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冬の匂い   鈴木千登世

日曜日は支部の歌会でした。欠席者も紙上参加という形であらかじめ選歌と評を寄せていて、少人数ながら今年最初の歌会を催しました。

以前は新年のお祝いも兼ねた賑やかな会で、お昼に祝膳(といってもお弁当ですが)とお酒を用意して丸一日歌の批評に費やしていました。


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休憩用の花びら餅。少しだけお正月気分


歌会では歌評はもちろんですが、そこから発展した話で盛り上がるのが毎回の常。今回は「火の匂いが好き」という歌から「火の匂い」という話題で盛り上がりました。


オール電化でコンロはIH、暖房はエアコンやファンヒーターに移って「生」の火を扱うことが減りました。暮しから「火」や「煙」が消えつつあります。少し前から始めた連歌には一巻の中に煙を一句詠むというルールがあります。以前は稲刈りの後に藁を焼いたり、暖を取るために薪を燃やしたり炭を熾したりで煙を見る(火を見る)機会は多かったのですが、今ではほとんど見られない景となってしまい、難しい句材となりつつあります。


歌会では「火の匂い」は「冬の匂い」だった、ということでかつての暮しの話に花が咲きました。冷たい空気と鼻をきゅっと刺激する煙の匂いは(昭和の)懐かしい冬の匂いです。匂いが思う以上に記憶と深く結びついていることも発見でした。


冬の匂い   鈴木千登世_f0371014_12231024.jpg


今の時代の「冬の匂い」は何だろうと思いながら家に帰って、荷物を開いたら「庭で採れたの」とお土産にもらった金柑がこぼれ出てきました。小さな一つを口に入れると柑橘の香りがぱっと広がりました。


     街をゆき子供の傍を通る時蜜柑の香せり冬がまた来る  木下利玄


変わらない冬の匂いを見つけました。


「くべる」とふ言葉親しき遠き日の竃のなかに火はゆらめけり



by minaminouozafk | 2026-01-29 12:33 | Comments(0)