2019年 09月 21日
靴のこと 栗山由利
利用している靴屋さんからこの秋冬の新作の案内が届いた。
先日、歯科医院の待合室で治療が終わって靴紐をむすんでいると、斜め前にいた同年配の女性から声をかけられた。「あのー、その靴は履きやすいのですか?」「そうですね、私は外反母趾だの偏平足などいろいろあるので‥‥」と答えると「そうなんです。私も‥‥」と、どれほど足に合わない靴に苦労しているかということを、切々と話しはじめた。整形外科で足に合わせて足底板を作ったり、履きやすいという靴をいろいろ試したりしたそうだが、なかなか苦痛は改善されず、一度は買い物に出た天神で足の痛みがどうにもこうにも我慢できなくなって、とうとう裸足で歩いたという。私は裸足になったことはなかったが、概ね同じ経験をしてきたので、その辛さは十分に理解できた。「今は苦肉の策で、こんなサンダルしか履けないんです。足を完全に覆う靴はしばらく履いてないんです。」と本当に辛そうだった。どこの靴ですか?どこに売っていますか?と矢継ぎ早に聞かれた私は自分が知っている限りの情報を教えてさしあげた。
合う靴が無いというのは本当に辛い。今の靴に出会ったのが15年前、名前は知っていたのだが主婦にとっては結構高額である。だが、そのころ本当に足の痛みが強くなったこともあって、思い切ってデパートで購入した。ハイカットのブーツは実際に履いてみると、足首でしっかり固定するのでそれまでの痛みが嘘のように楽になった。しかし、オーダーではないのでたまに足に不調が出たりで、いつでもどうぞという店員さんの言葉に甘えて、インソールで調整したり幅を広げたりしたのだが一足目はあまりしっくりとはこなかった。履いて一年ほど経った頃、「ちょっと、こちらの靴に変えてみますか」と言って、真新しい別のタイプの、より幅広の靴にインソールを厚めに入れてあわせてくれた。すでに一年も履いているのに、無料で交換してくれるという。これには、私のほうが本当に恐縮した。その後、二足目のタイプの靴が私の定番となった。この靴のおかげで年に3,4回行っていた札幌も、万里の長城や紫禁城も足を気にすることなく快適に歩き回った。
ただ、やはり時間とともに足の状態も変化するので今は別のお店で、インソールや靴底のメンテナンスをしてもらっている。
案内状を見ては、たまにはちがうデザインのものを試してみたいと思うのだが、これがまたおいそれとは手が出ない金額なので、話が先に進まない。これまでで一番高い履物は、今家の中で履いている室内履き。履いている時間が一番長いので足の型どりをしてあわせた。
早苗さんからは「ユリユリ、草履は楽よ~。」と誘われているのだが、こっちも一考の価値があると悩んでいる。
足の悩みが無い方が本当に羨ましいかぎりだ。件の女性にも歩きを楽しめる靴が見つかりますように。
どこへでもつれてつてくれる軽い靴 心の中の羽がある靴
歯科医院で出会った女性にも定番となる靴が見つかると良いですね。E.
草履は楽よ~。早苗さんの声で読みました。Cz.