2018年 05月 31日 ( 1 )

垂直の庭  鈴木千登世

灯船の批評会の翌日、朝方の新幹線で山口に戻った。

新山口駅の新幹線の改札を抜けようとした時、ふっと草の匂いが鼻先をかすめた。


そういえば……


いつもは改札を出て左手のエスカレーターを降り、南口近くの駐車場で車に乗り帰宅する。だから、右手にある在来線のホームへはほとんど足をのばさない。新山口駅を横断する南北自由通路に垂直庭園ができたことはニュースで知っていたけれど、帰りを急ぐ身には思い出す余裕もなかった。

行ってみようと思ったのは、たぶんアクロス福岡でガラスの向こう天へと伸びる不思議な木々を見たから。



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2年前に完成した垂直の庭。植物学者であり、垂直庭園のパイオニアであるパトリック・ブラン氏が手がけた、生きている植物で彩られた壁。それが100メートルに渡って続いている。ツワブキやカヤツリソウ、ヒメレンゲなどおよそ140種の山口の植生植物によって形づくられ、独自の灌水システムを完備しているという。季節とともに、時間とともに変化する垂直の庭からは森の湿りと草の匂いがするようだった。



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140種類の植物の写真。綿密に計画されていてそれぞれがどこに植えられているかがわかる!



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反対の西側は壁面だけでなく床面にも植物が植えられ、ベンチが置かれていた。閉ざされた空間ではないので風が吹き抜けてゆく。通り過ぎるのではなく本を広げてゆっくり読むのもいいかもしれない。



いや、やはり時間を忘れて遠く続く線路を眺めるのがきっと相応しい。

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森に生ふる草みつみつと覆ふ壁 呼吸する壁、風を呼ぶ壁


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by minaminouozafk | 2018-05-31 06:21 | Comments(6)