人気ブログランキング | 話題のタグを見る

和布刈 in おふなて 百留ななみ


ただ春の夕べの海を見たくて徒歩5分ほどの御船手海岸に。いつものように路地を抜けると海の青がぱっと広がるはず…そういえば細い細い三日月だった翌日だから大潮。そしてちょうど干潮のころなのだろう。ぐぐぐっと沖まで岩場があらわになっている。そして人影があちらこちらに。



和布刈 in おふなて 百留ななみ_f0371014_11121219.jpeg

きれいな小石や貝殻があったらと、ビニール袋をとりだす。みんな波打ち際で何かを拾っているが貝殻ではなさそうだ。ひたひたの岩場では長い棒のようなものを動かしている人も。そうだ、ワカメ。生ワカメがおいしい季節。この冬も魚屋さんでなんども購入している。そういえば御船手で取った若布をいただいたことがある。


和布刈 in おふなて 百留ななみ_f0371014_11120323.jpeg

 このあたりの海岸ではむかしからワカメが獲れていた。能の和布刈も長門の国の早鞆の明神の神前に供えるストーリー。亀山能楽教室でも和布刈祭の日には長門国一の宮の住吉神社で和布刈の謡を毎年うたって奉納する。住吉神社の和布刈祭は秘儀で今でも旧暦大晦日の夜に関門海峡でワカメを刈るが明らかにはしていない。翌日には神事や若布の販売がある。対岸の門司港の関門橋のたもとには和布刈神社があり、こちらは松明をたよりの和布刈が一般公開されている。



和布刈 in おふなて 百留ななみ_f0371014_11114120.jpeg

 能の和布刈の前シテ前ツレは漁翁と海女少女。後シテ後ツレでは龍神、天女となる。もともとは海陸の隔てはなかったが、彦火火出見命が見てはならぬ豊玉姫のお産を見たことで海と陸の通い路が絶たれてしまう。しかし和布刈神事の日だけはその通い路がふたたび開くという。なんだか七夕にも似ている。


目の前にはいつものように満珠、干珠の島。山彦ともいう彦火火出見命は海神から満珠、干珠をいただき、豊玉姫と一緒に海幸を懲らしめた。不思議な縁を感じる。



和布刈 in おふなて 百留ななみ_f0371014_11113674.jpeg

ビニール袋を持って露わになった海岸をながめていると、杖をついた方に「わかめ取らんの?ちょっとあげるね。ちょっと沖に歩いたらいっぱいあるよ」と分けていただいた。ありがとうございます。そのつもりで来てないし…と思いつつ浜を歩く。よく見るとワカメ。ちゃんと分かるんだ。楽しくなってついつい和布刈。袋いっぱい、ずっしり重くなっていた。もう五時半。あわてて家路へ。帰ってから、もう一仕事。大きな盥でざぶざぶ洗って、大鍋で二回。さっと湯掻く。鮮やかな緑色。夕食や明朝の味噌汁の分を残して小分けにして冷凍。22袋にもなった。



和布刈 in おふなて 百留ななみ_f0371014_11115717.jpeg

 買ってきたものよりも磯の匂いが強い。春の海の香。そういえば30年くらいまえに家族で浅蜊を取ったことがある。味噌汁でいただくくらいの量。たくさんの人が潮干狩りを楽しんでいた。おおらかな時代だったのだろう。



和布刈 in おふなて 百留ななみ_f0371014_11114657.jpeg



おふなての波にたゆたふ稚海藻つむメカブは岩にのこしたままに














by minaminouozafk | 2023-02-27 08:00 | Comments(0)