2019年 04月 30日
銀の皿に黄金の言葉を~春日真木子氏のこと 藤野早苗
「現代歌人協会会報158」が届いた。本号は、平成30年12月20日、東京神田の学士会館で行われた第41回現代短歌大賞授賞式・祝賀会、忘年会の大会記が第一面を飾り(松田慎也氏筆)、読んでいるとあの日の記憶が鮮明によみがえってきた。
そう、私はその日、その場にいた。11月の「灯船」批評会@静岡で、福士りかちゃんと出席の約束をしたし、会いたい人も何人か、そして大学の試験の関係で、多分年末年始には帰省できないだろう娘に少し会っておきたい気がして、上京を決めたのだった。
華やかな会の中で、ひときわ印象的だったのが、歌集『何の扉か』で第41回現代短歌大賞を受賞された「水甕」代表・編集発行人である春日真木子氏のご挨拶。

授賞式で聴いた折、とても感動してブログに書きたかったのだが、春日氏の繊細な言葉の端々まで正確に伝える自信がなく、記事にするのをあきらめた。すると何と、今号に春日氏の言辞が掲載されている。ああ、これこれ、この美しい言葉を、そして更に更にうつくしいあの日の春日真木子氏をぜひ紹介したいと思ったのだ。以下、「明日の扉へ」と題された春日真木子氏の文章より引用する。
私はこれから大人しく老いに入ります。男性は老いても翁といわれ、翁には羽があります。女性は媼ですね。羽はなく、女性の老いの歌はむずかしいです。初めは抵抗していましたが、媼の旁に皿が入っています。この皿こそ短歌の定型と思った途端、皿は銀色にかがやきました。銀の皿に黄金の言葉をのせてゆきたいー。これが今の私の夢です。
春日氏は1926年(大正15年)生れ。ご受賞時は92歳であったわけだが、この感覚のみずみずしさはどうだろう。「銀の皿に黄金の言葉をのせてゆきたい」これこそが、あの日、あの会場で私の心を最も揺さぶった言葉であった。
『何の扉か』から一首引く。
九十歳のわれの腕に湯気ぬくし女のみどりごの桜じめりよ
湯を使ったあとの嬰児を受ける春日氏の腕もまたきっと桜色。老いてますます花、である。


平成最後の佳き日に、揺さぶられるお言葉の紹介をありがとう。
銀色の皿があることを思えば老いも少しは豊かで、短歌も励まねば~E.
早苗さん、華やかなそして祈りの御文章をありがとうございます。Cz.

