2022年 07月 19日
公益資本主義フォーラム2022 藤野早苗
円安が止まりません。今日のレートでは、1ドル=138.23円。30数年前、1ドル=90円を知る者にとっては驚愕のレートです。少し前は「円安の方が輸出に有利で……」とか楽観的な見通しを語る面々もいらっしゃいましたが、ここまで来るともうそれも無理。「安くなった日本」という現実を直視せざるを得ないなあと思うのです。
なぜこんなことになってしまったのだろう?
この日本の未曾有の不況については、カナダの経済学者の研究対象にもなりました。
「教育もあり、生来的に勤勉で、就業時間は他のどの国より長いのに、なぜ日本経済は斜陽になってしまったのか?」
複合的な問題なので、一言で答えることは難しいですが、その学者さんは「政治の責任」とおっしゃっていました。もう、それは私たち国民がひしひしと感じ続けていることですよね。
私が特に気になっているのは「教育」に関する施策。ここ最近は従来型の暗記・詰め込み式から、探究型のアクティブラーニングに転換を図り始めたようですが、その気運が現場に伝わっているかというと、はななだ疑問。その舵取りは全くもって机上の空論、絵に描いた餅であるような気がします。
なぜなのか?
この閉塞感から抜け出すにはどうすればいいのか?
そんな疑問の答えの端緒となるようなイベントが、先週末7月16日に開催されました。
「公益資本主義フォーラム 2022」
未来の教育は、ここから変わる。私が変える。

福岡大学経済学部で「ベンチャー企業論」の講義をされ、20年以上の長きにわたりアクティブラーニングに関わってこられた阿比留正弘教授の学生さんたちが仕切るこのイベント、13:00-18:00という長丁場にも関わらず、会場は終始熱気に満ちていました。
ご登壇くださった方々はこちら。

7名のみなさまそれぞれに独自のベンチャー観を持っていらして、ポジティブ。みなさんのお話をご紹介したいのですが、それぞれ内容が濃過ぎてとても無理。笑。ここでは当日の基調講演に位置づけられていた、株式会社植松電機代表取締役の植松努氏のお話から、印象に残ったお言葉のいくつかを紹介したいと思います。
植松努さんについての詳細はこちらをご覧ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/植松努
地方の一中小企業が、世界に冠たる研究者たちと協働し、成果をあげているという事実。その業績は右肩上がりで、その研究のフィールドは拡張し続けています。そんな企業を率いる植松社長の経営理念を以下にまとめてみました。
・社会を変えるのは前向きな素人。なぜわれわれの会社が宇宙開発で成功できたかというと、それまでの常識に捕われなかったから。「同じ・普通・前例がある・大量生産」、従来のこのような考え方でいると、人口減少著しい社会で生き残れない。人口が増え続け、大量消費を前提にしたビジネスモデルが、急速な人口減少の始まったこの国に通用するはずがない。企業も社会に必要とされなければ生き残れない時代になった。必要とされるか否か、はその企業の個性の有無にかかっている。
これまでの会社組織を表すあのピラミッド型は、そもそも国民皆兵制モデルで、同調圧力の象徴。そこから個性を育てるということ自体に無理がある。トップダウンの経営方針の限界がすでに訪れていることに気づかなければ。今、現場で必要とされているのは、義務や命令ではなく、「相談とお願いと感謝」。働くことそれ自体が喜びであれば、業績は伸びていく。
宇宙開発で業績を伸ばした植松電機だが、その採用基準に学歴や経験は全く関係ない。社員は文系出身者が多いし、高卒者もたくさんいる。人間誰しも得意不得意がある。会社に入って、研究に関わり始めて、小さな成功体験を重ねることが自信を育み、企業が育つ。
これまでの日本の企業が必要としていたビジネスモデルと人材は過去のもの。生活のために好きでもない仕事をする、とか、仕事をする上で一番大切なのは忍耐力だ、とか、そんな気持ちで取り組んで残せる成果などない。仕事に対する考え方一つで人生が変わる。仕事とは「大好きなことが人のためになって役に立つこと」。だから、企業を育てようと思ったら、そこで働く人々に「夢と希望を奪わないで、諦め方を教えなければいい、ただそれだけ。」
もう爽快感しかありません。
「仕事とは大好きなことが人のためになって役立つこと。」
「夢と希望を奪わないで、諦め方を教えない。」
深く深く頷きました。こんな植松社長、よく人材育成のためにしていることを尋ねられるのだそうです。そのお答えがまた痛快。
「放置。」
ただそれだけだそうです。笑笑。
この星にかつて恐竜ありしこと円安進む夜半に思へり

