2018年 10月 02日 ( 1 )


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非常に強い台風24号「チャーミー」が九州に最接近した9月30日、第15回筑紫歌壇賞贈賞式が開催された(@大宰府館まほろばホール)。台風の進路によっては開催が危ぶまれたが、若干南下したこと、速度が遅くなったことから贈賞式そのものは予定通り行う運びとなった。ただ、受賞者、選考委員はじめ来賓の方々には急遽前日から福岡入りをしていただき、例年天満宮の敷地内にある松島茶屋で行っていた懇親会は取りやめとなった。残念。



当日、福岡市内周辺の交通機関に乱れもなく、たけすゑ澄子事務局長率いる運営組織「しらぬひ会」メンバーはじめ、関係者は10時に集合。15回目ともなれば手慣れた感じで準備を進める。一体感が素晴らしい。


12時くらいから来場者がちらほら。さすがに台風の影響は否みがたく、遠来の方々、高齢の方々から欠席の連絡が入り、例年の混雑がないのがちょっとさびしい。それでも毎年お会いするお顔に出会えると喜びも一入。こんな悪天候の中、ご来場くださったみなさま、ありがとうございました。


13時30分、開式。

主催者である「国際科学技術文化振興会」理事長・隈智恵子氏、後援いただいている「本阿弥書店」の奥田洋子社長よりそれぞれ、次回16回から体制が変わり、選考に関する一切は本阿弥書店に一任、贈賞式に関わることは「しらぬひ会」中心に福岡で執り行うことになった旨を告知いただいた。60歳以上の第一歌集に与えられる賞という意義ある本賞を永続的なものにするための英断である。来年以降、ますます楽しみになった。

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国際科学技術文化振興会 隈智恵子理事長

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「本阿弥書店」奥田洋子社長


ここで伊藤一彦氏より、選考経過報告(伊藤さん、そして仕事で宮崎にいらしていた選考委員のおひとり小島ゆかりさんは前日福岡入り。この日の宮崎は暴風雨で交通機関停止だった)。受賞作品は野上卓(のがみたかし)氏の『レプリカの鯨』(現代短歌社)。




野上氏は「短歌人」所属。67歳。新聞の投稿作品を中心にまとめられた本歌集は、平明な表現でありながら知性、ユーモアにあふれ、したたかな詩精神もある。退職後の団塊世代が、現代短歌を支える新しい世代であることを実感させてくれる歌人の誕生であることをお話しいただいた。


そして、「短歌人」編集人の藤原龍一郎氏より、ご挨拶。その中で、演劇人としての野上氏をご紹介くださり、会場が沸いた。「短歌人」のみなさま、悪天候の中、遠路厭わずご臨席いただき、ありがとうございました。

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「短歌人」編集人 藤原龍一郎氏

楽しい祝辞をいただき会場が温まった中、いよいよ受賞者野上卓氏登場。

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野上卓氏

サラリーマンの日々、演劇のこと、短歌との出会い、表現者としての思い…などについて飄々と、しかし要所要所で笑いを取りつつ語られた。華のある人である。野上さん、ご受賞おめでとうございます。

*『レプリカの鯨』作品抄及び選考経過は『歌壇』8月号に掲載されています。ご参照下さい。


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ここで一般応募作品・課題歌「鯨」の太宰府市長賞、葛の葉賞表彰及び選者賞講評。市長賞の瓜生恭子さん、葛の葉賞の古野美智子さん、おめでとうございました。

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15分の休憩をはさんで第二部のシンポジウム。テーマは「新しい老い」。パネラーは、選考委員三氏(伊藤一彦・小島ゆかり・青木昭子)に加え、「しらぬひ会」から桜川冴子氏と藤野早苗。

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それぞれが事前に送った五首、計25首を中心に、現歌壇における「老い」の捉えられ方、「老い」の歌の行く末についてざっくばらんに、和気藹々と、しかしおさえるべきところはおさえて、パネルは進んだのだった(このテーマについては別稿でまたいつか)。青春の文学と呼ばれた短歌が気がつけば「老い」がメインテーマになりつつある現実。「老い」はマイノリティの問題ではなく、すでにマジョリティの問題であることを認識させられたテーマだった。みなさま、お疲れさまでした。


そしていよいよたけすゑ事務局長による閉会挨拶。例年はここで解散となるのだが、今年は本体制最後の記念の第15回ということで、来場者全員登壇して記念写真を撮りましょうというご提案が。こういう時のノリの良さがさすが福岡。みなさんがんがん登壇なさる。ありがたい。が、「誰が撮影するの?」という肝心なあたりがノープラン。と、こういうところもさすが福岡。参加者の中でひときわ長身の「現代短歌社」社主・真野少氏が長い腕を伸ばして撮影してくださった。ありがとうございました(その後、会場関係者にあらためて撮影してもらい、真野さん写ってるバージョンもあることを明記しておきます)。でもこの全員参加写真、私の手元にはなく、お持ちの方、ご連絡下さい。


これをもって全日程終了。「松島茶屋」での懇親会が中止になってしまったので、有志で会を持つことに。西鉄グランドホテル「グランカフェ」に集合。ビュッフェスタイルで各々くつろぎながら、野上氏を囲む楽しい時間を過ごした。野上さん、キャラ最高。お嬢さんの麻衣子さんがまた最高。可愛らしくて、面白い(ここ大事)。来年のご来福、お待ちしております。


本大会に関わっていただきましたみなさま、本当にありがとうございました。来年第16回、新体制下で開催される、さらにさらにバージョンアップした筑紫歌壇賞贈賞式でお会いいたしましょう。


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西鉄グランドホテル「グランカフェ」にて
野上氏包囲網。



  天神のご加護なるらむ台風の進路南下す贈賞の日の


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by minaminouozafk | 2018-10-02 09:57 | 歌会・大会覚書 | Comments(7)