2025年 10月 13日
大工 百留ななみ
大工とは、広辞苑では
1 律令制で、木工寮または大宰府に属した工人の長。こだくみ。
2 建築現場における工匠の長。木工だけでなく、後には壁大工、桧皮大工・瓦大工などもできた。番匠。
3 一般に、建築技術者。木工の職人。
とある。
今は3の意味での使用が大部分だと思うが、大工という言葉は古くからあったようだ。古語辞典では1を大匠おほたくみ、2を小匠こだくみとしている。今でも大工さんの仕事を匠の技とか言う。

先日キッチンのリフォームが完成した。数年前からトイレ、浴室、キッチンと順次リフォーム。いつもどこにお願いをするのかを迷う。最初のトイレはネット検索での第六感。とても良い営業さんと職人さんだったので、浴室も同じところにお願いした。さてそれから6年。年配の営業さんは退職されていた。浴室も同様だが、キッチンもいろいろなメーカーがあってまずそこから悩む。
いろいろ思い悩む最中に知人から大工さんを紹介してもらった。トイレでも数人、浴室は温水器も交換、洗面所の壁なども替えたせいかかなりの人数の方のお世話になった。営業の方が手際よく工事計画を作成、スムースに工事完了。このたびの大工さんは一人で大丈夫と笑顔でいってくださる。展示場とかに行って見ておいでとおっしゃるのでとりあえず出かけてみる。

キッチンもずいぶん進化している。説明を受けカタログをいただいて帰る。悩みながらもひとつのシステムキッチンに決めると後は早い。初日に古いキッチンの解体。電気や水道の工事。翌日の午後には新しいキッチンの搬入。食洗器の工事。キッチンパネルを貼る。翌々日にガス機器の搬入。キッチンカウンターのリフォーム。もうキッチンが使えるようになった。大工工事、水道工事、電気工事、ガス工事。本当にすべてひとりであっという間に熟されたのだ。おどろくべき匠の技。今どきは水道工事、電気工事、ガス工事はそれぞれ分担作業だ。しかし一人親方の大工さんはひとりで卒なく仕上げられたのだ。
昭和の頃は弟子入りして一人でキッチンを作るのは当たり前だったとおっしゃる。今はいろいろややこしくなってるけどねえと人懐っこい笑顔で話される。年齢を尋ねると同級生だった。近くのちょっとおしゃれな花屋さんやパン屋さんもリフォームもされている。長府の神社の中の小さな神社、摂社も造られたばかりとおっしゃる。

便利なようでそうでもない昨今。やっぱり職人さんの力はすばらしい。鉛筆と曲尺でささっと測り、鋸と電動工具でカウンターはすぐに出来上がった。木工事は得意分野らしい。
「なんかあったらまた電話してね」と気持ちよく挨拶をされて帰られた。ほんとうに頼もしい。なんかあったらまた電話させてください。水道でも電気でも大丈夫、なんて有難い方。これからもよろしくお願いします。

のこぎりの音しづまりて木の香が秋のひかりの中たちこむる

