笑顔のチカラ  鈴木千登世

忙しい忙しいと日々を送っていたら、ぽかんと半日時間ができた。SLに乗ろうと思い立ったのは、多分、批評会の後に新山口で遠く続く線路を見たから。

遠い昔、お盆で父の実家に行った時にSL乗った。トンネルに入った途端、黒い煙が目の前に流れ込んで父が慌てて窓を閉めた。その時のしぐさと声が今も記憶に残っている。SLは父を思い出す。

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発車前のホーム。記念撮影する大勢の乗客でにぎわっていた。

やまぐち号は子どもが小さな頃に一度乗って以来なので、実に20年ぶり。
今日はD51が客車を牽引する。


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飛び込みだったけれど残席が4席あって、4号車の窓際の席が空いていた。


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団体さんや家族連れで賑わう車内はお祭りのよう。大阪から来られたという3世代で乗られた方と相席になった。ご主人と息子夫婦と子どもたち。微笑みが絶えない。幼い記憶の片隅に今日の旅がきっと残ることだろう。

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新山口を10時50分に発車して12時59分に津和野に到着する約2時間の旅。



発車してしばらく、汽車は街中を通り抜ける。仁保駅あたりから次第に車窓に田園が広がり始める。ちょうど田植えのシーズンで、水を張った田や早苗の揺れる田が見えてくる。長く続く汽笛とかすかに匂う石炭の煙。沿道にはSLを撮影する人々の姿。撮影ポイントでは50人以上がずらりと並んシャッターを切るその姿に車内ではいくたびもどよめきが起こった。



見る人見る人が手を振る。住宅の庭で、道で、田んぼで…。傍を通る車の中からも手を振っている。一家で並んで手を振る家族もあった。撮影を終えた人も、つと手を上げて見送ってくれる。

ぱっと顔を輝かせて、おーいおーいと呼ぶように、会えて嬉しいと告げるように笑顔で手を振り見送ってくれる。

津和野に着くまで、人のいる所ではずっと満面の笑みに見送られた。もちろん私にではなくSLに、乗っている乗客に向けたものなのだけれど、向けられたたくさんの笑顔は心の深いところに届いて、忙しさに消耗していたからだに力を与えてくれるようだった。



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笑顔のチカラ。

疲れたら、またSLに乗ろう。


虹を見るやうな笑顔に音長く汽笛を鳴らしD51は過ぐ



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Commented by minaminouozafk at 2018-06-14 20:26
思い立ったらすぐにSLに乗れる暮らし、羨ましい。
いつか、ちーさまの歌枕を辿る旅をしたいなぁ。E.
Commented by minaminouozafk at 2018-06-14 20:59
列車に手を振る沿線の人たちのところで、九州新幹線が鹿児島まで繋がったときの「祝!九州」のテレビCMを思い出しました。富良野から「ノロッコ号」に乗った時にも手を振ってもらいました。本当に嬉しい笑顔ですね。Y.
Commented by sacfa2018 at 2018-06-14 21:31
SLの旅、ノスタルジックですね。津和野もずいぶん行ってません。のんびり、列車に揺られたくなりました。ちーさま、ありがとうございます。S.
Commented by minaminouozafk at 2018-06-14 21:42
おーいおーい。ちとせさんの満面の笑顔にちからをもらいました。Cz.
Commented by minaminouozafk at 2018-06-14 22:26
SLの煙の匂いを思い出しました。SLは切符がなかなか買えないと聞いていましたが、千登世さん運が強いかも。手を振って見送りたい乗り物は、SLが一番ですね。A
Commented by minaminouozafk at 2018-06-15 06:50
なつかしい。子供の頃、下関駅にも現役のD51がありました。姿も音も力強いですね。山口線の車窓良いですね。春先の辛夷の花、とっても綺麗でした。2時間の笑顔の旅、久しぶりに津和野に行きたくなりました。
Commented by minaminouozafk at 2018-06-16 11:52
九州新幹線のCM素敵でしたね。SLもたくさんの人に手を振られながら走ってること知りました。切符が手に入って幸運でした。(津和野までの運賃1660円にも驚きました。)途中下車もOKです。いつか魚座の皆様と乗りたいなぁCs
by minaminouozafk | 2018-06-14 07:00 | Comments(7)