2018年 09月 11日 ( 1 )

ブログ記念日24

 日本の南から発信を続けてもう二年と一カ月が過ぎた。お読みいただいているみなさま、ありがとうございます。


 最近の相次ぐ災禍に驚き、自分の無力さに立ちすくむばかり。何もできない自分に、それでも何ができるのか。文芸は無力なのか。考え続けたいと思います。


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浜灌頂   藤野早苗

数学が得意であつたら 仮定法そこに広がるわが()茫漠

これやこのマジックボックスPCに向かへばフリーズしたり脳は

1/f(えふぶんのいち)の揺らぎを含む声宝満下宮の神域に響る

宝暦の武者、(あやかし)らよみがへる浜灌頂の大灯籠に

台風の災禍、震災あきつしま透き羽傷めし蜻蛉が飛ぶ


紙の図鑑   有川知津子

どのやうな掟があるといふのでせう夢に来てひとはほほゑむばかり

畳目に沿つてたたみを拭く作法伝へたき子はもう駈け出せり

枝折りして山を歩けるひとのあとまた枝折りつつ歩けりむかし

日輪の下をゆきかふ蟹の群れときのまわれの前をゆきかふ

茅蜩がとうしんだいで載つてゐる図鑑ほしいの紙のがいいわ


もんきりあそび   鈴木千登世

天の日を浴びて開ける花オクラひかりの色の花びらを食む

思ひ出は青いみかんに秘められてゆつくりじつくり醸されてゆく

梨の実をさくりさくりと食んでをり 秋風いろの甘き梨の実

くきくきと鋏で切りぬ江戸の世の人を思ひてもんきりあそび

抱き萩と対ひ兎を切り抜きて秋を招きぬ紀州の盆に


晩夏のからだ   大野英子

翅おとをばさりとたてて朝空のはるかを目指す鳴かぬクマゼミ

草取りを終へてしづかな昼の庭風がときをりひかりをこぼす

へんぽんと白いスカートひるがへす風に乗りたい休日の昼

迎へ火も送り火もせず夕空のなかなる父母を探してゐたり

花オクラ、豆腐、アカモク喉越しの良きものを欲る晩夏のからだ


小さき願ひ   栗山由利

セーターが電車とおなじ色でしたどうしてるかな〈電車さん〉今

とぢあはす手の中にあるをさな子の小さき願ひはまだ白きまま

手の中のまだまつ白のをさな子の願ひは小さく羽ばたいてゆく

とつぜんに揺り起こされた休眠脳働きはじむ「我要加油」 ※私は頑張ります!

あつちにもこつちにもいい顔をしてAlexaはもうよき同居人


灰雪   大西晶子

敗戦は遠きできごと八月を灰雪のごとさるすべり散る

望郷に泣くものあらん火星から地球をあふぐ未来の人類

苦瓜の葉陰にをりし守宮らは棲み処の失せていづこであさる

外壁の塗装用足場組まれたり明日よりネットに包まれ暮らす

亀甲の紋ある煎餅を両の手でもちて食べたりをさなごわれは


ぬけがらの穴   百留ななみ

霧ふかき高原ほのかに浮かびゐる松虫草のうすむらさきいろ

吾亦紅、萩、野菊、葛、松虫草、尾花、秋桜 われの七草

ニンゲンも魚もスズメもひたすらに秋を待ちわぶ残猛暑日なり

17音プラス14 あかねいろの空から降つてくる言葉待つ

数珠玉に糸通ししは数珠玉の花の末枯れし抜け殻の穴


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by minaminouozafk | 2018-09-11 06:00 | ブログ記念日 | Comments(7)