い私が聞いてもサラの歌は素晴らしかった。技術的にももちろん図抜けているのだろうが、もっと本質的な何かがその場にいる聴衆を引きつけた。サラは饒舌ではない。日本語が堪能とは言ってもやはりネイティブではなく、喋りで盛り上げるというスタイルではない。衣装も可憐ではあっても華美ではなく、押し出しで打って出るタイプでは毛頭ない。でもなぜだろう、サラの声は、眼差しは境内を埋め尽くす聴衆一人一人の元に真っ直ぐに届く。旋律に乗った言葉は聴く者の胸の隈ぐまに沁みて言いしれない余韻を残す。霊山宝満の下宮竈門神社に響くサラの歌声は神気を帯びて、聴衆を魅了した。


最後の曲、(これはサラも全く予定に入れておらず、その場の雰囲気で急遽演奏を決めた一曲だったらしいのだが)「Time To Say Goodbye」はその日の掉尾を飾るパフォーマンスだった。原曲のイタリア語で「Con Te Partiro」と歌うサラの声は深く豊かで、再生を信じるに足る説得力に満ちていた。



1/f (エフ分のいち)のゆらぎを含む声宝満下宮の神域に響る



9月29日、サラ・オレインのコンサートがアクロスシンフォニーホールで開催されるとのこと。楽しみです。


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by minaminouozafk | 2018-08-14 01:51 | Comments(6)


乳白色の霧にすっぽりとつつまれた高原。


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しっとりした草を踏み分けていく。視界は2~3メートルくらいだろうか。

目の前に薄紫色があらわれる。もしかしたら・・・しゃがんでよく見ると、やっぱりマツムシソウ。「こんにちは、おひさしぶり」広島県と島根県の堺の中国山地の高原。宿舎がただ一つだけの山奥。幾度もおとずれている大好きな場所。

魔法のように白い霧のなかからあらわれるやさしい黄色、紫色、ワレモコウの濃紅色。


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黄色はキンミズヒキ。薄紫色は松虫草だけではなくツリガネニンジンや擬宝珠も群生している。


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擬宝珠のむこうは池で睡蓮が可憐なピンクの花を咲かせている。


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なんだかグリム童話のなかのようで幻想的な時空間。

はじめてこの高原をおとずれた25年前も霧のなかだった。そのなかを散歩していて、いきなり牛と出会った。そう牧場だったのだ。不法侵入は人間の私だったんだよね。

もともと奥出雲は、たたら製鉄がさかん。そのための木炭を作るためにたくさんの木が伐採された。その跡地では長いあいだ牛の放牧がされていた。つい最近まで。牛のおかげでもとの森林にはもどらず天然のシバの草原。ところどころにレンゲツツジやイヌツゲの低木、そしてハルニレの大木が数本かあるとても美しい高原。


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翌朝はすっきりと晴れ。山頂までくっきりみえる。


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山道にはカワラナデシコ、オミナエシ、ハギと秋の花たちが揺れている。ブナの林のなかにはウバユリやミズヒキソウ、ヤマアジサイもまだ残っている。朝まだき山頂。視界は360度。中国山地の山なみが雲海のなか美しい。



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しとしとしと松虫草のむらさきが霧の野原を照らしてゐるよ






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by minaminouozafk | 2018-08-13 07:08 | Comments(6)

夏の雪 大西晶子

最近庭に 薄紅の雪のようなものが降る。庭でいちばん背が高いさるすべりの木から花が散っているのだ。

実を言うと、もう植えて33年も経つのに、近くで花をじっくり見たことが無かった。なにしろ高いところに咲くので花を切って活けることができないし、キーウィの棚の間から頭を出しているので、見上げるのも難しい。




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しかし、昨年買った高枝ばさみがある。切った枝を落とさずに手元に持って来られるというので、使って切ってみた。

いつも木に咲いたものを遠くから見るか、散った花びらを手に受けて見たりしていたので、1輪がどう咲いているのかを見るのは初めてだ。


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まるで宇宙ステーション。花びらの根もとは殆ど糸のよう。

萼と花弁は6まい、萼に包まれた蕊は丸まっているが、咲ききると黄色の蕊が花弁の真中でふさふさになる。


百日紅の名は紅い花が7月から9月にかけて3カ月近く咲き続けることによる漢名に由来するという。また樹皮が剝けた後の樹肌がつるつるしているところから猿も滑るとサルスベリの名がついたが、実際には猿は滑らずに登ることができるらしい。



サルスベリの花言葉は雄弁、愛嬌、不用意。
 雄弁は高木でよく目立ち、次々に花が咲き続けるから、愛嬌・不用意は樹皮猿が滑るために猿も木から落ちるということから。

サルスベリは風が吹くと花弁の細い付け根が一斉にゆれて木全体がふるふると揺れているように見える。


水揚げは良くないようで、高枝ばさみで切った枝は花瓶ですぐに花が散り、残りの花も数日で枯れてしまった。

やはり木の花は高いところで咲くのを遠くから眺めているのが良いのかもしれない。


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ご近所の白いサルスベリの花が散ると本当に真夏の雪のようだ。


はちぐわつを雪のごと散るさるすべり戦の記憶早やとほくなり




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by minaminouozafk | 2018-08-12 09:49 | Comments(6)

今年は10月20日(土)レソラ夢天神ホールで開催されます。
先日、福岡市内の担当者6名で、会場打ち合わせ。

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昨年の久留米座に比べるとこぢんまりとしているが、立地は最高。天神岩田屋隣のビル、ルイ・ヴィトン横の入り口奥のエレベーターで五階へお越しください。

記念講演には阿木津英氏、選者には桜川冴子氏も参加してくださいます。

備品、設備、大会に向けての準備等、入念に話し合ってまいりました。
これからがいよいよ本番。

実は、昨年の小島なおさんの紹介をあまりに楽しそうに語ったせいか、今年は司会進行を押し付けら……ではなく、仰せつかりました。

何とかミスなく、と言うよりミスっても笑ってごまかして行こうと思っています。
魚座の皆さま、ご協力をよろしくお願いいたします。
そして、一人でも多くの方のご参加をお待ち申し上げます。

立秋を過ぎ、こころもち過ごしやすくなったようで、日傘を頼りに行き帰りは歩いた。風が心地良い。

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数日前までは暑苦しい積雲だった空も、少し涼しげな巻雲に変わっていた。しかし、さすがに公園の日なたには人っ子ひとり居ないなぁ。

       へんぽんと白いスカートひるがへす風に乗りたい休日の昼


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by minaminouozafk | 2018-08-10 07:13 | Comments(6)

この記事を書いているのは8月6日。アップするのは9日。

原爆が投下されたふたつの日。

惨禍を知り恐れや憤りを覚えながらも、生まれる前の、歴史的な事実として感じていた。けれど職場で黙祷していて、わずか16年前なのだと気づいてはっとした。

昭和36年生まれなので、生まれる16年前。

若い頃には長く思われた16年という歳月は、子どもを育て終え50代後半となった今ではほんの短い~これまでの人生の3分の1にも満たない~時間だったとわかる。

多くの人が亡くなり、多くの人生を変え、癒やしがたい多くの悲しみをもたらしたその日はほんの少し前の身近な日のことだった。



今年73年目の原爆の日を迎えた。

去年はちづさんのブロクで半身となった山王神社の二の鳥居を教えてもらった。


忘れないこと。語り継ぐ声に耳を傾けること。

戦争のことを原爆のことを書き留めて祈る日としたいと思う。


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暑かつた日といふいつもの夏の日と聞く今年の今日も夏空




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by minaminouozafk | 2018-08-09 09:00 | Comments(5)