2018年 06月 11日 ( 1 )

ブログ記念日21

June bride ローマ神話の女神Juno に見守られた幸せたっぷりの6月の花嫁。

6月は水無月、梅雨の季で青水無月ともいう。

きれいな水色のドレス。それにピッタリの ティアドロップブーケ。

Tear drop は涙のひとしずく。


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教会での真白なウェディングドレスのときは白と淡いピンクの薔薇のラウンドブーケだった。

友人の家で手入れの行き届いた咲きほこる色とりどりの美しい薔薇を見たのは2週間前。

水色のドレスにふさわしいアンティークな微妙にニュアンスの違う薔薇の花。テーブルフラワーも優しい色の薔薇。甘い薔薇の匂いが立ちこめている。


今年の薔薇が咲き始めた5月5日。短歌を始めるきっかけとなった大切な師の森重香代子氏の夫君の古川薫氏が逝去された。おたがいにリスペクトされている本当にすてきなご夫婦でした。師の第二歌集『二生』を読み返しています。


旅行カバンに秘めてもち来し薔薇の花ベッドのわれに夫は呉れたり

                      森重香代子『二生』




ティアドロップ   百留ななみ

名を知れば小さきむらさき愛ほしかり付箋だらけの野の花図鑑

オレンジのドロップひとつ転がりて五月の夜に小童(こわっぱ)つどふ

むらさきの野蒜坊主は(むか)()なり小さき星花やうやく咲きぬ

土塊の握り仏の手向け花 野蒜の(しゅ)()の白花を摘む

水無月のウェディングブーケは藤色と撫子色のティアドロップ


永遠の半身   藤野早苗

厨うたないがしろにせし二十年 漂白液に布巾を沈む

わが知らぬ鉱脈眠る厨うた若きらは掘るごくナチュラルに

永遠の半身として北に棲むうたびと思ふその生思ふ

捲りゆく頁はどこもあたらしき雪の匂ひす「Sainte Neige」は

魔女よりの一撃に伏す床のうへ四方の壁がかぶさつて来る


市ヶ谷の空   有川知津子

先人のサイドラインに導かれ柊二の歌をめぐる半日

後ろ手にエプロン解けばゆふぐれぬ 永遠(とは)にまへゆく祖母のゐること

咲くといふことのしづけさ中庭にけふも杖曳くひとがたたずむ

昼の月あふぎゐるとき気づきたりクリップ一つポケットのなか

百ほどの鳩放たるるけはひして振り向けば青し市ヶ谷の空


風を呼ぶ壁   鈴木千登世

木々揺らす青嵐また親しけれ君の為吹く清風と聞き

あかつきの夢に来鳴けるほととぎす夏告げ鳥のくきやかな声

湧きやまぬ泉のごときもののあれ目先忙しきこの日常に

森に生ふる草みつみつと覆ふ壁 呼吸する壁、風を呼ぶ壁

黒髪に水の匂へる六月の朝の池に睡蓮ひらく


海色の鉢   大野英子

大雨は去り去りがたき別れぎはお互ひエイコと気付く可笑しさ

きつと父もこうしただらう潮風を浴びる楓は海色の鉢

黄のバラは母を思はせすがすがと揺れる五月のひかりたづさへ

ふかくあはき墨がいざなふ(えにし)ある秘窯の里をふたたび訪はん

青螺山颪吹き来よ鳴り出だせめだかが泳ぐ伊万里風鈴


地球の隅   栗山由利

あめ色の母子手帳にあり若き日の母が記せしわたくしのこと

初夏の風たちあがれ巣立ちする鴉をのせて空の高みへ

八分を新幹線のたびびととなりて降りたつ博多南駅

チェシャ猫がセル画のなかから三日月の口で呼びくる魔法の国へ

風のあを水のあを満つみづいろの地球の隅で昼寝の金魚


翻訳のできない言葉   大西晶子

若かりし白秋の恋のあやふさや敷道おほふあはゆきに似て

トナカイが休まず歩く距離をいふ「ポロンクセマ」は何キロだらう

翻訳のできない言葉「ピサンザブラ」バナナいつぽんを食べ得る時間

シャンパンを開ける機会はあといく度しろき布巾でグラスをみがく

メーカーのロゴ付きシャンパンフルートをのぼる泡ほど佳きことのあれ


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by minaminouozafk | 2018-06-11 06:00 | ブログ記念日 | Comments(7)