2026年 03月 14日
雀の寿命 栗山由利
日に日に日射しがやわらかくなり、七十二侯「雀始巣(すずめはじめてすくう)」ももうすぐである。昨年、リニューアルオープンしたスズメ食堂も稲刈りの頃からお客さんが減ってきて、この冬は1羽も見かけることがなかったが少し前からまた元気な声が聞こえて来たので、残りご飯を置き始めた。
夫は夫でウォーキングの途中でアオサギと鴉にパンを与えているらしい。野生の生きものにわれわれが口にするものを与えるについてはいろんな意見もあるとは思うが、夫の姿を見つけて毎日飛んでくるようになると、気持ちはもうペットと同じである。先日、ふと鳥の寿命ってどのくらいなのだろうと思い調べたところ、野生下でカラスは7~8年、ハトは約6年、ツバメは短くて約1年6か月そして身近なスズメは1年~3年なのだそうだ。もちろん飼育下ではもっと長生きした場合もあるそうだが基本は野生である。

意外だったのはスズメの寿命がとても短かったことで、春に生まれて秋を迎えられるのが約50パーセント、そして冬を越して春まで生きられるのがその半分の25パーセントだという。また日本に生息するスズメはこの20年間で80パーセントも減少したそうである。

スズメが巣をつくるのは建物の隙間を利用することが多い。しかし、ご近所を見ても昔ながらの戸袋や瓦屋根の家は取り壊され、雨戸、雨どいのない家が多くなった。また、庭を造るお宅も少なくなりスズメが身を隠す樹木や低木も減っている。河川敷に目をやればアスファルト舗装の遊歩道が整備され藪や草むらも減少しており、餌となる種や虫は明らかに少なくなっている。稲を食べるスズメはニュウナイスズメといって街のスズメとは別のものであるが、かつては中国でこのスズメを大々的に撲滅させたところ、害虫が大量発生し逆に大凶作になったことがあるそうだ。ニュウナイスズメは稲も食べるが稲の害虫のバッタも食べていたからだそうである。自然の連鎖の輪の一か所を断ち切るとたちまちその均衡は破られるという実例である
この先、スズメを見かけることが珍しいという時代がくるかもしれない。だからと言ってみんなでスズメに餌をやりましょうとは言わないが、窓から差し込む朝の光とスズメの声は私にとって春の訪れを感じさせてくれる、ずっとあってほしいもののひとつである。

かくれてるつもりでせうが雨どいに頭ふたつがみえます雀

