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司生虫 大西晶子

6月2日に〈市報のおがた〉という記事を書いた。その中で司生虫の伝説をいつか調べてみたいと書いたが、なかなか直方まで行く機会がない。ということでネット検索をしてみたら、直方市ではなくその隣の市、宮若市のホームページで見つけることができた。宮若市は宗像市の南に隣接する市で、宮田町と若宮町が合併してできた市だ。古くは宗像大社の荘園だった名残がその地名にある。


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                                                (画像はお借りしています


伝説1

戦国以前の話になるが、直方市と若宮町の境界あたりに竜ヶ岳城という山城があり、そこには城ができる前から司生虫(ししょむし)が住みついていた。この虫は山の主と言われ形はサザエに似ていた。普段は見えないが、敵が山城に攻めてくると夥しく現れて、山を覆ってしまい、敵はこの虫に足をとられすべり弱っている間に上から矢を射かけられたり、石や大木を落とされ逃げ帰り、常に城は安泰だった。敵は戦いになると姿を現すこの虫の居場所を間者を入れて探ったところ、多数の井戸から湧き出るように現れることが分かり、井戸を次々に埋めてしまった。その結果竜ヶ岳城は落城した。司生虫の名のいわれは古老も知らない。(昭和56年10月発行朝日新聞筑豊支局篇朝日文化センター発行「ふるさと筑豊」に拠る )


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伝説2

やはり同じ龍ヶ岳城(竜から龍に字が変わっている)。こちらの司生虫(ししょうむし)は城の麓の沼に住み、イモリに似ているという。米のとぎ汁を注ぎ呪文を唱えると大きくなり雨を呼び風を起こし、敵がいくら進んでも一里の道が二里に見えて城に近づけないという怪しい力を持っていた。この呪文は城主杉家の血縁の者だけの秘密だったが、かって滅ぼした敵・麻生氏の重臣の遺児・長谷川左近の武勇を認め召し抱え、姫の婿にしたところ、左近が姫から秘密を聞きだし、長谷観音の力を借りて司生虫を滅ぼした。更に旧い麻生家の旧臣を集め杉氏を攻めたところ落城した。司生虫の名については記述なし。(宮田町誌上巻より)



伝説2については「香井田くずれ」の物語として、『亀甲山長谷寺縁起』{昭和39年発行}におさめられているという。もともとの伝説を後世に創作潤色したもので、大正年間に旅回りの役者が宮田町で上演して評判をとったことがあるそうだ。
 伝説2に出て来る麻生氏(勝者)はおそらく後に炭鉱で栄えた、麻生太郎氏につながる一族だろう。


 

 この二つの伝説の違いはどこからくるのかが不思議。先ず、司生虫の読み方がちがう。シショムシとシショウムシ。素朴な伝説1ではサザエに似た司生虫がどこから伝説2のイモリのような姿に変わったのだろう。ただのぬるぬるした生きものよりも、イモリに似たモノの方が視覚的に分かりやすいからだろうか。個人的にはイモリ型のモノの方が形が定かでないぬるぬるしたモノよりもまだ気味悪くないような気がするのだけど。
 それにしても戦国あたりの時代の人が、巨大化したイモリ、まるでゴジラのような物を想像していたことに驚く、筑豊の人らの想像力の豊かさなのだろう。


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          司生虫のをりし龍ヶ岳の麓なる職場で夫は日々老い人を診る










Commented by minaminouozafk at 2019-06-17 07:02
山口にも亀がお城を守ったという亀山伝説があります。司生虫の伝説も戦国時代が舞台ですね。虫といながら大きなイモリのようなところや2つもの伝説があるところ興味深く読みました~。ご紹介ありがとうございます。Cs
Commented by minaminouozafk at 2019-06-17 08:42
伝説1は、私もネットでみつけましたが、伝説2は知りませんでした。麻生氏は(昔も今も!?)恩を仇で返すタイプなのですね。E.
Commented by sacfa2018 at 2019-06-17 08:50
司生虫、戦国時代が舞台なのですね。戦に伴って、色々なキャラが誕生するのだなあ、と面白く思いました。

イラスト(?)がちょっと怖い。笑笑。S.
Commented by minaminouozafk at 2019-06-17 17:53
司生虫いろいろな伝説があるのですね。下剋上の戦国時代ならではの怪獣?です。井戸から湧き出る司生虫、ちょっと恐いです。N.
Commented by minaminouozafk at 2019-06-17 23:36
続報、お待ちしておりました。ししょむし、ししょうむし。読み方も違う~。伝説の違い、おもしろい。Cz.
Commented by minaminouozafk at 2019-06-19 08:15
地方都市のホームページは魅力がいっぱいです。私も裂田溝のことは那珂川市のホームページなどで調べました。伝説がずっと繋がっていきますように。Y.
by minaminouozafk | 2019-06-16 07:30 | Comments(6)