2016年 09月 15日 ( 1 )

馬が好きである。
20代後半、近くに乗馬クラブができたのを機に乗り始めた。
馬の体高はほぼ140センチ。その背に跨って見る世界は思いの外、開けている。

当時の私は公立高校の教員。担任していたクラスは何かと問題が多く、日々疲れきっていたが、週末は馬に会えると思うと元気が出た。


乗馬のスタイルは幾つかあるが、私ばブリティッシュライディング。中でもショウジャンピングと呼ばれる障がい飛越競技が好きだった。トリプルのメーター障がいを跳ぶこともある。それに必要なのは、もちろん技術。そして勇気。乗り手が怖がっていると馬は混乱する。重心を尾骶骨に真っ直ぐ下ろすイメージで跨り、脚を締め、馬の律動に合わせながら、推進力で走る。乗り手と馬、両者に信頼が無ければ大事故にも繋がる。こいつになら任せられる、そう心を決めて乗れば、馬はきちんと答えてくれた。

馬に教えられたことは多い。言葉でごまかされない分、馬は人間の本質を見抜く。乗り手が怖がって手綱を引きすぎると馬銜を外そうと暴れるし、鞭を当てすぎると必要な指示が伝わらなくなる。馬に暴走されたり、立ち上がられたり、自分の身に危険を感じて初めて、自らの不徳に思い至ったわけである。

ああ、そうか。生徒たちはこんな気持ちだったんだ。「もっと信じて、やる前から失敗するなんて思わないで。」馬に乗り始めてようやく生徒の声を聞けるようになった。相変わらずダメ教員だったけど、仕事がそんなに嫌でもなくなった。

結婚、育児で遠ざかっていた乗馬を2年前から再開した。もう障がいは跳ばない。肩の力を抜いてただ馬の背に揺られている。


どこまでがわたしでどこから馬ならむケンタウロスとなり歩みたし
                           藤野早苗

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          ハーバーカピタン号と。
(なんか馬に似てる、この頃の私

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by minaminouozafk | 2016-09-15 10:54 | Comments(5)