2018年 12月 05日
特別展「浄土九州」 有川知津子
特別展「浄土九州――九州の浄土教美術――」が、福岡市博物館で開催されていた。こういう、九州に特化した浄土教美術の企画展は珍しいことで、ほんとうは会期中にご紹介したかったのだけど、私自身がほとんど滑り込みで、できなかった。
出展絵画に中将姫伝説にちなんだ曼荼羅図「当麻曼荼羅」がいくつかあったのが印象に残っている。「当麻曼荼羅」という名前は、奈良県の当麻寺の本堂に安置されている奈良時代の原本「綴織当麻曼荼羅」に由来する。転写されて、各地に広まったという。
中将姫は、当麻寺に入山し、仏行に励み、一晩のうちに蓮華の糸で曼荼羅を織りあげたと伝えられる姫さま。女人の身でありながら極楽往生したとも伝わる。簡単に書いたが、入山する前には、いろいろあったのだ。
福岡県みやこ町の峯高寺からは、「当麻曼荼羅」とともに「中将姫藕絲曼荼羅織図」も出展されていた。これには、姫が曼荼羅を織っている場面が描かれている。帰ったら、折口信夫の『死者の書』を読み返してみようと思いつつ眺めた。
祈りとは灯をともすことともしびに暗くかがやく当麻曼荼羅
あれからもう一か月が過ぎ、光の飾りが人々を楽しませる季節となった。
中将姫がみたら曼荼羅図に織り込むかも――。
当麻寺、懐かしい。桟橋の葛城の旅で行き、文亀曼荼羅や中将姫像、拝観しました。とても香りのよいお線香を買ったなぁ。
先日、高野さんと思い出話を語ったばかりでした。E.