2026年 03月 13日
木登り少女 大野英子
久し振りに、博多川沿いに、那珂川と合流する道を港まで歩きました。ベイサイドの西側、わが家からは、一番近い港の風景に出会えます。
そこには緑地サンセットパークという小さな公園があります。

緑が豊かに茂っているときは気付かなかったけれど、葉が落ちて、芽吹きはじめの今、私の中の木登り少女の血が騒ぐ、一本の木があります。

近寄ると、ますます登ってくれと言っているとしか思えない堂々とした幹と枝振り。もちろん、年も年ですし登りません。木も、根っこが土から姿を見せて、そうとう年季が入っていそうです。
そっと、この幹をなでて、お互いがんばろうね。って声を掛けていました。
木登りと言えば、長崎の母校である淵中学のグラウンド横の土手を思い出します。
まだ幼い頃ですが、校舎裏を通り抜けた、グラウンドから下に向かう土手沿いに手頃な木が植えられているその場所は、遊び放題、登り放題、土手の下を流れる小川の辺りは、春にはノビルがたくさん摘めました。
もうひとつの遊び場所は、近所にあった簡素な造りの製材所。平日は電気鋸の音が響き渡る場所でしたが、休日はひと気もなく、あちこちに木材が積んであるその場所は、恰好の秘密基地でした。
思い出すだけで、削られたばかりの木の香りが蘇ってきます。
今、思うとどちらも危険な場所ですね。でも、昭和のこどもたちはそうやって遊んでいたのです。何年か前に訪ねた街並みはすっかり変わり(急な坂と細い路地はそのままですが)中学校も立派に建て替わり、きっと危険な土手もなくなっているでしょう。

木を眺めながらぼんやり思い出に浸っていると、あっというまに夕暮れが迫っていました。
水際をはたはた叩く音がするまで低く飛ぶうみう 帰らう

