2019年 03月 07日
伝説のシュークリーム 鈴木千登世
小学生の頃に『チョコレート戦争』(大石真 作・北田卓史 絵 理論社)という本を読んだ。
すずらん通りにある町一番の洋菓子店、金泉堂。美味しいケーキとショーウインドに飾られたチョコレートの城は子どもたちの憧れの的。ところが、そのショーウィンドが突然割れて、たまたまそこに居合わせた2人の小学生が犯人扱いされてしまう。疑いをはらすべく2人は大人たちに戦いを挑むのだが……
ストーリーもさることながら、この本に登場するお菓子の美味しそうだったこと。デコレーションレケーキ、シュー・アラ・クレーム、エクレール!!当時は生クリームケーキなんて地方ではまだ売られていない時代。エクレールってどんな洋菓子かしらとあれこれ想像して、わくわくしながら読み進めた。だから、金泉堂はわたしの憧れのお店でもあった。
その頃、萩に神戸屋という老舗の洋菓子屋さんがあった。田舎に住むわたしにとってアーケードのある萩は都会。中心街にあった神戸屋は眺めるだけの、まさに金泉堂だった。
それから数十年。大人になって、萩に通勤するようにもなった私は念願の神戸屋のケーキを買えるようになった。よく食べていたのはシュークリーム。(あこがれのシュー・アラ・クレーム!)生クリームとカスタードクリームの配合が絶妙で、子どもへのお土産とか頑張ったご褒美とか理由をつけて、しばしば買っていた。
ところがその神戸屋がまさかの閉店。まさに青天の霹靂。他のお店にも美味しいシュークリームはあるけれど、やっぱり神戸屋のものは特別で、心にぽっかりと穴が空いたようだった。
いつだっただろう。噂で元の神戸屋の職人さんが新しくお店を開いたと聞いた。
モダンでスタイリッシュなお店だった
訪れてみると「伝説の生シュー」として、あの神戸屋のシュークリームがガラスケースに並んでいる。思わずたくさん買い込んで、同僚とお茶しながら懐かしい味をよろこびあった。
伝説の生シュー
転勤してなかなか萩に行けなくなったけれど、たまに訪れる時には、ご褒美ご褒美と言い訳して買っている。
伝説のシュー・アラ・クレーム頬ばればこどもの頃の私が笑ふ
でもそこは受け継がれる職人の技。素敵なお店ができて一安心ですね。
シュー・アラ・クレーム、おしゃれです。S.
バージョンアップしたシュー達と再び会えてよかったですね。
たくさんのご褒美と出会えますよう、また明日からがんばって!E.