2018年 11月 21日
鹿児島寿蔵の紙塑人形 有川知津子
この日乗の10月14日に晶子さんが記した「鹿児島寿蔵の人形と短歌」展(福岡県立美術館)に行ってきた。そこで、断片的なことをすこし。
鹿児島寿蔵の〈人間国宝〉の認定は、紙塑人形に対するもの(短歌でないのが残念)。紙塑とは、紙の塑像。紙ゆえに、他の素材によるよりも細かな表情の表現が可能であるという。
たしかに、寿蔵の紙塑人形は、造形の柔らかみの濃淡が豊かで、どれも、この作品にはこの形しかないという風情にたたずんでいる。その確固泰然たるおもむきのためであろうか、一体一体がみずからの物語を語りかけてくるように思われ、私はその唯一無二の物語に耳をかたむけながら、楽しくなったり、つらくなったりしながら、ひとときを過ごした。
しばらく時間が経った今でも、こう書いてくると、心がさわだち、それでいて凪ぎわたるような不思議な感情につつまれる。
館内では、仕事場や作業工程を記録した映像をみることもできた。
開襟シャツを着た作家が、紙をジュースミキサーにかける様子が回転音とともに映し出される場面があった。私はこれを少しおもしろく感じた。つい今まで人形たちの物語を聴いていた私には、――この工程あってこその人形と分かっていても――、それが現実的すぎるように思われたのである。
ビデオの後半には、人形に目を入れる、すなわち「開眼」の場面も収められていた。これは神聖な瞬間である。こんなところまで撮られてしまうなんてタイヘンだなあ、と思うともなく思っていると、そばにいた知人が「国宝ですからね」と言った。
人形にひとみ点ずるたまゆらの記録遺りぬ国宝なれば
私もちづりんのポストカードの有間皇子、1番のお気に入りです。E.
瞳を点じるたまゆら、いいなあ。S.
「灯船」批評会、いってらっしゃいませ~。Cz.