2025年 10月 16日
「筑波嶺や」満尾 鈴木千登世
おととしの秋から2年近く先輩方に教えていただきながら、また山口連歌の会の尾崎先生に折々ご助言をいただきながら南の魚座の仲間と巻いてきた連歌が無事満尾を迎えました。初心者ばかりのとても連歌とは呼べない作品ですが最後まで辿り着けて心から安堵しています。
連歌のイロハも知らない私たちに温かくそして深い学びを与えてくださった先生や先輩方への感謝の気持ちは言葉になりません。
最初の壁としてあった式目(ルール)は句を付ける中で少しずつ覚えていきました。が、既出の言葉が制限されたり、類似の内容を避けつつ句の世界を転じて付けるなど、進むにつれて次々と難題が現れ頭を抱える(後半は悲鳴の)日々でした。
それでもくぐり抜けて次に回せた時のえも言われぬ達成感や自分の句が思いも寄らない展開となる驚きなど魅力に満ちていました。普段の生活では知り得ないような和歌の世界を垣間見られることや近いようで全く異なる短歌と連歌の相違に目を開かれることも刺激的でした。
発句 筑波嶺や紅葉散りしく歌筵 で始まった世吉44句は
名残折裏第七 咲く花も散るもおぼろの吉野山
挙句 うららかに照る春の国原 として巻き終えました。
最後の〈花〉の定座は爛漫の花を詠み挙句は「祝意をこめて韻字止め」とし和歌の本意を大切に詠みます。ここでまた「和歌の本意」(伝統和歌の世界)というとてつもない大きな壁が現れました。
行けども尽きない連歌の道です。
「終了」と書かず「満尾」と記すこと面映ゆくまたうれしかりけり

(りんごの季節になりました)

