2019年 01月 01日 ( 1 )

あけましておめでとうございます


当ブログへのご訪問、いつもありがとうございます。本年も当ブログ「南の魚座 福岡短歌日乗」、よろしくお願い申し上げます。


 新年のご挨拶のタイミングで……と思っておりましたので(元日は火曜日!)、お知らせが遅くなりました。

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やはりひがしはまねさんの装幀は美しい。
これだけでも価値がある。(笑)。


 「南の魚座」vol.2 、昨年(!)12月25日付で刊行いたしました。すでにお手元に届いている方々もいらっしゃると思います。拙宅にも丁寧に読み込んで下さったみなさまからのご感想のお手紙、お電話、メール等、いただいております。ありがとうございます。私たちが日々の目標とする「毎日更新」の励みとなります。


 歌誌「南の魚座」は、ブログ「南の魚座 福岡短歌日乗」一年分の短歌、エッセイをまとめたもの。全部を掲載することはできないので、各曜日担当の七名は、短歌48首、エッセイ2篇、そして後方支援の男性三名は新作12首を発表しています。今号の新しい試みとしては、一年間に掲載した歌集・歌誌評のアーカイブを作り記録に残しています。その中から短いですが、2篇、歌集評を掲載しています。本当はもう少し文章の充実を図りたいところですが、これは予算との兼ね合い。せっかく書き手は充実しているのにもったいないなあ、と思うのでした。次号への懸案ですね。


 では、本書の中の My favorite を紹介いたします(掲載順)。


有川知津子「虹の化石」

・ちぢみつつ子猫消えたりたんぽぽの白き綿毛の球体の中

走り去る子猫との距離感の描写が秀逸。現実が非現実であるかのような錯覚を起こさせる。作者の世界観の不可思議さがいい。


鈴木千登世「渦の野原」

・文字持たぬ者の描きし蕨手(わらびて)(もん)渦の野原を馬は越え行く

「王塚古墳」という註のある一首。遥かな時空を馬と旅するような感覚に誘ってくれる作品。具体から想像世界への飛翔のバランスがいい。


大野英子「それでいいのだ」

・土笛を吹けば枯れ野を渡りくる風ありわたしを遠く呼ぶ風

タイトル、ちょっと()。バカボンかな? と思わせて、作品は正統派。しかし、表現上の細かな工夫、チャレンジが伺える作品揃い。掲載歌のポイントはリフレイン。


栗山由利「二のN乗分の一」

・夏の陽が直滑降でめざす先ブラックベリーはむくむく太る

作者は高専卒のリアル理系女。タイトルから察せられるような合理的で潔い発想が魅力。掲載歌、上句、抜群。ブラックベリーにフォーカスした点も手柄。


大西晶子「遠き舟の灯」

・釣りびとの立つ波止のした海面を月夜のがざみがよこ泳ぎする

この一年は素晴らしい孫歌をたくさん発表した作者。孫を詠んで甘くならないのは生来の観察眼と客観性のゆえか。結句「よこ泳ぎする」に、その本性が感受される。


百留ななみ「野の花図鑑」

已己巳(いこみ)()の里芋六つを手羽先とこつてりと炊き小正月待つ

「已己巳己」、面白い。言葉の発見が詩心を促すことがある。土の匂いのする武骨な里芋に寄せる眼差しが温かい。


藤野早苗「小さな魔族」

・早乙女でありしむかしを縁側で語れる嫗 あれはわたくし

本書をお読み下さった森重香代子氏が選んで下さった一首。ありがとうございます。香代子先生、嬉しいです。


中村仁彦「時がすぎゆく」

・雄しべ揺れ未央柳が笑ふかな梅雨入り前の公園しづか

大きな手術からちょうど一年。温厚な笑顔が印象的な作者だが、最近は歌にかける気概が感じられ、作風に変化が見られる。楽しみである。


辻本浩「玄界」

・荷を積みしトラック一台見送れば我を残して家は空っぽ

福岡を離れ、今は熊本在住の作者。変わらず「南の魚座」メンバーでいてくれることが嬉しい。心はここに残っている。


栗山貴臣「朝日あつめて」

・電車待つプラットホームを歩く鳩スマホを覗く人に知られず

作歌歴一年ちょっと、という作者。「南の魚座」のIT管理部長である。見落としがち、見落とされがちなものに注ぐ眼差しに個性がある。福岡支部のライジングスターである。


 以上、まことにざっくりした紹介で申し訳ないのですが、興味のある方、ぜひご連絡下さい。残部少々ございます。

 それでは、みなさま、よき元日をお過ごし下さい。



   五十六年生きてひとりの元旦をはじめて迎ふ いとをかしけれ

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今年は手作り(人の手も借りて)、わが家の御節。

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金銀招き猫。
善き訪れを願って。
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ベランダの苺。
四季生りではないのに、頑張っている。
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今年のカレンダーは大好きなミュシャ。
いい一年になりますように。





by minaminouozafk | 2019-01-01 11:00 | 歌誌・歌集紹介 | Comments(11)