2025年 10月 11日
ブログ記念日109
この夏はアゲハ7羽の成長を見守りました。
庭から空に放つとき、そのどれもがかがやいていました。人の時間にすれば二週間ほどの一生ですが、鳥などの天敵に会うことなく命を全うしてほしいと願ったのは言うまでもありません。
人の世界はどうでしょう。
身近なところではこども食堂は増加の一途で、昨年度は10,867箇所。全国の公立の中学校・義務教育学校を合わせた9,265校を上回ったといいます。
能登の復興は遅々として進まず多くのボランティアの方々の力に頼っている状態です。あと二か月もすれば被災から二度目の冬がやってきます。
政治は何をしているのか、怒りの火を燃やし続けながらなすべきことを考えます。

このブログも10年目をひた走っています。訪れてくださるみなさまは大きな励みであり、心より感謝いたします。一歩一歩の歩みでこれからも精進いたします。よろしくお願い申しあげます。
ほら猫団子 栗山由利
秋空をそのまますつぽりのみこんで水面しづかに深呼吸する
宿題をあとまはしにする癖がまだぬけず置いてけぼりの真夜中
ためこんだ角がつんつんいたいから小出しにします爆発まへに
一匹でゐるより二匹それよりも三匹がいい ほら猫団子
散歩する犬のしつぽがくるりんとまいてあしどり軽くゆふぐれ
秋の獣 大西晶子
早朝の十八夜月あかるくて仰ぎてあるくゴミ集積所まで
朝はやく木を打つ音に鳴きたててかささぎが呼ぶは連れ合ひか子か
まとひつく蚊を払ひつつ露草の花咲くあした濯ぎもの干す
おそらくは土踏みしこと無き鶏の腿肉を切る雷鳴のなか
曼殊沙華を染めたる小袖身にまとふ美女に化けたき秋の獣ら
うらおもて 百留ななみ
ふたひらの蜆蝶とぶ師の庭に真白き萩がかがよひてゐる
会津までのぞみ、やまびこ、レンタカー下関から八時間あまり
たちまちに既読となりて返信ありこのスピードは豊かさなのか
秋風の吹かぬ長月うらおもて扇をかへしあふぎてみたり
まんじゆさげの白花ながめ逍遥す非人情はた不人情ならず
航跡 藤野早苗
航跡はやや右曲り夢載せて紙製ロケット秋空へ飛ぶ
渚べに立ちてこの世のみじか歌島崎榮一いやさかを祝ぐ
読みすすみまた読みかへし山鳥のしだり尾のやうな夜も明けにけり
おほははといつか呼ばれる日のあらん今生来世また来来世
舗道をゆく白足袋に映りをり風にさ揺らぐ木漏れ日の影
オヴィラプトル 有川知津子
むかし一つの手紙を書きぬ先生にホワイトハウスの住所を聞いて
お彼岸に父をおもへば落ちてくる大きな青い海の出来事
火曜日は三時間目があいてゐて土耳古桔梗の花ひらきゆく
あをぞらをほどけつつゆくあかねぐもオヴィラプトルは訴へ出でよ
ことしこそきつと会はうな 言つたのは一月のこと明日会ひにくる
染めいろ 鈴木千登世
漂泊のこころをさそふ葛の風秋刀魚に青柚ぎゆぎゆつと絞る
高らかに百舌鳴く秋の日のひかり透き羽さやけく蜻蛉(せいれい)浮けり
野の花の秋色糸に染め出して織りたし風を緯糸にして
てのひらにすくひてゐるにこぼれゆくはかなきはうたそして染めいろ
しらつゆの揺るる蜘蛛の網うつくしく蜘蛛ひそめるを忘れ見惚るる
とほき幻聴 大野英子
虫すだく夜明けとなりぬ長月の蟬声は遠きとほき幻聴
海風に押されふはふは歩きだす秋のフェイズの朝日の方へ
ひきこもり歌誌を読みゐる休日の気づけば空は秋のゆふぐれ
てんでんに雲浮かびゐる秋の空わかれはいつもいつもたうとつ
書くことのなにもなければ空を見て流るる雲を見るばかりなる

