2018年 11月 04日 ( 1 )

白秋祭 大西晶子

毎年112日に柳川では白秋祭の催しの一つ、「北原白秋顕彰短歌大会」が開かれる。すでに48回目で、全国から応募者のある大きな会だ。今年は選者(伊藤一彦・高野公彦・小島ゆかりの三氏)の中の高野さんが講演をされるのを楽しみに柳川に出かけた。高野さんと天神の駅で偶然お会いしてご一緒させて頂く、「南の魚座」の福岡メンバーや「コスモス」の仲間も同じ電車になる。柳川の駅でいったん解散、鰻を食べに行く人、会場に急ぐ人と別れ、ちづりん、支部仲間の末広さんと歩いて会場に向かった。晴天で水郷柳川のお堀に沿う道は気持ちが良い。街には横断幕や仮設の舞台ができていて祝祭感があり、時折お堀を川下りの船が通り過ぎる。


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                水上の舞台。カラフルな髭の白秋となまめかしい生き肝取り



会場のアメンボセンターAVホールでは「コスモス」柳川勉強会の方々が受付をされている。毎年この大会をサポートされているのはこのグループ、細かい作業がたくさんあって大変なはずだ、頭が下がる。

この会場で山口県の南の魚座のメンバ―の一人、ななみさんが合流、お会いするのは久しぶりなので嬉しい。


 13時から大会が始まる。副市長さんが市長代理であいさつ文を読まれ、講師の高野さんが紹介されるといよいよ楽しみにしていた講話。


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 今回の演題は「白秋短歌における動詞の数」。入口で渡された資料に白秋の歌が25首と新聞歌壇の投稿歌が一首書かれている。高野さんから「それぞれの歌に動詞がいくつあるか数えてみましょう」と声がかかり、それぞれの歌のどれとどれが動詞であるか会場から返事が返る。


●春の鳥な鳴き鳴きそあかあかと外(と)の面(も)の草に日の入る夕          動詞数3

●不二(ふじ)の山れいろうとしてひさかたの天の一方におはしけるかも          動詞数1

資料のすべての歌の動詞数を数えて行くうちに全員が声を出し、会場が盛り上がった。結局動詞数は例外の一首を除き3首まで。「一般的に良い歌には動詞が少なく、その逆も言える。動詞が多い時には推敲で減らす努力をすれば良い。」と高野さんが言われる。

例に挙げられた白秋の歌25首の平均動詞数は2.5

動詞が3つまでになるように歌を作ると良いとのこと。

白秋の「このゆふべたとへしもなくしづかなり~」の下線部分を「日の暮れて」とすると動詞が一つ増える。

動詞を減らすには「○○がどうだった」という核心のみを詠み、「○○が△△していたのを(自分が)見た、聴いた」と言わなければそれだけで一つ動詞が減る。


但し白秋にも、名歌として知られる歌にも動詞の多い歌はある。

●ニコライ堂この夜(よ)揺りかへ鳴る鐘の大きあり小さきあり小さきあり大きあり     動詞数6

意図的に動詞を多く並べ言葉のリズムを楽しむ歌。

●大海の磯もとどろに寄する波割れて砕けてさけて散るかも  源実朝          

動詞を重ねて大波の力強さを表現している。



また白秋の次の歌、

●行く水の目にとどまらぬ青水沫(あをみなわ)鶺鴒の尾は触れ  たり  けり (下線部分はそれぞれ助動詞)

を解説されながら、「文語ではこのように音数が合わない時に助動詞を使い、合わせることができるが、口語ではこれらの助動詞が使えないので大変だろう」と文語を使うことのメリットを話されたのも印象に残った。



講話のあとは小休止、その後高野氏が今回の歌会で受賞した歌の講評をされた、その中から。

●被爆死の一郎心に生き続くわれ果るときもう一度死す 出口政春

一朗(息子さんか?)は原爆で死んだが、自分の心の中で

は生きつづけていた。しかし自分が死ぬときに一郎はもう一度死ぬ。痛切な歌。歌評の間に高野さんが語られた「噂供養」という亡き人の思い出をかたる供養の話が心に残った。


●咲き残る花むら白し 山茶花の垣をめぐらし木霊(こだま)住む家            加藤三知★

「木霊住む家」という表現が詩的で素晴らしい。かって住んでいた人の残した声の木霊が今も住んでいるのだろう。

●幾体の菩薩の微笑(みせう)を身に受けて梅雨のみ寺の宝蔵にをり              田久保節子

菩薩たちの柔らかい微笑が体をつつみ心をつつむ。幸福感に満ちた作品。微笑(みせう)の仏教読みに味わいがある。


他にもたくさん紹介したい歌があるが、長くなりすぎるの

でこの三首にとどめておく。

講評のあとは表彰式。


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               高野さんと受賞したコスモス会員



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          会場のコスモス会員、柳川勉強会の方が入っていないのが残念

閉会後、日帰りで千葉県の自宅に帰られる高野さんを南の魚座のメンバーは空港までお見送り。(その場で軽い宴も。)楽しく、よく学んだ良い一日を過ごさせて頂いた。

     堀の面の空とやなぎをゆるがせて曲がりゆきたり空どんこ船







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by minaminouozafk | 2018-11-04 09:12 | Comments(6)