鹿児島寿蔵の人形と短歌 大西晶子

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                 11月25日(日)まで開催中、中央は紙塑人形「卑弥呼」


 先日知人から福岡県立美術館の「鹿児島寿蔵の人形と短歌」という展覧会の切符を頂いたので行ってきた。短歌を始めたばかりの頃(かれこれ三十年くらい前)に人間国宝・鹿児島寿蔵の人形の展欄会で見た美しい紙塑人形のかずかずを今も覚えている。それに鹿児島寿蔵の歌集「母のくに」も読んだことがある。


 今回は県立美術館に寄贈された作品を中心に短歌の自筆の書や陶磁器の作品が多くはないが、じっくり見るのにちょうど良いほど並んでいる。
 同時に福岡県の工芸品の久留米絣や博多帯、小石原焼も展示されている。鹿児島寿蔵は福岡市で生まれ育った人なので「郷土の工芸作家」の扱いなのだろう。
 白秋などとほぼ同時期に生まれた鹿児島寿蔵は吉居勇、若山牧水などに影響されて短歌を詠み始め「アララギ」で存在感を示しつつ活動したという。生涯に22冊の歌集を刊行し、第2回目の釈超空賞を受賞されている。ほかに人形の写真集やエッセイなどの刊行物も置かれていた。

 人形は古事記の神話、万葉集の歌を主題にしたものが多く、幻想的でロマンティックなのが特徴とキャプションに書いてある。どの人形も愛らしく、造形と衣装のゆたかな彩りが時代を越えて新鮮だ。

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                   「鹿島の宮の春の宴」
   


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                   「濤を鎮むる弟橘比賣」



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    寿蔵の歌       
        上の写真の書(自筆)
     
      紙塑のわざはゆめにあらざる夢なりき 求めもとめてもとめえし夢


     ねがひたる一世(ひとよ)はつひにかすかにてわらべごころに人像(ひとが     
     た)つくる


      もろもろのことのはげしき世にひそみ心直かれと人形つくる

      ひとがたのちいさきものにこのやうに充ちて人には見えざるいのち
   

  生涯を人形制作にかけた鹿児島寿蔵のひたむきさが歌からもうかがわれ、良いものを見せて頂いたと幸せな気分で会場をあとにした。鹿児島寿蔵の歌集をあらためて読みたいと思うが、長い間開いていない歌集が家のなかで無事に見つかるといいのだけど。

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               福岡県立美術館のスタンプ

     泣き顔と笑顔の面ふたつ持つ人形の名は「両面童子」
     前に伸ばす尾を机にし香炉たく人魚像あり「南海の夢」と
      






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Commented by sacfa2018 at 2018-10-14 12:23
鹿児島寿蔵の人形、素敵ですね。短歌は知らなかった。不勉強、恥ずかしい。ぜひ行かなくては。晶子さん、ご紹介ありがとうございます。S.
Commented by minaminouozafk at 2018-10-14 22:06
物語が浮かびあがる人形ですね。やわらかい中に凜とした強さも感じます。惹かれます。じっくり見ることのなかった鹿児島寿蔵の作品、こ紹介くださってありがとうございます。短歌には思いがあふれてますね。Cs
Commented by minaminouozafk at 2018-10-15 05:39
寿蔵の人形大好きで、歌人であることはこの作品展で知りました。11月には行くつもりです。
紹介ありがとうございます。E.
Commented by minaminouozafk at 2018-10-15 08:11
鹿児島寿蔵、人形は記憶の中にあるのですが何も知りませんでした。お知らせありがとうございます。作品展、行ってみたいです。Y.
Commented by minaminouozafk at 2018-10-15 18:23
人形師で歌人の鹿児島寿蔵、恥ずかしながら初めて知りました。本当に素朴で美しい人形です。ぜひ見て見たくなりました。N.
Commented by minaminouozafk at 2018-10-15 22:12
寿蔵の人形、ほんとうに物語がありますね。好きです。ご紹介、ありがとうございます。Cz.
by minaminouozafk | 2018-10-14 07:00 | Comments(6)