2025年 10月 30日
ふしぎのフジバカマ 鈴木千登世
この秋初めて手袋をはめた。今朝の外気温は5℃。猛暑の日が嘘のようにここ数日肌寒い日が続いている。

ウォーキングの折り返し地点にある羽平堤には数日前から鴨の第一陣がやってきている。今朝数えると15羽。羽平堤は夏になるとその水面をみっしりと菱が覆ってゆく。そして夏の終わりごろには白い小さな花が咲いて水中に実を結ぶ。この時期はその実が成熟しているだろうから渡ってきた鴨たちにとって無事到着のご馳走となるだろう。秋の澄んだ空。本格的な渡りが始まりそうだ。

(霜も降りてました)
先週から一昨日まで我が家の小さな庭を訪れていたアサギマダラの姿がぴたりと消えた。去年までは一羽見ることができたら……くらいだったのに、今年は連日フジバカマの花に二羽三羽のアサギマダラがやってきていて、あたりを舞っては花に止まって蜜を吸いまたひらひらと飛んでいっていた。

小さな庭に一本だけ植えたフジバカマだったが驚くほどの繁殖力で今では一抱えほどの株になってふわふわとした花火のような花を咲かせている。鼻を近づけるとかすかに香るけれど金木犀のような辺りに立ち込めるような匂いではない。けれど昆虫を惹き付けてやまない香りか何かがあるのだろうアサギマダラだけでなくツマグロヒョウモンや蜂たちも盛んにやって来て、連日大盛況なのだ。
それにしても、と思う。
絶滅が心配されていたフジバカマだが旅をする蝶の人気を受けてあちこちで見かけるようになった。市内にも植栽されてアサギマダラの多く集まる場所がある。それなのにわずか一群れの我が家のフジバカマに連日飛来してきたのはなぜだろう。長い渡りの途中の偶然と言うには?が残る。人には感じないけれどフジバカマの香りは蝶や虫たちには数キロ先からでも感じられるのだろうか。渡り鳥には磁場が見えるという説を読んだことがある。我が家のフジバカマから何かがたなびいてアサギマダラに見える(感じられる)のだろうか。

ぱたりと姿を見せなくなったアサギマダラに替わってツマグロヒョウモンがせわしなく蜜を吸っている。日本列島を南下する旅の群れがもうこの辺を通り過ぎたのだろう。アサギマダラの寿命は約4か月。旅の途中で繁殖を繰り返して世代交代しながら移動するという。そろそろ関門海峡を渡り福岡の晶子さんのお宅あたりに着く頃だろうか。旅の無事を祈ってやまない。
てふてふとてーふててふと飛び来たり旅する蝶は花咲く庭に
野の花の素朴の風に虫あまた招くふしぎの花ふじばかま

