大西晶子「鯨まつりの島に生き」 有川知津子

  昨日、早苗さんが水上芙季さんの福士りか歌集『Sainte Neige』評「プラチナのひかり」を紹介した「コスモス」6月号は、歌書・歌集批評特集号である。



 あれは3月初旬のことであった。来る6月号で、祖母前田茅意子の遺歌集『いづこも桜』(柊書房)を取り上げるむねのお知らせをいただいた。文書には、批評執筆者を誰に頼むか希望が出せることなどが書かれてあった。祖母が生きていたなら、誰に書いて欲しかっただろうかと、ちょっと思ったけれど、私は迷わず同封の葉書に「お任せします」と書いて投函した。ふさわしい人が書いてくださることになるだろうという予感があったのだ。



 しばらくして高野さんから、晶子さん(コスモスの福岡支部長で、このブログの日曜日の記者の大西晶子さんである)に依頼したことを伺った。



 晶子さん。――いい予感は当たるもの。



 先日、待たれた6月号がとどいた。


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 晶子さん評「鯨まつりの島に生き」。晶子さんの、祖母の人生を掬う手つきはやわらかくて慈しみ深くて、まるで鎮魂の連祷を聞くようである。私は読みながら、なんど祖母によかったねと話しかけたかしれなかった。



 おのずから英子さんの記事(「南の魚座」3月30日)が思い出された。英子さんは祖母の命日(3月31日)に間に合うように、お渡ししたばかりの歌集を読んで書いてくださったのである。



 『いづこも桜』はなんて幸福な歌集なのであろうか。


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                 《今年の桜》



  後ろ手にエプロン解けばゆふぐれぬ 永遠(とは)にまへゆく祖母のゐること



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Commented by minaminouozafk at 2018-05-23 19:45
「海港」でも山浦さんが丁寧な評を書いてくださっていますね。
晶子さんが書かれていた、歌集後半の「歌はむしろ自在に」同感。
茅意子さんの自在なる老いの歌をカルチャーで紹介しようと準備万端です。E.
Commented by minaminouozafk at 2018-05-23 20:45
この記事にドキドキしてしまいました。良い歌集の評を書かせて頂き、お礼を申し上げます。できればもっとたくさんの歌をご紹介したい歌集でした。A
Commented by minaminouozafk at 2018-05-23 21:19
「自在なる老いの歌」、老いてからこその自在なる精神を自分が持てるのか、命題です。カルチャーを楽しみにしています。Y.
Commented by sacfa2018 at 2018-05-23 23:45
おばあさま茅意子さんの自在な晩年に学ぶことがたくさんありました。
素敵な方だったのですね。ちづりんがちづりんであるルーツがわかりました。晶子さん、ありがとうございました。S.
Commented by minaminouozafk at 2018-05-24 05:45
晶子さんの批評、思いが籠もり慈しみに満ちたものと思いました。ちづさんの文章も優しくて。良いものを読ませていただきました。また、歌集を読み返そうと思います。Cs
Commented by minaminouozafk at 2018-05-24 07:54
いづこも桜、もう一度書棚から取り出しました。ゆっくりとした明るい豊かな時間の流れにホッとします。晶子さんの心のこもった批評頷きながら読ませていただきました。本当に素敵なお祖母様だったのですね。 N.
by minaminouozafk | 2018-05-23 06:03 | Comments(6)