2019年 12月 26日
白秋の目 鈴木千登世
昨日のブログでちづさんが、主要同人として「日光」を率いた白秋と夕暮の交流について紹介されていた。ちづさんの「白秋とともにあった時間が慕わしく思われたのだろう」という言葉に胸を衝かれながら読んでいると、ふと思い出したことがあった。でもそれはもやもやとした思いでもあった。実は、ご紹介していなかったけれど、長澤先生は白秋と夕暮の交流についても話されていて、そのお話は、夕暮の入院中に白秋と迢空が見舞いに来たというお話だったような……。
確かめてみると、それは昭和12年のことではなく、遡って、大正13年の「日光」創刊時のことで、夕暮は重度の糖尿病を患い、このままでは失明すると言われて入院中で、そこに白秋や迢空がお見舞いに来ることがあったということだった。時は違うけれど、二人とも同じ病気を患って失明のおそれがあるのをそれぞれ見舞っていたとは。
夕暮は「日光」創刊のきっかけになった人物なのに創刊号に歌がないのはこの入院ためで、さらに白秋から「とても散文がいいからたくさん書け」と勧められて「日光」に散文を書くようになったとも。白秋の勧めで書き始めた散文が後に『白秋追憶』につながっていく……。文学上のことを含めて、夕暮の文中の「友の好意」に二人の親密さを改めて思った。そして才能を見抜く白秋の目の確かさも。
柊の花。写真は10日前のものだけれど、庭に今も咲いていて、淡いけれど凜とした香りを放っている。例年はもっと早く11月ごろに咲き始めてこの時期にはもう散って花の姿はないはずなのに。
ひひらぎの花白く咲きはるかなる歌人思ふその師を思ふ
さて、年を重ねると時間の流れは速いというのは本当で、今日は今年最後の木曜日。最後の担当。
慌ただしい中にも、少しずつ育っていくものがありますように。
そして、やってくる新しい年が皆様にとって幸多い年となりますように。
お読みくださってありがとうございました。
夕暮の歌が「日光」創刊号にないとは、びっくり! でした。
「日光」は復刻版が出ていますね。年明けにゆっくり読んでみようと思います。柊の花が象徴的です。Cz.
ちーさま、ナイスアシストありがとうございます。E.
ありがとうございます。S.