2018年 06月 30日 ( 1 )

今市の石畳  栗山由利

 先々週、大分に帰省した折に野津原の今市というところに連れて行ってもらった。ここ今市には、豊後鶴崎と熊本をむすぶ肥後街道の一部である石畳の道が現在も残っていて、当時の面影を色濃く残している。この道は加藤清正の時代につくられ、後に肥後藩主の細川公も参勤交代の道として利用したという。

 また、1864年には幕府の勅命を受けた勝海舟が坂本龍馬を連れてこの石畳を踏んで、長崎往還をしたと言われている。


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 石畳自体は幅2メートルほどの道で、両側の建物には往時の面影はないが、石畳の道は県の指定遺跡として大切に保存されている。写真を撮ろうとしてカメラを向けた先のずっと向こうで、道沿いの家から出てきた人影が石畳の真ん中に座り込んでじっとしていた。もしかすると、石畳の間に生えた小さな草を取っていたのかもしれないと思った。こうやって、昔から地元の人たちが大切に手を入れてきたからこそ、今の時代に残っているのだろう。

すぐそばの山の中から聞こえるうぐいすの声は、はっきりとしたホーホケキョで、梅雨晴れの空に高く吸い込まれていった。


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 妹が私をこの場所に連れてきたのは、石畳を見せるのは二の次で実際はそのすぐ近くにあるネギの畑を見せるためであった。妹の夫は5年ほど前に脱サラをして、農業大学校で学び夏はオクラを、冬は大分甘ネギを育てている。住んでいる市内には適当な土地は無く、貸してもらったこの場所まで車で四十分かけて通っている。作業をしていて、カラスにおにぎりをさらわれたこともあったし、猪が裏手の山の茂みから出てきたこともあったそうだ。私が訪ねた時は種から育てたネギは、やっと20センチくらいになっていただろうか。でも、その畝の所々には夜中に出てきたのだろう猪の足跡がぶすっぶすっとついていたのだが、感心なことにネギの苗を踏み散らかしてはいなかった。あと一箇所の畑には膝より少しばかり高くなったオクラが育っていた。これからグングン伸びて高さは2メートル近くになり、10月まで収穫できるそうだ。


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<今年初めてのオクラの花>


 長雨、夏の水不足、台風の襲来と農作物を育てるには自力ではどうしようもないことが起こりうる。去年のネギは一週間に二度来た台風で不作だったと聞いた。今年は豊作でありますように。教師をしている妹の週末農婦のスタイルも似合ってきたし、義弟もほどよく陽に焼けて元気にしているのが一番だ。野津原今市の空気はとても澄んでいた。


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<トラクターに乗ってみた>


    林から吹く風のなかに街道を行きし人らのざわめき聞こゆ


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by minaminouozafk | 2018-06-30 06:00 | Comments(7)