2025年 11月 30日
映画「黒蜥蜴」 大西晶子
NHKBSではウィークデーはほとんど毎日午後1時から映画を放映している。新旧の名画がコマーシャル無しで見られるのが良い。
先週の火曜日は美輪に改名する前の丸山明宏主演の「黒蜥蜴」だった。この映画が劇場公開されたのは1968年。この映画の脚本を担当し出演もした三島由紀夫の死の2年前だ。当時私は学生だったが、この映画のことを見たいとは思わなかった。今になって見る気になったのは美輪明宏の若く美しい姿を見たかったのと、三島由紀夫が何の役で出ているのかに興味があったからだ。江戸川乱歩の世界がどんな風に描かれているかにも好奇心をそそられた。
タイトルには当時人気だったビアズリーの絵が使われていて、主役の美輪明宏の悪女らしい笑顔と時にひどく似て見えるのが面白かった。女賊黒蜥蜴の丸山明宏の豪華なドレス姿は妖しい美しさで、他の出演者とは別格の存在感だった。

ストーリーは黒蜥蜴が探偵の明智小五郎と宝石商の令嬢誘拐事件で敵同士になるが、実はお互いに命がけの恋をしていた。黒蜥蜴は誘拐した令嬢を美しい剥製にするつもりだったが、明智と警察に踏み込まれ自ら毒をあおぎ命を絶って終わる。三島由紀夫は黒蜥蜴のコレクションの剥製にされた裸の男で、黒蜥蜴にくちづけされたりするシーンがあったが剥製なので台詞は無い。

当時はやり始めていたディスコ風のクラブやバーなどに昭和を感じさせるシーンが多く、懐かしさを覚えた。三島由紀夫はじめ黒蜥蜴のコレクションの剥製にされた男女役の人たちが、完全には静止できず微妙に動いてしまうのが可笑しかったが、これはご愛嬌だろう。
子どもの頃本屋で見かけた江戸川乱歩の「怪人二十面相」などのおどろおどろしい表紙の絵を思い出すような画面を楽しく見たが、どこかに出演していたはずの丹波哲郎を見つけられなかったことが心残りだ。

鍛えたる肢体の映像を残すべく脚本書きしか三島由紀夫は
ベトナムから帰還しジェームス・ブラウンで踊る米兵をりし新宿

