2025年 12月 07日
近江の赤蒟蒻 大西晶子
〈京のお節〉という料理の詰め合わせを親しい友人から頂いた。友人は京都育ちで今も関西に住んでいる。その中に赤蒟蒻の旨辛煮が入っていた。
あれは何年前になるだろう、近江八幡市での「桟橋」の批評会と小旅行に行ったのは。ひどく寒い11月末で、「桟橋」の作品の批評会が済んだ後の夕食は近江牛のすき焼きだった。1テーブルを7、8人で囲み鍋から食べるすき焼きは熱くて美味しかった。その食材に見慣れないものがあったが、それが赤蒟蒻だった。
後で知ったことだが赤い色は三ニ酸化鉄でつけられているのだそうで、その成分のために蒟蒻特有の匂いが薄く、食べやすいのだという。
なぜ蒟蒻を赤く染めたのかを街で売っていた店で尋ねたら、「他にはないものということで希少価値をつけたらしい」と言われたが、wikiによれば派手好きの織田信長が染めさせたという説も有名だそうだ。
近江商人は中世から江戸時代まで商売上手で知られていた。その人達が工夫した新商品だったのかもしれない。彼らは荷物を運び行商をして歩いたそうなので、京都へも運んでいたのだろう。京都のお節に赤蒟蒻があるのは、珍しい食品をお正月のご馳走の彩りにしたのではないかと思うけど、これは私の想像に過ぎない。
近江八幡では時代劇のロケがよくされるらしく、「桟橋」の旅行で行った場所だとわかる風景が時々ドラマに現れる。近江八幡市は木畑紀子さんが計画してくださった楽しかったその旅を思い出しながら、もう一度訪ねたい場所の一つになった。そして赤蒟蒻の旨辛煮はいつ食べようかと思案中だ。

赤蒟蒻を見れば思ほゆ丁髷の男らゐさうな近江八幡

