猿  鈴木千登世

連日の暑さ。
この時期ならではのかんかん照りの下を、夏休みに入る解放感と一緒に机の中の道具を抱えて帰った小学生の頃を思い出す。けれど、ここ数年の体温を超えるような暑さはやはりレベルが違うよう。


暑さの前の曇り日のこと。

裏庭の緑の中にうす茶色のものが見え、ゆっくりと視界を横切った。

猿だとわかるまで数秒。

裏庭には家人の畑があって、プチトマトが色づき茄子の実も太り始めていた。現れた猿はトマトの赤い実だけを食べ、こちらの視線にも慌てることなくゆうゆうと藪の中へ去っていった。

畑へ行くと、不味かったのか枝豆や茄子はちょっと囓っただけて地面に捨てられていた。ししとうやピーマンには手を付けていない。苦いものは苦手のようだ。


翌日はお隣の畑に現れて、夏に訪れるお孫さんの為に作っていたスイカやメロンを小さなものひとつだけ残し、みんな取っていったという。その場で食べないで抱えて持って行ったようだと嘆かれていた。

実は猿が現れたのは初めてではない。2,3年前にも現れてやはりトマトを食べていった。その後もう一度姿を見たが、それきりだったのではぐれ猿だったのだろうかと話していた。



山の動物たちが里に現れるようになった。山が荒れて境界が近くなったことや、畑の作物の美味しい味を知ったからという。農作物の被害も大きく歌会でも農家の方の嘆きを聞く。有効な解決策はなかなか見いだせないという。

動物園で見る猿は可愛かった。けれど、野生の猿はそうはいかない。

ささやかな畑でも収穫を取られてしまうと落胆は大きい。

これ限りであって欲しいと願う日々である。


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きゅうりの花



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また実りはじめた



境界を越えて害なす猿の背の光沢(つや)なく乾くそのけむくじやら



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Commented by sacfa2018 at 2018-07-19 21:05
猿害というらしいですね。うちの実家付近も大変な被害を被ったようです。徒党を組んで、渡り歩いていると聞きました。怖いです。山が痩せてしまったのでしょうか。ちーさまのお宅の美しい実りがもう被害に遭われませんように。S.
Commented by minaminouozafk at 2018-07-19 21:59
今日のお歌には、ちとせさんのフクザツな気持ちがあるように思います。お怪我がありませんように。Cz.
Commented by minaminouozafk at 2018-07-19 22:05
猪、鹿、猿、色んな被害をコスモス詠草でも、見かけます。山と里の中間の山里まで開発が進んだことも原因だと聞いた事があります。
桑原さんの里帰りの折の作品に〈のどやかな里のことばで畑荒らすゐのししを言ふなかばゆるして〉がありましたが、ちーさまの一首にも同じ愛を感じます。E.
Commented by minaminouozafk at 2018-07-20 07:55
この猛暑に難儀しているのは、山もそこに住む動物も同じですね。かといって、里に下りて来られるのも住んでいる方にとっては大変なこと。気持ちは揺れます。お怪我の無いように。Y.
Commented by minaminouozafk at 2018-07-20 08:00
豪雨のあとは炎暑。人間も動物もクタクタですね。猿はピーマン苦手なのですね。せっかく育てた野菜を食べられるのは悲しい。難しいですが上手に共存していけたら良いですから。 N.
Commented by minaminouozafk at 2018-07-20 08:25
宗像ではいのししの被害をよく聞きます。山を切り開いて住宅地を作った場所が多い市なので、猪も生きる場所が狭くて困っているのかもしれません。お猿さんも同じですね。お怪我などがなくて良かった。A
Commented by minaminouozafk at 2018-07-21 10:51
ご心配いただきありがとうございます。また、来られてしまいました。(T_T) 一頭だけのようですが、家を空けたのがわかるのでしょうか?悩ましい日々です。Cs
by minaminouozafk | 2018-07-19 06:04 | Comments(7)