2026年 02月 11日
ブログ記念日113
第二次世界大戦後の一九四五年、日本の選挙法は大きく改正され、翌四六年の総選挙で初めて女性の立候補と投票が認められました。今年は女性が初めて投票した総選挙から八十年。

八日の朝。
投票を終え、立ち寄った神社の境内では、手水の青竹から小さなつららが下がっていました。これからの日本の歩みが、みなさまにとって佳いものでありますように。
玄関を拭く 有川知津子
期日前投票の列の最後尾「55分待ち」の看板が立つ
生きてゐてトルコ語を読むじゆんばんのめぐり来りぬ21tane
ユーフォニウムの音色のやうな実のなりて白秋生家は冬の日だまり
冬の夜の岸辺に立ちてあふぐとき鯨見山を星のまたたき
まれびとの声のゆらぎのとどく朝つめたい水で玄関を拭く
国鉄の香り 鈴木千登世
君の眼にこの青色は何色に見えるのだろう 猫のぞき来る
外は雪 鍋ふつふつと煮ゆる夜は離れ住みゐる親族をおもふ
「くべる」とふ言葉親しき遠き日の竃のなかに火はゆらめけり
雪中に夏柑の実の黄に灯る不思議言はれつ他郷の人より
〈国鉄の香り〉と言ふ名のフレグランス見つけたり香は記憶の主人
DOUTOR 大野英子
季はやくひらく苺のいちにりん雀げんきにさへづる朝を
ふゆぞらにりんりんと鈴を鳴らしゐるせんだんの木は鳥たちを呼び
あげ潮ときたかぜのなか街川を海へ海へと向かふみづとり
DOUTORで会ふときを思ふ二日間、会ふ四時間の満ち充つじかん
イタチかなハクビシンかな山道に落とし物してゐるいのちある
春節飾り 栗山由利
おもひだす母の味にはちかづけずでもいいのよと母の声がす
晴れわたる空に稜線くきやかな背振の山は雪をいただく
空と海へだてる境界線のない浦東にたつ風車の群れは
信号の赤までいわつてゐるやうな街にあふれる春節飾り
人がゐておいしい料理があるところ笑ひ声わきあたたかくなる
マグリットの世界 大西晶子
目の動きはやき人だと見てゐたり寺山修司四十二歳を
日常で出会ふ筈なき物と物ならべ創りしマグリットの世界
毛の長き犬の目のごと本体に身をひそめゐきパソコンのカメラ
ああやはり高野さんだとうなづきぬ推敲かさねるたのしさを読み
いさぎよく散るを美徳とする圧を拒みてさくら枝にながく咲け
貝をもとめど 百留ななみ
ポケットのスマホで雨雲レーダーをたしかめ外に濯ぎもの干す
からからの蟷螂ころがるベランダで日向ぼこする越冬飛蝗
大寒に貝をもとめど浅蜊、牡蠣、帆立、赤貝、鳥貝もなし
ペットにはなれぬ熊その強き爪、優しさ、匂ひをまたぎが語る
ミルガイは海松喰と知り匂ひまずたしかめ一貫かみしめてゐる
銀盤 藤野早苗
六歳臼歯抜かれしあとのカルデラをちよいちよい覗くわれの舌先
矢のごとき視線が刺さる銀盤に立つそれのみにもう喝采
タマネギが飴色になるまで炒めTheFate of Ophelia 無限再生
スナップを効かせて揺するフライパンに長命寺の皮身をひるがへす
紛争のある国あるかも知れぬ国 世界を二色で塗り分けなさい

