2025年 09月 15日
秋の音 百留ななみ
しとしとではなく雷鳴を伴って降る九月の雨。しかし一か月前の線状降水帯の雨とは違う。庭の畑には大根の双葉が並んでいる。恵みの雨。山鳩の声が近くに聞こえる。

夕暮れが早く夜が明けるのも遅い。もう十日ほどで彼岸。昼間は30℃を超える陽射しだが、葉陰は心地よい風が吹く。蝶たちも同じ思いなのだろう。黄蝶、蜆蝶、揚羽蝶と忙しなく飛んでいる。静かな野原には蝶の羽音も聞こえるようで。

音のない白い酷暑もそろそろ終盤らしい。境内の土を飛び歩く斑猫、大黒蟻の行列。なんとか暑い暑い夏を乗り越えたよって声が聞こえてきそうだ。ツクツクボウシもようやく元気に鳴き始めた。
畑の茄子もこのごろの雨に元気を取り戻し、ふたたび糠漬けに天ぷらにといただいている。雑草も生えてこない酷暑だったが、こちらも雨で元気を取り戻しているようだ。

昨年来からの米騒動。ふたたび実りの秋。いつも彼岸の頃に新米を分けていただきに行く。先日、連絡したらコシヒカリとヒトメボレは稲刈りが終わったという。ヒノヒカリはまだ。いつもコシヒカリをお願いしているのでぼちぼちお伺いしますと言うとちょっと待っての返事。まだ連日30℃を超える暑さ。そして雨。冷蔵庫で保管をしないと新米にカビが生えてしまうと危惧されている。収穫された玄米はすべて農家の大きな保冷庫に入れられている。

昨年の在庫米をたいせつに食べてひと月食い繋いで、十月半ばにいただきに行くことにした。そのころにはエアコンの要らない暮しになっているだろう。個人向けのお米用の保冷庫も今年は売れているという。

そういえば遅くなった夜明けに鴉の鳴き声が二、三日前から聞こえてくる。どこかで夏眠をしていたのだろうか。鴉の声にもホッとする九月。夜中の虫の声もようやく本調子。小さなみどりのバッタが乗り込もうとした車のドアに止まっていた。

ぎんいろの蜆蝶とぶ師の庭につぼみの萩が揺るる葉陰を

