2019年 06月 02日
〈市報のおがた〉挿し絵原画展 大西晶子
先日、夫の知人・梶木このみさんのご一家の絵を直方の駅にほど近い〈ギャラリーのぐち〉に見に行った。
〈市報のおがた〉に43年間、直方歴史物語(文・舌間信夫氏)などのために描かれた挿し絵の原画展だ。父君の故赤星月人さんが2007年まで描かれ、その後7年ほどは娘さんの梶木このみさんが引き継がれ、孫の奈須田朋美さんも2点描かれたという数多い挿し絵原画の中から選ばれた、直方の歴史のエポックメイキング的なもの70点の展示ということだった。ほかにも油彩、水彩の絵、ちいさな板に花の絵を描いた葉書や、奈須田朋美さんの習作などもあり、家族的で心温まる展覧会だった。
挿し絵には直方、ならびに筑豊という土地柄のよく表れた絵が多い。筑豊と言えばやはり炭鉱のイメージが強いが、昔から水田の多い豊かな農業地帯でもあることを忘れてはならない。またちかくを長崎街道を通っていたからか、シーボルトの肖像もある。
戦国以前の武将たちの競り合いなのだろうか、直方と今の宮若市、鞍手町の境い目にあった龍ヶ岳城にまつわる妖しい司生虫(ししょうむし)の奇談などのイメージ画などもあり面白い。
挿し絵は白黒の墨絵のような絵だが、月人さんには激しいエネルギーを感じさせる油彩や色のうつくしい水彩の作品もあり、襖絵やお寺の壁の絵を手掛けられるというお孫さんの絵や習作も同時にならぶ。絵の才に恵まれたご一家三代の作品を堪能させて頂いた。
挿し絵だけではなく文章も読みたくなったが、本になっているので直方市の図書館あたりに行けば読めそうだ。
挿し絵のなかでも特にインパクトの強かった「司生虫」(ししょうむし)の奇談などを調べていつか当ブログで紹介したいと思う。
無彩色の絵より聴こえてかうかうと雁がねの声絶ゆるなき声
石積の竃のお風呂気持ち良さそう。ししょうむし、お城を守る伝説の虫のようですね。続報待ってます。E.
43年間。重みを感じます。気持ちのあたたかくなるご紹介をありがとうございます。Cz.