2019年 10月 16日
企画展「草紅葉」記念講演会のご案内 有川知津子
三つ前の水曜日に、この秋の福岡市文学館の企画展「草紅葉――久保猪之吉とより江」をご案内した。
今日はその関連イベントの記念講演会のご案内。
久保猪之吉は、まず医学者であろう。そしてやはり、それと同時に文学者であろう。実際、文芸の分野においても要所要所で、大事な働きをしている。今回の講演は、そんな久保と妻より江の短歌に注目した内容である。これはぜひ、ご紹介しなければなるまい。
講師:恒成美代子氏
演題:「久保猪之吉・より江の短歌」
日時:11月17日(日)14時~15時30分
場所:総合図書館3階第1会議室
*無料
講師の恒成美代子さんは、「未来」の歌人。日本歌人クラブ九州ブロックの代表幹事を務める。(などと、私が記すまでもないだろう。昨日の早苗さんの記事の言葉を借りれば、8:2のうちの2の方である)
「暦日夕焼け通信」(ブログ)では、歌集などの本のこと、歌会や大会などのイベントのこと、ご覧になった映画のことなどを綴り、文学や芸術について発信していらっしゃる。このブログ名に冠された「暦日」とは、恒成さんの歌集(2012年)のタイトルでもある。
暦を見ると、ちょうどあと、ひと月後。久保猪之吉をもっと知りたい私には、今からもう、恒成さんの講話が待ち遠しい。――申込み要領をお知らせするのを忘れるところであった。
そろそろ、紅葉がおりてくる季節。久保夫妻の生涯の作品を丹念に調査し、この秋の企画展の名称を、季節にぴったりの「草紅葉」と決めたのは、神谷優子さん。この企画を力強く引っ張っている一人である。
ところで、久保は、学生時代に落合直文から物心両面におよぶ篤い援助を受けた。そのことを回顧して感謝の念を記した文章が残っている。
明治36年、久保はドイツ留学に出発する。そのとき病に臥せていた直文は、
病みつつも三年は待たむ帰り来て我が死なむ時脈とらせ君
と詠んだ。これに、よい薬をもって帰るから待っていてください、と応じた久保の歌がある。けれども、直文が三年を待つことはなく、久保が直文の最後の脈をとることもなかった。
眼球が帰らうと言ふうぶすなは入江につづいてゐる草紅葉
ちづりんのお知らせで、ますます楽しみになりました。行けますようがんばります。E.
ご都合がよくてお申し込みくださったみなさま、ありがとうございます。
晶子さん、落合直文=「孝女白菊の歌」の作者って、文学史で習ったのですね。お話し聞かせてくださいね~Cz.