2018年 11月 18日
あらしのよるに 大西晶子
いま博多座に歌舞伎「あらしのよるに」がかかっている。
狼と山羊が嵐の晩に一つ屋根の下で過ごし友達になるというこの童話が話題になったのはずいぶん前だったような気がする、原作の絵本が出版されたのは20年以上前のことらしい。
登場するのが動物ばかりのこの物語を歌舞伎にしたものが一体どんな舞台になっているのか、好奇心もあり見に行った。
見に来ているのは私と同じような中高年女性が多いが、若い男性のグループが何組か目立っていたのはいつもと違う。原作が童話なのに週日なので子供は数人、ちょっと惜しいと思う。
幕が開くと狼たちが踊る、衣装は山賊風で長いしゃぐまのような黒毛の鬘と耳、顔はそれぞれに隈取されている。浄瑠璃はラップみたいで、三味線も太い音でじょんがら風、舞踊も切れの良いストリートダンス風とやや洋風。
山羊たちは白い着物と袴に肩から長い毛が垂れている。歌舞伎は顔の隈取で動物にも為り易そうだ。
狼の「がぶ」の中村獅童の「○○でやんす」と語尾に付ける嗄れ声が楽しい。山羊の「めい」の尾上松也の中性的で丁寧な物言いと良い対照だった。
上の絵が舞台になると、、、下のように。
見ているうちに気が付いた、もともと歌舞伎は邦楽のミュージカルなのだと。音楽や踊りのジャンルは違っても、お芝居と音楽と踊りが一つになったものという点では共通している。歌舞伎役者は歌わないが、浄瑠璃や長唄がその分を語り歌う。登場人物も地謡もが謡う能はもっと近いかもしれない。日本古来の芸能はミュージカルだったのかと改めて思った。
ガブとメイ、可愛い。S.