2018年 10月 11日 ( 1 )

ブログ記念日25

今日で25回目のブログ記念日。

流れるように過ぎる日々に読点を打つかのように巡ってくる記念日。


金木犀の甘い香りが部屋の中まで漂ってくる。ようやく涼しくなったと思ったら、今年もあと3月となっていた。何をしてきたのだろうと愕然となる。起きて、仕事へ行って、帰って、眠って……の繰り返しの私の日常に短歌(とブログ)がなかったら、日々は過ぎ去るものとなってしまいそうだ。

何でもない日々が、言葉によって掬われると忘れがたい特別な景として心に刻まれる。

歌という形にすることで鬱屈したこころが整えられ、明日へ向かう気持ちが少しばかり湧いてくる。自分でない他の人の作品の言葉や調べ(それは他人の視線や思想)に揺蕩いながら、目をひらかれ、また知らないどこかへ導かれてゆく快さ。短歌と出会ったことで多くのものを得られたように思う。

読んでくださる方々や陰で支えてくださってる方も含めた南の魚座のメンバーに感謝しつつ、また次の1月を進んでゆきたい。


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マジックアワー   鈴木千登世

言葉なく足湯にひたる傍で夫は目を閉ぢ天に向きをり

ああやはり「おまへは何をしてきた」と風が吹くなり中也の風が

シルエットうつくしくなるゆふぐれのマジックアワーとふ神の賜物

秋に咲く桜さくら子時知らぬ桜さくら子 咲くときが時

くつくつとりんごを煮をり火の傍に座り文庫の本めくりつつ


花のこゑ   大野英子

雲のなきあしたの空の白き月はんぶん隠れてわれを見下ろす

雲ながくみつめつづけてゐるうちに過去へと戻りゆくやうな秋

葛の花匂へる秋を待ちわびてまづは葉陰の花のこゑ聴く

活力でここまで育つてきたぞつて不敵な笑みの葛の花言ふ

壁面がわうごん色の市ヶ谷に〈夕焼け小焼け〉鳴る十七時


未来予報   栗山由利

あまたなる生まれなかつた鮭の子が口で溶けゆくとろおり秋の日

とりあへず新聞ひらき一日の情報つめてエンジン始動

高空を悠々すべる鳶ににて平成の鳶は足場をわたる

風やみてとほく近くの虫の声寒くなるぞと季をおしへる

来年のカレンダーに書く未来予報なりたい私を太書きにする


ほんの入り口   大西晶子

秋は今ほんの入りぐち子供らのいまだ気付かぬ青きどんぐり

目の澄める烏賊得てかへる道々に大豆のみどり濃き畑ひろがる

皮、果肉すてたる今は繊維のみしろく乾けるへちまの束子

想い人に文遣るごとく顔しらぬうたびとたちに歌評を書けり

投稿の歌で知りたりとなりまちの対馬みるとふ対馬見山を


夏眠   百留ななみ

つゆくさの群れ咲く墓地で聞いてゐる運動会の玉入れのこゑ

たつぷりの夏眠のあとのかたつむり土塀の上を堂々とゆく

新米のおにぎり旨し()の赤の剃刀花は不動明王

蟻ん子の足あと見える斑猫と見えない人間おんなじいのち

きらきらし夏眠の夢で見し萩の白花のなか舞ふしじみてふ


登龍門   藤野早苗

わうごんの鱗かがやく六六魚登龍門をさかのぼりつつ

天神のご加護たまはり台風の進路南下す贈賞の日の

解き洗ひして陽に干せば百代をはたらきさうな紬の着物

一着の着物を解けば八人の長き短きイッタンモメン

ちちよちよちちよ縫ひ針刺してまた抜いて千鳥のあしあと残す


気泡   有川知津子

四つ星の矢座探しをりまだ恋を知らぬ子どもら島に遊びて

澄むといふことのしづけさ秋空は会ひたきひとを映せるかがみ

あめつぶにつつまれやすきわが嗄声救はんと傘を差しだすひとり

馬小屋のありしところは晒されて秋をいちりんつめ草咲けり

海層を上りゆきたりぎんいろの硬き気泡につつまれながら


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by minaminouozafk | 2018-10-11 06:00 | ブログ記念日 | Comments(6)