2018年 10月 26日
第26回ふくおか県民文化祭2018短歌大会 大野英子
阿木津英先生をお迎えした、県歌人会創立20年の記念大会も先週、10月20日無事終了。
応募作品数は、なおさん人気の昨年には届かなかったものの755首。
好天に恵まれ、250名収容の会場も八割ほどの入りで、役員一同安心いたしました。
ご参加のみなさまに感謝です。
植村大会副実行委員長による開会の辞

印象深かった講評から数首紹介いたします。
桜川冴子先生から二首。
〈福岡市長賞〉
極月の博多駅構内煮詰まれる豚骨スープのにほひただよふ 田久保節子さん
二句以下だけだと普通。「極月の」で趣きが変わる。ほんの一言の言葉の選択の大切さを示している。あえて使ったことが手柄。先の見えない重い現代の閉塞感を「煮詰まれる~」が言い当て、博多色も出ている。
〈福岡県ねんりんスポーツ・文化祭大会会長賞〉
捨てようか蛇の目番傘破れ傘過去を抱いてしぐれをゆくか 泉 満夫さん
講師の阿木津さんの師である石田比呂志氏の代表歌〈しぐれ傘一輪咲かせむらさきに烟る坂路にさしかかりたり〉『九州の傘』へのオマージュの一首。「傘」を比喩として、過去を背負って生きるしかないという気持ちを石田比呂志の歌を念頭に自分の歌として表現され、味がある作品。
高野さんの「厳密な読みをする人達の詠みが集まってはじめて名歌になる」というお言葉を思い出す講評でした。田久保さんはコスモスのお仲間です。
阿木津英先生の講評から一首。
〈秀逸〉
整備士となりたる女孫玄関に背筋伸ばして挨拶をせり 藤野榮子さん
「女」を取るとそうですかで終る歌。「女」ひとつで時代を感じさせ、これからの人生と女性達が新しい時代を拓いてゆく未来を感じさせ気持ちの良い歌。
ガラスの天井を突き破ってくれそうな女孫さんの姿。現代短歌にフェミニズムを提示された阿木津先生らしい目の付け所が印象的でした。
選歌講評の様子

ちなみに私のお気に入りの作品を二首。
〈福岡ねんりんスポーツ・文化祭最高齢者賞〉
(男性の部 90歳)今朝飲んだたしかに飲んだ飲んだはず飲んだつもりの薬が残る 佐藤昭二さん
(女性の部 95歳)風の中われを追ひ越して行くものら枯葉・のら猫・少女それから…村松初子さん
佐藤さんの作品は、老いの日常をリズムも抜群に良く、ユーモアさえ感じさせてくれ、とても気持ち良く読み上げさせていただきました。村松さんの作品は、とり残されるような思いが詩的に仕上がっています。お二人とも、早苗さんのカルチャーの生徒さん!
本当の最高齢102歳の向井まつさんは「福岡県教育委員会賞」を受賞されました。
みなさま、本当におめでとうございました。
そしていよいよ阿木津英先生による記念講演。演題は「歌の行方」

宮先生の『短歌読本』から、歌の三要素「作歌には心、言語、節調が大切である」という言葉を挙げて解説(ありがたくも誇らしいことです)。加藤治郎がたたえる現代短歌を例に挙げ、そこに虚ろさを読み取り、危惧し、私達もこれで良いのかとぼんやりと感じていることを鋭く問題提起してくださった。石田比呂志と穂村弘のエピソードなども交え、張りの良いお声の楽しくも興味深い一時間でした。
休憩中、阿木津先生と早苗さんと。

阿木津英先生、本当にありがとうございました。
冷房が効きすぎて右足はずっと半攣り状態でしたが、大きなミスもなく司会も終えることが出来一安心。
受付をてきぱきとこなしてくれたユリユリ、重要な照明担当のクリクリさん、ご協力感謝です。
来年の講演は染野太朗氏。乞うご期待!!
終了後ハロウィンバージョンのレソラホール1階で魚座のメンバーと恒例の1枚(ちづりん撮影)

ブザー音鳴り、進行表めくる手が少し震へてやがて開会
阿木津さんのお話、わかりやすくて良かったけど、もうちょっと本気出してもらっても良かったですかね。ここは福岡ですから。笑笑。S.

