2019年 02月 06日
ほ。帆座 有川知津子
以前、一文字星座〈ほ〉〈ろ〉〈や〉のうち、〈や〉の矢座のことを書いた。
今日は、〈ほ〉の帆座である。
なぜというに、この星座が、日本で観測できる時期にかかったという噂を聞いたから。宇宙情報センターによると、2月~5月の約4か月間ということであった。期間限定星座なのである。
星座早見盤で確かめてみよう。
たしかに南の地平線上すれすれに位置する。右側にただよっている白っぽいのは天の川。
ところでこの帆座、もとアルゴ座と呼ばれていたものの一部である。
アルゴ座といえば、イアソンのアルゴー船。その昔、金の羊の皮を求めてコルキスへ向かった巨船である。五十余人の冒険者たちが乗船したという。オルフェウスの竪琴が、セイレーンの歌声から仲間を守ったというエピソードもこの航海中の出来事であった。
やがてアルゴ-船は、星に物語を読む人々によって、天に係留されることとなる。
ああ、しかし、この船は大きすぎたのだ。その後、四つの部分に分けるのがよかろう、ということになり、分けられてしまった。
「アルゴ」→「ほ」+「らしんばん」+「とも」+「りゅうこつ」
で、あるから、上掲の星座盤にも「アルゴ」の名は見えない。右のすみっこに「りゅ」、と見えているのが、りゅうこつ座である。
つまり帆座の帆は、アルゴー船の帆であった。
銀漢にアルゴー船を舫ひたるひとをおもへば春のあけぼの
次は〈ろ〉を楽しみにしています。E.