2018年 06月 18日
梅雨の白花 百留ななみ
あまい蜜柑の花のような香り。
たしかこの香りは泰山木。
見上げると二階の屋根のあたりに大きな白花。よく見ると艶々の大きな葉っぱに隠れていくつか咲いている。

泰山木は大盃木とも書く。まさに大きな酒盃を大空に広げたように咲く。
桜だけではなく花はその種によって盛りのときは決まっている。示し合わせたかのように一斉に咲き始めるのは摩訶不思議。いつもの散歩道にはもう一つ大きな泰山木がある。たぶんきっとと行ってみるとやっぱり。ここはちょっと低めのところにもひとつ咲いていた。顔を埋めるほどは出来なかったがかなり近づけた。

世の中がどんなに乱れても花は変わらずに咲く。
雨を待つように。梅雨空の灯のように。爽やかな匂いを放ちおほどかに咲く。私が知っている木の花では最大だと思う。
高処に咲く白磁のような泰山木の花。
身体いっぱいに香りをいれて、見上げると思いなやんでることなんて大したことないと思えてくる。
晴れ晴れとした気分で路地を歩き出す。

さっきよりも甘い匂い。
これはクチナシ。りっぱな一重のクチナシの花。見慣れているのは八重の花。
昨日の晶子さんのブログで紹介されていたオオスカシバの幼虫はいないようだ。
一重はきちっとした6弁花で凛々しい。

クチナシも雨が似合う。
忙しくて見えてないだけかもしれないが、今年は虫が少ない気がする。
門扉のシマトネリコもいつもこの時期、芋虫くんに注意なのだが今年は大丈夫。
檸檬の木も葉っぱが残っているが油断は禁物。
茄子の葉っぱはレース状に。いつもの怪しい天道虫の仕業だ。
そういえば今年はじめての蜻蛉と出会った。季節はたしかに巡っている。

空に咲く泰山木の白磁なるひとひら雨とともに降りたり