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九州陶磁文化会館 大西晶子



五代にわたる作品で有田焼窯元の歴史を示すという「明治維新150年記念展 有田晩香窯―明治から平成の窯元の軌跡―」という展覧会が、有田町の佐賀県立九州陶磁文化会館で開かれている。晩香窯は旧知の庄村健さんのお宅なので、暮れのある日に夫と行って見た。

会場の九州陶磁文化会館は有田駅に近い丘の上にある。寒い日だからか来館者が少ない。

有田晩香窯展はこの日は特に解説などは無い日で、一つの展示室に時代と製品の特徴を書いたキャプションをつけて展示品がガラスケースに並べられている。来館者が少ないのでゆっくり解説を読みながら見ることができた。
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 初代の庄村健吉さんの優れた腕と積極的な活動で晩香窯の基礎が築かれ、その後も時代に沿って柔軟に営まれた窯なのだということがよく分かる。
 ひとつの窯元の歴史がそのまま有田の歴史や世界史に繋がり、思いがけない時間の広がりを見せていることに驚いた。

海外向きのカラフルな明治時代の食器や、万博に出品されるはずだった大正時代の大皿、昭和のはじめの世界大恐慌で食器や花瓶などが売れなくなった時代に作ったカフスボタンや帯どめ、戦時中の金属のかわりに磁器で作られたポット(魔法瓶?)、太平洋戦争の終った後で「憲法発布記念」と書かれた湯呑、などそれぞれに時代見えて興味深かった。また大変な時代を女性の身でよく越えて来られたのだと、庄村家の4代目だった健さんのお母様のにこやかだったお顔をなつかしく思い出した。




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 初代の健吉氏の華やかな洋食器は今見てもちょっと欲しくなる。以前から晩香窯の入り口に飾られていた孔雀の絵の大皿も、会場のライトに照らされ一段と華やいでいた。現在の当主五代目の庄村健さんの作品の独自性、ご長男久喜さんの白磁の清新でシャープな作品とそれぞれに個性があり、晩香窯五代の時の流れの豊さをあらためて思ったことだ。



話は変わるが、この九州陶磁文化会館の建物がすばらしい、1980年竣工なので昭和の完成されたスタイルの一つなのだろう。ともかく居心地がいい。

「公共の建築百選」に選ばれたこの建物の広いホールから見える庭の景色や、廊下のつきあたりの広いガラス壁から見える有田町の風景、細部ではドアの引手やトイレの道具に使われている有田焼の色絵製品など見どころが多く、ゆったりと落ち着ける。



 ロビーには人間国宝に認定された九州の作家の作品が並べられ、有田磁器のからくり時計が時間丁度と30分になると動き出す。


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 展示室2では現代の作家の作品、展示室3では九州各地の古い焼き物が見られ、展示室4では九州の焼き物の歴史が分かりやすく画像でや展示で示されている。その部屋に展示された江戸時代にヨーロッパに輸出された磁器の「蒲原コレクション」は華やかで圧倒される感じだ。染付のものを集めた柴田夫婦コレクション1000点を展示する展示室5もある。





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帰る道で庄村家に寄ったが、ショールームが明るく点り、鍵も開いているのに無人のようだ。ふらりと行ったので連絡をしていなかったことだし、きっと工房で忙しくお仕事されているのだろうと、心残りだったがそのまま帰って来た。
 その前に寄ったお食事処でも店に営業中の札がかかっているのに、中に入るとお店の人が不在で、別のお店で昼食を取った。
 用心が悪くないのかしら?よほど人を信じる、治安の良い街なのかしらと、すこし不思議に思いながら有田を後にした。



くちきけば何をかたらん窯を出て四百年経る色絵の小皿








Commented by minaminouozafk at 2019-01-13 20:19
九州陶磁文化会館、懐かしいです。父が焼き物が大好きだったので、一緒に有田巡りをした折に立ち寄ったのが最後。もう22年前です。
晩香窯、美しくて個性的。じっくり拝見したいです。
晶子さん、ご紹介ありがとうございます。S.
Commented by minaminouozafk at 2019-01-13 20:59
たくさんの美しい写真をありがとうございます。去年初めて有田の陶器市にいきましたが、今年も行こうと思っています。ぜひ、訪れたいと思います。Y.
Commented by minaminouozafk at 2019-01-14 09:50
有田、一度訪ねてみたい土地です。
丘の上の陶磁文化会館からの景色を想像しています。トイレまで細部に凝っていて素晴らしいですね。E.
Commented by minaminouozafk at 2019-01-14 10:07
有田焼の美しいこと!魅了されました~。晩香窯のお話また伺いたいです。陶磁文化会館も時間をかけてゆっくりと見学したいです。なかなか訪れる機会がなかったのですが、今年は是非にと思いました。ご紹介ありがとうございました。Cs
Commented by minaminouozafk at 2019-01-14 15:44
有田焼やっぱり優雅で美しいですね。陶磁文化会館は行ったことがないです。道路標識の記憶はあります。今度はぜひ立ち寄ってみます。N.
Commented by minaminouozafk at 2019-01-14 23:54
二度、訪れたことがあります。晶子さんの文章と写真に触れて、また行きたくなりまた。ありがとうございます。Cz.
Commented by 佐藤紀子(カナダ) at 2019-01-17 05:40 x
随分前になりますが、佐賀のコスモス会員の洋子さんに連れて行っていただきました。有田焼の色は、華やかなだけでなく、包み込むような感じで素敵ですね。
行ったのが、三月だったので、マイセンのお雛様も見ました。
そうそう、他にお書きのかたがいらっしゃいますが、トイレがとても凝っていて芸術的なので、「私なんかが、ふつうに使っていいのかしら?」とおどおどしてしまったのも思い出します。 
Commented by minaminouozafk at 2019-01-18 11:34
佐藤紀子様「南の魚座」をお読み頂き有難うございます。いつも「できるところから一つずつ」を読ませて頂いていますので嬉しいです。三月に有田に行くと雛祭をしていますね、毎年の恒例のようですので、その時期に行くと楽しいですよ。マイセンの西洋のお顔のスタイリッシュなお雛様が見られます。A
by minaminouozafk | 2019-01-13 08:32 | Comments(8)