2018年 05月 17日 ( 1 )

夏は来ぬ  鈴木千登世

五月のこの時期に待たれるもの。


3日前、空が白み始めた頃、心待ちしていた声が夢うつつの枕元に響いてきた。

オッキョキョキョキョ……、オッキョキョキョキョ……

時鳥。

南から渡ってくるこの鳥の声を聞くと、夏が来たことを実感する。


夏の鳥として、時鳥は古くから詩歌に詠まれてきた。『万葉集』には153首、『古今和歌集』は42首、『新古今和歌集』は46首が載っている。『枕草子』ではその声を人より早く聞きたいと起き出して待っている様子や声を求めて賀茂(かも)の奥に車で出かけたエピソードが記されていて清少納言の「ほととぎす愛」が伝わってくる。

時鳥、不如帰、杜鵑、子規、とさまざまな漢字が当てられ、田長鳥(たおさどり)、妹背鳥(いもせどり)、卯月鳥(うづきどり)などの別称も多いほととぎす。「てっぺんかけたか」や「特許許可局」という聞きなしも有名だ。

古くから人の生活と密着して、親しまれていた鳥だとわかる。今はどうだろう。



ほととぎす嵯峨へは一里京へ三里水の清滝夜の明けやすき 与謝野晶子


夏の朝の爽やかな気配が感じられて好きな一首。


「時鳥」はほととぎすの声が田を植える時を告げるということで当てられたという。近所の田には水が入り、早苗の揺れる田も増えてきた。街路樹の湧き立つ緑がまぶしい。空も春とはどこか違った青さ。



夏が来たんだなあ。


f0371014_12335470.jpg

ユリノキに花が咲いていた。チューリップに似ている。



あかつきの夢に来鳴けるほととぎす夏告げ鳥のくきやかな声


[PR]
by minaminouozafk | 2018-05-17 12:40 | Comments(6)