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 ここは小石川植物園。



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 これはデンドロカカリヤ。和名をワダンノキという。同植物園のリニューアルした温室ですこやかに育っている。



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 小笠原諸島の固有種であり、キク科植物でありながら草本ではなく木本、つまり木。



 なぜ、こんなところに小笠原固有の植物があるのかというと、ここでは、明治時代初期から小笠原の植物が調査研究されているからである。近年は植物園で保全育成するばかりでなく、自然状態では回復のむずかしい種を自生地に植え戻すことなどもしている。



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 安部公房に「デンドロカカリヤ」という短編がある。安部の代表的な変身譚である



 主人公をコモン君という。ある日、何気なく路端の石を蹴とばしてみたコモン君。なんと、植物=デンドロカカリヤに変形してしまう。これに気づいたのが、K植物園長だった。この植物が母島列島以北に存在するのはめずらしい。園長はコモン君(デンドロカカリヤ)採集に手をつくす。



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 コモン君は、抵抗し、園長を亡き者にしようとまでするが、あまり迫力はない。最後は、とうとう「菊のような葉をつけた、あまり見栄えのしない樹」となってしまったコモン君の幹に「Dendrocacalia crepidifolia」のプレートが鋲で留められてしまう。



 デンドロカカリヤ・クレピディフォリヤ

 一度聞いたら忘れられない名前。もしくは、一度で覚えられなかったらもう覚えられそうな気がしない名前である。

 デンドロカカリヤ・クレピディフォリヤ




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怠惰なる空気のなかで向かひ合ふデンドロカカリヤ・クレピディフォリヤ




 大正3年、白秋は小笠原諸島を目指していた。



by minaminouozafk | 2020-02-05 06:07 | Comments(7)