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やまぐち2024短歌大会  鈴木千登世

 11月24日の日曜日、山口市のKDDI維新ホールで「やまぐち2024短歌大会」が開催されました。今年は第18回山口県芸術文化祭・第60回山口県歌人協会短歌大会に第25回日本歌人クラブ中国ブロック大会IN山口も合わせた3つの大会を統合しての開催でした。

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 詠草は150人分300首が寄せられ、当日は県内や中国地方から参加者が集まって歌会ののち表彰式が行われました。

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中国ブロック長の香川哲三さんのご挨拶

 最初に今年度の日本歌人クラブ中国ブロック優良歌集賞を受賞した『海の町』の著者の安部歌子さんに中央幹事の佐田公子さんから賞状が手渡され、作品が紹介されました。

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日本歌人クラブ中央幹事の佐田公子さんの講評

『海の町』より3首ご紹介します。
    昼顔の蔓絡ませて亡き舅(ちち)の漁船は浜に乾きゆくなり
     着信音は軽やかに鳴りて始まりぬ原発事故の避難訓練
     この橋の果ては異界か空も湖(うみ)も私も消してふかぶかと霧  
                       

休憩をはさんで歌会です。

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 選者は中国地区代表幹事の長尾健彦さん、香川哲三さん、井上政彦さん、小見山泉さん、石橋由岐子さんと中央幹事の佐田公子さんです。それぞれの方が選出した作品について講評され、また作者から感想が寄せられました。助動詞の「し」の「回想」としての使用について言及される場面もあり、改めて文法を振り返る場ともなりました。複数の選者の読みに一首が立体的に立ち上がってゆくのを感じながらの学びの多い時間でした。


受賞作品の一部をご紹介します。

山口県知事賞
今日までの罪はゆるすと言うがごと百日紅の花揺れ止まぬ朝       鳥取県 上田 正枝
山口県議会議長賞
面会の度に寒いと言ふ母よ今年の猛暑を一日も知らず          岡山県 藤井 正子
山口県教育委員会教育長賞
ねこ車にコンテナ載せて曽孫のせ朝露ひかるみかん畑へ         岩国市 近藤 順子
山口市長賞
亡き母のアルバムにあり笑みふふむ特攻隊の小さき一枚         山口市 俵田ミツル
日本歌人クラブ会長賞
パレットの青溶きゆくに溶け切れぬ父征き逝きし藍深き海        周南市 森元 輝彦


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入賞作品と選評が載る会報。大会の資料も兼ねています

 コロナ禍で誌上歌会となっていた大会も、ようやく昨年から対面での歌会が復活しました。一堂に会して歌を語れる貴重な場が戻ってきた安堵とともに、会員の高齢化や補助金の減少などコロナ禍以前の大会に比べて多くの課題が生まれています。今年度は中国ブロックの大会とも兼ねられて事務局の準備は多忙を極めたことと思います。準備、運営に当たられた皆さまの力で心ゆたかな時間を過ごすことができました。ありがとうございました。


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窓過る〈瑞風〉のふかき緑(あを)を見てまた戻りゆく歌の樹林に


Commented by minaminouozafk at 2024-11-28 11:14
受賞歌集の作品三首、心に沁みる良いおうたです。
ご紹介ありがとうございます。E.
Commented by minaminouozafk at 2024-11-29 00:13
コメントありがとうございます。
『海の町』から10首を引用して紹介されたのですが、どの作品も作者のまなざしが感じられて惹かれました。  Cs
by minaminouozafk | 2024-11-28 10:11 | 歌会・大会覚書 | Comments(2)