2018年 07月 11日 ( 1 )

ブログ記念日22

〈南の魚座〉は、平成28年夏にスタートしました。
来年の夏は、すでに平成とは違う元号を使っているはずです。
その頃私たちはどのような夏を迎えているのでしょうか。

ここ数日のうちに起こったことを考えると、
一年先を想像するということがあまりうまくゆきません。

そのような中で、
今日、〈南の魚座〉は22回目のブログ記念日を迎えることができました。
唯々ありがとうございます。

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白髭のヴァリエ   有川知津子
こつくりと榊の花は咲きゐたりものの音せぬ梅雨のあかとき
かまきりの卵みつけたその日より父の散歩はしばらく続く
雨粒のひとつひとつに臓腑あるがごとくに乱れ濡れてゆく窓
小学校のまへ過ぎるとき甲高く「コナンくーん」と呼ぶこゑ聞こゆ
セザンヌが最後に筆を入れし絵のそのしろたへの〈白髭のヴァリエ〉

笑顔   鈴木千登世
汽車に乗る我らに向けて振り続く手ありまぶしき笑顔とともに
虹を見るやうな笑顔に長く長く汽笛で応へD51は行く
たましひの芯じんわりと温むる熾火のやうな笑顔のチカラ
意味なんてなくて不思議な響きする言葉がいつぱい子どもの時間
鰐といふ一族ありぬみんなみの波を渡れる海人の生

追熟の時   大野英子
梅の実のゆたかなる香に満ちてくる追熟を待つわたしの時間
塩水にじんわり沈む梅たちのいのちはやがてわれを養ふ
窓際にひかり射しきてベランダの梅はオォなどこゑあげてゐん
天日干しの梅、不可侵の柔さなり夜は部屋内に匂ひをはなち
亡きひとの思ひ出熟す六月の梅のてんじんさまも目覚めよ

ふくふく燕   栗山由利
放たれた矢のごと飛べる日のことを夢みてねむれふくふく燕
かけあひのごとうぐひすの声響く肥後街道は梅雨の青空
林から吹く風のなかに街道を行きし人らのざわめき聞こゆ
なまで聞く大分弁のやりとりににんまり笑ひ土産物買ふ
てつぺんを靄にかくしたビルのねき上海人は速足でゆく

あをき風   大西晶子
手榴弾おもはす糞の落とし主いもむし君の壊したきは何
たつぷりと水をたたへた早苗田にあをき風ふく雨上がりの午後
新生児の小さかりしを言い出せり赤子抱く子はゴーギャンの絵に
モネの絵のひなげし畑に立たせたし洋行せし日の帽子の晶子
ナーベラーのみどり汚しぬ火にかける鍋に醤油と味噌など落とし

からまつ   百留ななみ
空に咲く泰山木の一片が白磁となりて降りてくる朝
ねえデイゴ水先案内たのもうか堂々めぐりのたいせつなこと
這松の雪の斑らな土に坐す目蓋の紅のあはき雷鳥
からまつの生ひたる池の鴨の子の三羽が消えつ落葉松の洞
からまつの林の奥処かなかなの小鳥の声がまつすぐに降る

NIRVANA   藤野早苗
黒川の闇を明滅する螢 みづは甘きか人やさしきか
疲れたる母ら憩へりファミレスのドリンクバーに近き一角
早乙女でありしむかしを縁側で語れる媼 あれはわたくし
早苗、稲、米、藁 五十六歳はイネ過ぎて今ヨネのあたりか
トリカブト、アカハライモリ、猫のヒゲ nireva nirutoki niyo NIRVANA


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by minaminouozafk | 2018-07-11 06:00 | ブログ記念日 | Comments(7)